第2572回 競り合いの続く欧州選手権予選(2) オリビエ・ジルーのPKでアイスランドに勝利

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■ホームでフランスに追いつくことを狙うアイスランド

 フランスとアイスランドの過去の対戦成績はフランスが10勝4分と大きくリードしている。フランスがこれまでに負けたことがない国のうち、最も多く対戦しているのがアイスランドである。最新の対戦は今年3月25日の欧州選手権予選、本連載の第2478回から第2480回にかけて取り上げたが、フランスが4-0と勝利している。また、その際に昨年のワールドカップ以降、アイスランドが低迷していると紹介したが、欧州選手権予選ではフランス戦以外ではアウエーのアルバニア戦で敗れた以外は4勝し、勝ち点を確実に獲得してフランスと勝ち点3の差で地元で直接対決を迎える。
 アイスランドは昨年行われたヨーロッパリーグ予選では振るわなかったが、ワールドカップ、欧州選手権の予選のホームゲームでは2013年以降敗れたことはない。レイキャビクのラウガルタルスベルル競技場は収容人員1万人に満たないが、フランスに史上初めての勝利をあげる瞬間を見ようと9,700人のファンが集まった。

■試合直前にエンゴロ・カンテが負傷、急遽ムーサ・シッソコが出場

 フランスの先発メンバーはGKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からバンジャマン・パバール、主将のラファエル・バラン、クレマン・ラングレ、ルカ・ディーニュ、MFは低い位置にムーサ・シソッコ、コランタン・トリッソ、攻撃的な位置には右からキングスレー・コマン、アントワン・グリエズマン、ブレーズ・マツイディ、FWはオリビエ・ジルーである。守備的なMFにはエンゴロ・カンテの先発を予定していたが、ウォーミングアップ中に負傷したため、試合直前にシソッコが先発することになった。またアイスランドはフィジカルを前面に戦うことが予想されたのでマツイディを起用した。
 一方のアイスランドであるが、ベテラン勢を中心に起用しており、先発メンバーの平均年齢は30歳、平均代表出場試合数は60である。平均年齢が27歳のフランスの先発メンバーで30歳以上は34歳のマンダンダ、33歳のジルー、32歳のマツイディだけである。

■なかなかシュートに結び付けられないフランス

 試合は立ち上がりにアイスランドがフランスゴール前にクロスをあげるが、得点には至らない。開始早々にフランスゴールを襲ったアイスランドに対し、白いユニフォームのフランスはパスをつないで試合を支配し始める。しかしながら、なかなかシュートに結びつけることができず、フランスは28分までシュート数わずかに1、枠内シュートはゼロという数字が物語るとおり、思うような試合運びにならなかった。そして28分にジルーはペナルティエリア内でのアイスランドの選手のハンドを主審に主張するが、認められず、逆に警告を受けてしまう。この苛立ちが前半のフランスを象徴している。ようやくフランスが初めての決定機を迎えたのが42分、この日ルカ・エルナンデスをおさえて先発出場した左サイドのディーニュがペナルティスポット付近のグリエズマンにクロス、グリエズマンは左足でシュートしたが、威力なくアイスランドのGKに阻まれる。

■2回連続失敗のアントワン・グリエズマンに代わりオリビエ・ジルーがPKを成功

 フランスは得点こそなかったが、アイスランドの攻撃を完全に封じて前半を終えた。後半に入るとフランスは攻撃のリズムをつかむ。64分にペナルティエリア内でパスを受けたグリエズマンがアイスランドのDFに倒され、フランスはPKを得る。さてPK実はフランスは直近の2つのPKを失敗している。いずれもグリエズマンが蹴ったが、グリエズマンは代表の中では最も信頼されているPKのキッカーであり、試合前日も念入りにPKの練習をしていた。しかし、ここでキッカーはジルー、左足で蹴り、アイスランドのGKは完全に逆を突かれた形となり、フランスがようやくゴールをこじ開けた。
 その後はフランスが安定した試合運びを行い、フランスは1-0と勝利する。この試合、ディディエ・デシャン監督にとっては97試合目の指揮となったが、選手として103試合出場しており、通算200試合という記念すべき試合を白星で飾ったのである。(続く)

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