第2417回 オランダが奇跡のドロー、フランス2位に終わる (1) ライバル関係にあるオランダとドイツ

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■逆転首位を狙うオランダにフランスのファンも注目

 11月16日にロッテルダムで行われたオランダ戦でフランスが敗れたことにより、UEFAネーションズリーグのリーグAのグループ1の首位争いは、11月19日に行われるドイツ-オランダ戦の結果に委ねられることになった。フランスは全日程を終え、ワールドカップ後初の敗戦となったアウエーのオランダ戦が重くのしかかり、2勝1分1敗の勝ち点7、そしてオランダは2勝1敗で勝ち点6となり、勝ち点1差に迫った。オランダは最終戦でドイツに勝利すれば勝ち点を9に伸ばし文句なしの首位、引き分けた場合は勝ち点7となってフランスと並ぶが、得失点差で上回り、オランダが首位となる。
 2016年欧州選手権、2018年ワールドカップと2大会連続して予選敗退となったオランダにとってはここで存在感を示すことができるかの正念場となり、ドイツとの試合は11月19日の20時45分にゲルゼンキルヘンでキックオフされる。一方、フランスもウルグアイと親善試合を行うが、これはその翌日の20日に行われる。したがってフランスのファンもみなドイツ-オランダ戦に注目し、ドイツの勝利を祈ることになった。

■西ドイツ時代も含めオランダと41回対戦しているドイツ

 さて、これまでドイツは西ドイツ時代を含めてオランダと41回対戦している。ドイツのフランスとの対戦は30回であるから、いかに両国の対戦が多いかがよくわかる。ちなみにドイツ(西ドイツ)と最も対戦数が多いのが51試合対戦したスイスであり、フランスのそれがベルギーであることと類似している。なお、ドイツはオランダに15勝16分10敗と勝ち越しており、オランダがドイツ国内で勝利したのは西ドイツ時代の1956年のデュッセルドルフでの親善試合までさかのぼらなくてはならない。

■ライバル心を燃やすドイツとオランダ

 ドイツとオランダのライバル心は尋常なものではない。第二次世界大戦時にナチスドイツに占領された歴史を持つオランダはドイツに特殊な感情を持つ。欧州に二度目の平和が訪れてから両国が初めてタイトルマッチで対戦したのが、1974年ワールドカップ西ドイツ大会決勝である。この試合はフランツ・ベッケンバウアーとヨハン・クライフの戦いとなり、結果は2-1で西ドイツの勝利、しかしオランダの試合内容は世界を称賛させるものであり、次の1978年のアルゼンチン大会でも決勝に進出、2大会連続で開催国と決勝を争い、準優勝している。
 そしてこの対戦を機に両国はワールドカップ、欧州選手権でしばしば顔を合わせることとなる。1978年のワールドカップでは二次リーグで対戦し、2-2のドロー、1980年の欧州選手権ではグループリーグで対戦し、西ドイツが3-2と勝利する。

■西ドイツで行われた1988年欧州選手権で優勝したオランダ

 ようやく主要大会でオランダが西ドイツに初めての勝利をあげたのは1988年に西ドイツで行われた欧州選手権であった。地元開催で優勝を目指す西ドイツはハンブルクでオランダと対戦する。西ドイツは55分にローター・マテウスのPKで先制するが、その後2点を奪われ、逆転負けする。この時、オランダの同点ゴールを決めたのが現在の代表監督のロナルド・クーマンであり、オランダは決勝でソ連を下して優勝し、ライバル西ドイツの地で優勝カップを掲げたのである。
 その後も1990年ワールドカップでは欧州予選で対戦し、ホーム、アウエーともドロー、両国とも本大会に出場し、決勝トーナメント1回戦で対戦する。ミラノでの試合は西ドイツが2-1と勝利し、今度は西ドイツが優勝する。その後も欧州選手権では1992年大会、2004年大会、2012年大会もグループリーグで対戦している。今回は6年ぶりのタイトルマッチでの対戦、10月13日のロッテルダムでの試合はオランダが3-0と完勝、1992年の欧州選手権以来のタイトルマッチでの勝利をあげたのである。(続く)

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