第2477回 欧州選手権予選で連勝スタート(4) 初戦はモルドバに快勝

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■試合前日にルカ・ディーニュ、試合前の練習中にキングスレイ・コマンが負傷

 115年の歴史を誇るフランスの対戦歴においてモルドバは83番目の対戦国となる。モルドバにとって初めて世界チャンピオンとの対戦となるとあって、会場のキシナウのジンブル競技場は満員となる1万500人の観衆が集まったが、そのうち500人はフランスからのファンである。
 試合前にフランスにはちょっとしたアクシデントがあった。元々のディディエ・デシャン監督は左サイドのDFにルカ・ディーニュ、左サイドの攻撃的MFにはキングスレイ・コマンを起用する予定であった。ところが、ディーニュは試合前日の練習で負傷してしまい、レイバン・クルザワを起用することになる。また、コマンは2018年2月に負傷し、最後に代表の試合に出場したのは2017年11月10日のウェールズ戦である。左サイドのクルザワも最後の代表出場試合が2017年11月14日のドイツ戦である。左サイドはコマンとクルザワの久しぶりの復帰組でコンビを組む予定であった。しかし、コマンも試合前のウォーミングアップの最中に負傷してしまい、メンバー提出の最後の瞬間にブレーズ・マツイディの名前をメンバー表に書き込んだという次第である。

■先制点はアントワン・グリエズマンのボレーシュート

 試合は白のユニフォーム、フランスのキックオフで始まった。フランスは立ち上がりから試合を支配する。フランスの選手は右から左から攻撃を仕掛け、モルドバは防戦一方になり、最初の15分間はモルドバはボールを保持してフランス陣内に入ることができなかった。18分にはキリアン・ムバッペが倒され、ピッチの外に出るシーンもあったが、復帰する。フランスにも緩慢なプレーが目立ち、モルドバの選手にボールを奪われるシーンがある。フランスに先制点が生まれたのは24分のことであった。ポール・ポグバからのパスを受けたアントワン・グリエズマンは25メートルの位置から左足でボレーシュート、ボールはバーのすぐ下を通り、ゴールネットを揺らす。

■ラファエル・バラン、オリビエ・ジルーが追加点

 この1点でフランスの攻撃に火が付いた。27分には右サイドのCKをグリエズマンが蹴り、ニアポストにいたラファエル・バランがヘディングでシュート、モルドバのGKのアレクセイ・コスレフのセービングも届かず、フランスに2点目が入る。さらに36分にはポグバからマツイディとパスがつながり、マツイディが相手をかわしてクロスをあげる。ここで待っていたのがオリビエ・ジルーである。ジルーの左足のシュートが決まり、3-0となる。ジルーはこれで代表通算34得点目となり、二冠を達成した時の中心メンバーのダビッド・トレゼゲと並び3位となり、いよいよ2位のミッシェル・プラティニの41得点が見えてきた。また、フランスが3得点以上をあげたのはワールドカップの決勝のクロアチア戦(4-2)以来となった。

■20歳のキリアン・ムバッペ、早くも代表通算11得点

 3点をリードして折り返した後半も試合のペースは変わらなかった。攻めるフランスに対し、モルドバがブロックを固めて守備をするという構図が続く。モルドバは枠内にシュートを放つことができない。
 試合終盤になってもフランスの運動量は落ちず、87分には途中交代出場のトマ・ルマールが相手からボールを奪ってペナルティエリア内のキリアン・ムバッペにパス、右足で決めて4-0となる。ムバッペはまだ20歳、代表出場29試合目で11得点となった。ティエリー・アンリの51得点を抜くことは十分に可能であろう。
 このまま完封勝ちかと思われたが、終了間際の89分、モルドバがゴール前にクロスを放り込む。これを6か月ぶりの代表戦となるサミュエル・ウムティティはクリアできず、1点を失ってしまうが、これがモルドバにとって最初で最後の枠内シュートであった。  アウエーでフランスが3点差をつけて勝利したのは2014年の秋以来である。モルドバのアレクサンドル・スピリドン監督は試合後、これだけ力の差の相手との対戦は初めてだった、と脱帽する。
 フランスは欧州選手権予選を快勝でスタートしたのである。(続く)

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