第1160回 ルーマニア、ルクセンブルクと連戦 (1) レユニオンから2人が代表入り

■10月の予選は国内で連戦

 9月から始まった欧州選手権予選、フランスは初戦のベラルーシ戦をホームのスタッド・ド・フランスで落としながら、敵地サラエボでのボスニア・ヘルツェゴビナ戦に勝利し、1勝1敗で10月9日のルーマニア戦、12日のルクセンブルク戦を迎えることになった。
 両試合ともフランスのホームで行われ、第2シードのルーマニア戦はスタッド・ド・フランス、最下位に相当する第6シードのルクセンブルクとの戦いはメッスのサン・サンフォリアン競技場で行われる。このところ精彩を欠くフランス代表チームであるが、フランスにとっては連勝を狙いたいところである。

■9月よりも2人増えた代表メンバー

 その2試合に臨む選手23人が9月30日に発表された。9月のベラルーシ、ボスニア・ヘルツェゴビナとの連戦を肯定的にとるのか否定的にとるのか、ローラン・ブラン監督の見解に注目が集まったが、ブラン監督はベラルーシ戦の敗戦よりもボスニア・ヘルツェゴビナ戦の勝利を大きくとらえ、9月の際は21人選出したメンバーから2人を外し、4人を新たに招集した。メンバーの変更は数的には少ないように見える。しかし、新たに加わったメンバーはインパクトのあるメンバーばかりである
 9月のメンバーから外れたのはMFのジェレミー・メネス、FWのルイ・サアである。そして新たに招集された4人を紹介すると、まずサミール・ナスリ、ヨアン・グルクフというジネディーヌ・ジダンの後継者と称される攻撃のキープレーヤーが復活した。

■サミール・ナスリとヨアン・グルクフが復活

 ナスリは2008年欧州選手権に出場し、大会後にアーセナル(イングランド)に移籍し活躍したが、昨年3月を最後にフランス代表から離れ、今回のワールドカップでは5月段階の候補メンバーにも入っておらず、レイモン・ドメネク監督との確執も噂された。8月のノルウェー戦ではほぼ1年半ぶりにメンバーに復帰しており、9月は負傷でメンバーから外れていた。
 グルクフもナスリ同様、ジダンの後継者としてフランス代表で活躍しており、2008年の欧州選手権後に代表入りし、今回のワールドカップ予選と本大会を支えてきた。本大会では不本意な成績に終わり、8月のノルウェー戦は出場停止、9月の連戦は負傷のため選出されず、ほぼ4か月ぶりの代表復帰となる。グルクフは今季ボルドーからリヨンに移籍しており、リヨンのグルクフとして初めての代表戦となる。
 また9月は負傷のためメンバーに選出されながら離脱したブレーズ・マツイディが復帰した。

■初選出のディミトリ・ペイエ、レユニオン出身で早くも7ゴール

 そして今回初めて代表に選出されたのがディミトリ・ペイエである。サンテエチエンヌのペイエは23歳、今季好調でリーグ戦では早くも7ゴールをあげ、第7節終了時の得点王である。昨季は35試合に出場しながらわずか2得点であり、注目される選手ではなかったが、今季のリーグ戦での好調ぶりを無視するわけにはいかないであろう。しかも9月25日に行われたアウエーのリヨン戦では75分にペイエのあげたゴールが決勝点となり、1-0で勝利、緑の名門サンテエチエンヌは首位の座をキープしており、チームの総得点12のうち7得点をマークしているペイエの貢献度は絶大であり、ブラン監督もリストに入れないという選択肢はなかったであろう。
 このペイエであるが、インド洋の海外県であるレユニオン島出身である。これまでにレユニオン出身で代表の試合に出場した選手は、1999年から2001年にかけて活躍したローラン・ロベール、2008年のチュニジア戦だけ出場したフローラン・シナマ・ポンゴル、そして今回も代表入りしたギヨーム・オラオがおり、ペイエはこのインド洋に浮かぶ島から4人目のヒーローとなった。そしてオラオとペイエの2人がレユニオン出身で代表入りしたが、レユニオンからの2人同時選出は初めてのことである。さらにボルドー出身のブノワ・トレムリナスも先祖はレユニオンであり、今回のワールドカップ直前に初めてフランス代表チームを迎えたレユニオンは島中が喜んでいるのである。(続く)

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