第1328回 欧州選手権組み合わせ決定 (1) 本大会出場が決定した10チーム、プレーオフに出場する8チーム

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■本大会への出場権を得た10チーム

 来年の最大のサッカーイベントはウクライナとポーランドで開催される欧州選手権である。本連載でもすでに紹介したとおり、フランスはグループDで首位となって本大会出場を決めた。10月11日にフランスとの直接対決で引き分けたボスニア・ヘルツェゴビナはプレーオフに回った。
 予選グループから本大会に出場することができるのは、各予選グループで1位となった9チーム、そして最も成績の良かった2位チームの合計10チームである。各グループごとの成績を見ていくと、グループAからはドイツ(10戦全勝)、グループBからはロシア(7勝2分1敗)、グループCからはイタリア(8勝2分)、グループDからはフランス(6勝3分1敗)、グループEからはオランダ(9勝1敗)、グループFからはギリシャ(7勝3分)、グループGからはイングランド(5勝3分)、グループHからはデンマーク(6勝1分1敗)、グループIからはスペイン(8戦全勝)であり、グループEで2位のスウェーデン(8勝2敗)も本大会出場を決めた。

■僅差で首位を確保したフランス

 このように成績をみるとフランスの6勝3分1敗という成績は10試合を行ったグループの首位チームの中では一番悪く、グループG以降の8試合行ったグループの成績と比較しても見劣りする。さらに、フランスは2位のボスニア・ヘルツェゴビナとの勝ち点差はわずかに1、これは全9グループで最も1位と2位の差が少ないグループである。フランスは11月に行った米国、ベルギーと親善試合との親善試合で連続無敗記録を17試合に伸ばしたが、このように欧州選手権の予選での成績が親善試合に比べて良くないことが後に述べる本大会での組み合わせに影響してくるのである。

■プレーオフに出場する8チーム

 そしてプレーオフに回った8チームはグループAのトルコ、グループBのアイルランド、グループCのエストニア、グループDのボスニア・ヘルツェゴビナ、グループFのクロアチア、グループGのモンテネグロ、グループHのポルトガル、グループIのチェコと言う顔ぶれである。
 プレーオフ出場権のかかるグループ2位と3位の差の方が、本大会に直接出場できる首位と2位の差よりも概して小さく、本連載第1325回でベルギーの事例を紹介したように、2位争いの方が熾烈だった。これはドイツ、スペイン、オランダのように首位にずば抜けた力を持つ国が存在していたからである。そういう点でもフランスの所属していたグループDは9月の段階で2位以上の2チームが決定し、10月は首位争いになったが、例外的なケースであろう。

■注目のプレーオフの組み合わせ

 そのプレーオフはフランスが米国、ベルギーと親善試合を行った11月11日と15日にホームアンドアウエー形式で行われた。プレーオフに出場する8か国をUEFAインデックスに基づき、ポルトガル、クロアチア、アイルランド、チェコの4チームをシードした。UEFAインデックスとは欧州選手権、ワールドカップの本大会と予選の戦績を計数化した国別のランキングである。ランキングの算定に親善試合の成績もカウントするFIFAランキングとは微妙に異なっている。UEFAインデックスの上位4か国が下位4か国と対戦するように組み合わせ抽選が行われた。
 プレーオフの組み合わせはトルコ-クロアチア、エストニア-アイルランド、チェコ-モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ-ポルトガルとなった。もし、フランスが出場していれば、シード権はなく、厳しい組み合わせになったであろう。
 また、今回のプレーオフの組み合わせについては、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントの1回戦のようにシード国が第2戦をホームで戦うというアドバンテージは与えられず、どちらが第1戦をホームで戦うかは決められたが、結果的に上位シード4か国のうち、チェコ以外の3チームは第2戦をホームで戦うことになったのである。(続く)

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