第1414回 決勝トーナメントかけたスウェーデン戦(1) グループリーグ首位突破を狙うフランス

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■強いフランスの復活を感じさせた2試合

 グループリーグ第2戦で開催国ウクライナと対戦したフランス、開始早々に雷雨のため中断というアクシデントがあったものの、ウクライナを圧倒し、2-0と勝利した。欧州選手権、ワールドカップの本大会で実に6年ぶりの勝利、内容的に圧倒したイングランド戦とあわせて、強いフランスの復活の予感を感じさせる勝利であった。

■得失点差でイングランドをおさえ首位となったフランス

 そして、第3戦はすでにグループリーグで敗退が決定したスウェーデンとの試合となる。さて、最終戦を迎える段階でのグループDの各チームの順位を確認しておこう。まず1位のフランスはイングランドと引き分け、ウクライナに勝利しており、勝ち点4で得失点差は+2、2位はイングランドはフランスと引き分け、スウェーデンに1点差で勝利しており、フランスと勝ち点4で並びながら、得失点差で首位を譲っている。3位は開催国のウクライナであり、スウェーデンに勝利し、フランスに敗れて勝ち点3であり、ここまでのチームが決勝トーナメント進出の可能性を残す。そして最下位はウクライナとイングランドに敗れて勝ち点0のスウェーデンである。

■スペインとの対戦を回避したいグループDの各チーム

 最終節はフランス-スウェーデン、イングランド-ウクライナの2試合が同時刻にキックオフされる。フランスはスウェーデン戦に引き分け以上であればグループリーグを突破することができるが、気になるのは決勝トーナメントでの組み合わせである。グループDは4つあるグループリーグの中で最も試合消化日程が遅く、残る3つのグループはすでに決勝トーナメント出場チームと組み合わせが決定している。
 グループDから勝ち上がるとグループCから勝ち上がったチームと決勝トーナメントで対戦する。グループDを首位突破すればグループCの2位のイタリアと対戦、グループDを2位通過するとグループCで首位となったスペインが相手である。イタリアもスペインも強敵であるが、できればスペインとの対戦は避けたいであろう。
 グループリーグ最終戦を迎えて、得失点差でイングランドを1上回るフランスは、スウェーデン相手に着実に勝利し、首位をキープしたいところである。

■グループリーグ最終戦で取りこぼしのないフランス

 フランスは1996年欧州選手権から今回まで9大会連続して欧州選手権、ワールドカップの本大会に出場しているが、1996年欧州選手権から2000年欧州選手権まで3大会連続してグループリーグ第2戦を終えた段階で首位になり、スタートダッシュに成功している(1996年欧州選手権はブルガリアと全く同成績で1位が2チーム)。しかし、2002年ワールドカップ以降は振るわず、1勝1分の首位で最終戦を迎えた2004年欧州選手権を最後にグループリーグの第1戦と第2戦でいい成績を残していない。
 これら4回のポールポジションとなった最終戦でそのまま1位をキープできたのはブルガリアとの首位直接対決を制した1996年欧州選手権、開催国としてグループリーグで3連勝した1998年ワールドカップ、スイスに勝利して首位通過した2004年欧州選手権の3回である。また、唯一の例外である2000年欧州選手権はすでに決勝トーナメント進出を決めており、若手選手主体のメンバーでオランダに敗れ、2位通過に甘んじたが、結果的に決勝トーナメントをフランス語圏で戦い優勝している。
 さらに、スイス、韓国に引き分け、3位で最終戦を迎えた2006年ワールドカップも最終戦でトーゴに勝利し、韓国を逆転して2位になっている。
 このように過去10数年の欧州選手権、ワールドカップでのフランスの戦いを見てみると、フランスはグループリーグの第1戦、第2戦である程度の成績を残した大会では、最終戦で取りこぼしをしていないといえるであろう。
 しかし、油断は禁物、スウェーデン戦は思いもかけぬ試合になったのである。(続く)

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