第2416回 オランダとの天王山(3) 守勢一方のフランス、オランダに敗れる

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベストメンバーで臨むフランス

 UEFAネーションズリーグの初代王者を目指すフランス、ファイナル4と言われる準決勝進出まで勝ち点あと1である。王手をかけたフランスはロッテルダムでオランダと対戦する。
 引き分け以上の成績を残したいフランスの先発メンバーはGKはウーゴ・ロリス、DFは右から復帰してきたバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、守備的なMFは右にスティーブン・エンゾンジ、左にエンゴロ・カンテとなる。攻撃的MFは右にキリアン・ムバッペ、左にブレーズ・マツイディ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWは1トップでオリビエ・ジルーとなる。直近の試合である10月16日のドイツ戦とは負傷して離脱した守備的MFのポール・ポグバに代えてエンゾンジを起用しただけのベストメンバーである。

■オランダの中心選手となったリヨンのメンフィス・デパイ

 一方のオランダはGKはヤスパー・シレセン、DFは右からデンゼル・ダンフリース、マタイス・デリフト、ビルヒル・ファンダイク、ダレイ・ブリント、MFは右からマルテン・デローン、フレンキー・デヨング、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、FWは右にスティーブン・ベルフワイン、左にライアン・バベル、中央にメンフィス・デパイというメンバーである。
 ベテラン勢が一掃されたこのメンバーで中心選手はリヨンに所属するデパイである。CFで出場しているが、自らがシュートするだけではなく、シュートチャンスを作り出すという2つの役割を果たしている。所属のリヨンでは点取り屋のイメージが強いが、トータルフットボールの伝統のあるオランダ代表のオレンジのユニフォームを着れば変身するのであろう。

■圧倒的に試合を支配したオランダが44分に先制点

 デパイを中心とするオランダ攻撃陣は開始早々からフランスのゴールを襲う。ようやくフランスが攻撃らしい形を作ったのは10分、ディーニュからのクロスをグリエズマンがヘディングで合わせる。欧州選手権とワールドカップではMVP級の活躍を果たしたグリエズマンが代表にデビューしたのは4年前の3月のオランダ戦であった。しかしながらフランスはキンペンベの守備が目立つばかりで、守勢一方となる。
 38分にはディーニュのタックルを受けたデパイが倒れこむ。フランスは攻撃のチャンスがほとんどないまま、前半が終了するかと思われたが、44分に守備のミスがあった。エンゾンジのヘディングでのクリアボールがゴール前のバベルに渡り、バベルがベルフワインにパスし、ベルフワインが左足でシュート、ついに均衡が破れた。

■後半に強いフランスも沈黙、メンフィス・デパイがダメ押しの追加点

 フランスはメンバーを変更せず、後半に臨む。このところフランスは後半に得点をあげるパターンが多く、ディディエ・デシャン監督も選手を信頼しているのであろう。しかし、相変わらず、試合の主導権はオランダ、主将でGKのロリスのセーブとフランスの選手に与えられるイエローカードが後半は目立つようになった。残り25分となった65分にマツイディに代えてムーサ・シソッコ、ジルーに代えてウスマン・ダンベレとメンバーを投入し、ダンベレが左サイドに入り、ムバッペが中央に陣取る。
 この日のオランダは試合を支配しただけではなく、シュートの精度が高く、枠内に飛ぶ。その枠内シュートをロリスが次々にセーブするという展開となった。81分にフランスは最後の選手交代としてエンゾンジを下げてタンギー・ヌドンベレを投入するが、この時点でオランダはまだメンバーを1人も代えていない。
 アディショナルタイムに入ってもオランダの攻撃はとどまるところを知らず、ロリスのスーパーセーブが続く。しかし、94分、ペナルティエリア内でシソッコのタックルがデヨングを倒してしまい、PKとなる。デパイのシュートがリヨンの先輩であるロリスの守るゴールを破り、オランダが2-0と勝利、フランスは勝ち点7で全日程を終了したのである。(この項、終わり)

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