第1416回 スペイン相手に沈黙、またも惨敗(1) タイトルマッチでは圧倒するが、連敗中のスペイン戦

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2位通過で準々決勝の相手はスペイン

 グループリーグの首位通過を狙っていたにもかかわらず、スウェーデンに0-2と敗れて2位通過となったフランス、ブラン監督の就任3戦目から続いていた無敗記録も23でストップしてしまった。
 結果的には準々決勝を第1戦と第2戦を行ったドネツクで行い、勝ち進んだ場合は準決勝、決勝とウクライナで行うというアドバンテージはあるものの、準々決勝の相手はスペインである。

■初のタイトルマッチでの対戦は1984年欧州選手権決勝

 フランスとスペインの相性は決して悪くはない。これまでの欧州選手権、ワールドカップの本大会、予選での戦績はフランスが圧倒している。隣国として第二次世界大戦前から頻繁に親善試合を行ってきた両国が、タイトルマッチで対戦したのはフランスで開催された1984年欧州選手権の決勝でのことであった。それまで20回の親善試合での対戦ではスペインが優勢であったが、このパルク・デ・プランスでの対戦、57分に主将のミッシェル・プラティニが先制点、そしてロスタイムにブルーノ・ベローヌがゴールをあげてフランスは欧州選手権2度目の出場で優勝を飾っている。
 1992年欧州選手権予選でフランスとスペインは同じグループに入っている。このときは両国以外にチェコスロバキアも同じグループに入り、スウェーデン行きのチケットはわずか1枚であったが、フランスは1991年2月20日にパルク・デ・プランスで行われたホームゲームでは先制されながらも3-1と逆転勝ち、この試合の3点目は現在の代表監督のローラン・ブランが記録している。そして同年10月12日にセビリアで行われたアウエーゲームではフランスが2-1と勝利し、フランスは1試合残して本大会出場を決めている。
 欧州選手権、ワールドカップの予選での対戦はこのときが最初で最後であり、その後は本大会での対戦となる。1996年にイングランドで開催された欧州選手権でフランスはスペインとグループリーグで戦う。グループリーグの第2戦で戦い、フランスはユーリ・ジョルカエフが先制点を奪うが、スペインはカミネロが試合終盤に追いつきドロー。実はこの試合が唯一フランスがスペインに勝てなかった試合である。

■2000年欧州選手権、2006年ワールドカップの決勝トーナメントでは快勝

 記憶に新しいところでは2000年の欧州選手権準々決勝、グループ2位のフランスとグループを首位突破したスペインが対戦し、今回と同じシチュエーションである。ジネディーヌ・ジダンが先制、スペインもPKで追いつくが決勝点はジョルカエフがあげ、勝利したフランスはこの大会で優勝することになる。なお、1991年の欧州選手権予選からこの試合までブラン監督はタイトルマッチ4試合にすべて先発フル出場している唯一の選手である。
 そして最後のタイトルマッチでの対戦は2006年ワールドカップン決勝トーナメントの1回戦である。このときもフランスはグループリーグでは調子が出ず、最初の2試合を引き分け、ようやく第3戦でトーゴに勝利し、グループ2位で決勝トーナメントに進出する。スペイン相手に劣勢が予想され、27分にダビド・ビジャに先制点を奪われる。ところが、フランスはこの試合で生まれ変わる。41分にフランク・リベリーが同点ゴール、試合終盤となった83分にパトリック・ビエイラがジダンからのFKをヘディングで決めて逆転、さらにロスタイムにはジダンが得点を決めて、3-1とフランスは勝利する。この試合で蘇生したフランスは準々決勝でブラジル、準決勝でポルトガルを下し決勝ではイタリアと対戦する。

■2008年以降の親善試合では連敗中

 このようにタイトルマッチではフランスの5勝1分という戦績であるが、スペインは前回の欧州選手権の優勝国であり、2年前のワールドカップも制している。さらにフランスは2008年ワールドカップの後2回親善試合で対戦しているが、2008年2月6日にスペインのマラガで対戦した際は0-1、さらに2010年3月3日にスタッド・ド・フランスでの対戦は0-2と、本大会のある年の春先のスパークリングマッチで連続して完封負けしており、フランスにとっては数少ない連敗中の相手との対戦となるのである。(続く)

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