第2418回 オランダが奇跡のドロー、フランス2位に終わる(2) 残り5分で2点差を追いついたオランダが首位

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■グループ最下位が決定したドイツ

 アウエーの試合で引き分け以上でUEFAネーションズリーグの準決勝進出の決まるオランダ、3日前のフランスと同じ状況である。ただ、大きく異なるのは相手のドイツはすでに最下位が決定しているということである。試合会場となるゲルゼンキルヘンのフェルティンス競技場はシャルケ04の熱心なファンで通常は6万人以上の観客が集まるが、この日の代表戦は4万人にとどまった。ドイツは3日前にはロシアとライプチヒで親善試合を行い、3-0と勝利している。ただ、同日にオランダがフランスに勝利したため、最下位が決定し、リーグBへ降格することになってしまった。

■両チームともベストメンバーで臨む今年最終戦

 オランダの布陣であるが、GKはヤスパー・シレセン、DFは右からケニー・テテ、マタイス・デリフト、ビルヒル・ファンダイク、ダレイ・ブリント、MFは右からマルテン・デローン、ジョルジニオ・ワイナルドゥム、フレンキー・デヨング、FWは右にクインシー・プロメス、左にライアン・バベル、中央にメンフィス・デパイというメンバーである。フランス戦とは右サイドのDFとFWを代えただけである。
 一方、ドイツは11月の連戦にルロワ・サネを招集、そのサネがロシア戦では先制点を奪っている。GKはマヌエル・ノイアー、DFは3バックにし、右からニクラス・ズーレ、マッツ・フンメルス、アントニオ・ルディガー、MFは4人、中央の上がり目の位置には右にヨシュア・キミッヒ、左にトニ・クロース、サイドは低めに位置し、右はティロ・ケーラー、左はニコ・シュルツ、FWは右にセルジュ・ニャブリ、左にサネ、中央にティム・ベルナーというメンバーでロシア戦とは入れ替わりが目立つが、10月のフランス戦とはほぼ同じメンバーであり、この試合にかける意気込みが伝わる。

■前半に2点を連取したドイツ

 ワールドカップイヤーが代表の歴史の中でも不名誉な成績となったドイツは、今年最後の試合とあって立ち上がりから積極的に攻める。9分、クロースからフィードされたパスをニャブリがベルナーにつなぐ。ベルナーはパスを頭で受けてコントロールし、右足で強烈なシュートを放つ。25メートルと距離はあったが、ゴールネットを揺らし、先制点を決める。そしてドイツは20分にもクロースがロングパスを前方に、これをマネが何とか確保し、左足でシュート、このシュートも決まり、ドイツが2-0とリードする。
 オランダは前半終了間際にバベルが負傷退場するというアクシデントにも見舞われ、2点のリードを許して前半を折り返す。

■85分、91分に得点をあげて引き分けに持ち込んだオランダが首位

 後半は前半に比べて激しい展開となり、ファウルも目立つようになったが、ドイツは危なげなく試合を進め、フランスのファンは首位突破に楽観的であった。この時点でグループ1以外の首位チームは決定しており、イングランド、ポルトガル、スイスとの対戦を楽しみにしているファンもいた。ところが、残り時間も5分余りとなった85分、オランダはペナルティアリア内でパスをつなぎ、この日スティーブン・ベルフワインに代わって出場したプロメスが右足でシュート、名手ノイアーも届かず、1点差に迫る。
 さらにアディショナルタイムに入ったばかりの91分、途中出場のトニー・ビリエナからのクロスがドイツ守備陣に当たってコースが合わったところをファン・ダイクがヘディングでシュート、このシュートが決まる。この4分後に試合終了のホイッスルが吹かれ、2-2のドローとなる。フランスとの直接対決を制したオランダは、アウエーのドイツ戦でも残り5分で2得点を奪い、2試合で勝ち点4を奪う。
 フランスはオランダと勝ち点7で並んだが、得失点差で及ばずグループ2位となり、UEFAネーションズリーグ初代王座を獲得することはできなかったのである。(この項、終わり)

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