第1415 回 決勝トーナメントかけたスウェーデン戦(2) スウェーデンに43年ぶりに敗れるが、2位通過

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■首位通過を狙いたいフランス

 すでにグループリーグ敗退が決まったスウェーデン相手にグループリーグ最終戦を戦うフランス、2位のイングランドと3位のウクライナが対戦することから、引き分け以上ならば確実にグループリーグ突破、負けてもイングランド-ウクライナ戦でウクライナが特定のスコアで勝利しなければ決勝トーナメントに進出できる。フランスとしてはスウェーデンに快勝してグループリーグを首位突破し、決勝トーナメントを有利な立場で迎えたいところである。

■フランスにとって相性のいいスウェーデン

 対戦相手のスウェーデンであるが、北欧の古豪チームであり、1958年にはワールドカップを開催、1992年の欧州選手権を開催している。北欧の強豪国として代表チームだけではなくクラブチームもチャンピオンズリーグなどで活躍してきた。
 近年フランスはスウェーデンと親善試合で対戦することが多く、1997年以来4回も親善試合で対戦しており、フランスが2勝2分という成績を残している。一方、過去にワールドカップ、欧州選手権の本大会では1992年の欧州選手権のグループリーグで対戦したことが一度あるだけであり、その時は1-1のドローとなっている。そしてスウェーデンがフランスに最後に勝利したのは43年前の1969年のことであり、1970年欧州選手権予選のホームゲームのことであった。
 さらにスウェーデンがホームゲーム以外でフランスに勝利したのは1952年のパリでの親善試合だけであり、60年前までさかのぼらなくてはならない。

■メンバーとシステムを変えたフランス代表

 このように圧倒的に有利な立場にあるフランスは第3戦のメンバーに、今大会初出場となる選手も起用し、フォーメーションを変更する。GKはウーゴ・ロリス、DFは右にマチュー・ドビュッシー、中央にアディル・ラミとフィリップ・メクセス、左にガエル・クリシー、守備的MFを2人配置し、アルー・ディアラとヤン・エムビラが配置される。攻撃的MFは右がハテム・ベンアルファ、中央にサミール・ナスリ、FW は1人でカリム・ベンゼマである。イングランド戦、ウクライナ戦と比較すると、守備的MFを2人に増やし、攻撃的なMFについてはベンアルファを初起用、ナスリを中心に配している。また、ウクライナ戦で得点をあげたジェレミー・メネスとヨアン・カバイエが先発メンバーから外れている。
 試合前には名アナウンサーとしてフランス代表を支えてきたティエリー・ローランがこの試合の前に亡くなったため、黙祷をささげる。そして試合はフランスが予想通り支配し、ボール保持率も高く、イングランド戦同様、再三スウェーデンのゴールを襲うが、得点を挙げることはできず両チーム無得点で後半を迎える。

■ズラタン・イブラヒモビッチのスーパーボレー、フランス敗れるも2位通過

 今大会、スウェーデンが最終戦を待たずしてグループリーグ敗退が決定したのはエースのズラタン・イブラヒモビッチの不振によるところが大きい。2002年ワールドカップから国際大会に出場、2004年欧州選手権、2006年ワールドカップ、2008年欧州選手権とスウェーデンの得点源として活躍し、2010年ワールドカップは予選で敗退したため、2009年にいったんは代表からの引退を表明したが、その後復帰。今回の欧州選手権予選では8試合に出場し5得点。今年になってからの親善試合では3試合すべてで得点をあげている。ところが、これを最後に代表から引退すると思われている本大会ではウクライナ戦の先制ゴールのみ。
 このイブラヒモビッチは54分にセバスチャン・ラーションの右サイドからのクロスを強烈なボレーシュート、今大会グループリーグでナンバーワンといえるシュートでスウェーデンが先制する。
 フランスはフローラン・マルーダ、ジェレミー・メネス、オリビエ・ジルーと攻撃陣の選手を投入し、スウェーデンの2倍にあたる24本のシュートを放つがノーゴール。逆にロスタイムにスウェーデンは、サムエル・ホルメンのシュートがクロスバーにはね返ったところをラーションが豪快にシュートし、ネットを揺らし、追加点を奪う。
 フランスは0-2で敗れたが、イングランドがウクライナに1-0と勝利したため、イングランドに次ぐグループリーグ2位で決勝トーナメントに進出したのである。(この項、終わり)

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