第2729回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(6) キリアン・ムバッペの唯一の枠内シュートで勝利

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■スウェーデンの期待の若手、デヤン・クルゼルスキ

 前回のワールドカップ予選でフランスに土をつけたスウェーデンは、本大会でもベスト8に入り、第1回のUEFAネーションズリーグではリーグBであったが、グループ首位となり、リーグAに昇格した。
 上り調子のチームであるが、これといったスター選手がいるわけではない。もちろん、主将で代表出場歴118試合のセバスティアン・ラーションのような選手もいるが、酢で位35歳、スターというよりはレジェンドといった方がふさわしいであろう。その中で注目すべきは20歳のデヤン・クルゼルスキであろう。名前からわかる通り、バルカン系であり、マケドニア人の両親のもとでスウェーデンで生まれた20歳の若者である。左足のテクニックに優れているが、5か国語を操る語学の名手でもある。年代別代表の常連であり、昨年9月に代表にデビューしている。今季からユベントスに移籍している。スウェーデンも久しぶりの代表戦であり、先発出場なるかと思われたが、ベンチスタートとなった。

■シュートの打てないフランス

 スウェーデンのキックオフで始まった試合、試合開始早々からスウェーデンは攻勢に出る。2分には両チームを通じて唯一の代表デビューとなったダヨ・ウパメカノが相手とのタックルで早くもイエローカードをもらう。フランスではもう1人の注目選手のアドリアン・ラビオであるが、中盤でエンゴロ・カンテとコンビを組み、スウェーデンの攻撃の芽をうまく摘み取っている。
 フランスはパスをつなぐサッカーを展開し、ボール支配率では大きくスウェーデンを上回るものの、シュートまでつなげることができない。特に前方の3人、アントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペがほとんど前を向いてボールを持つことができないままに時間が過ぎていく。
 一方、フランスが思うような試合を展開することができなくなる中で、前半も20分過ぎからは、スウェーデンは次第に攻撃の回数も多くなってきた。そして38分にはスウェーデンは決定的なチャンスをつかみ、ベテランFWのマルクス・ベリがゴール前に飛び出すが、これをウーゴ・ロリスが好セーブ、なおもスウェーデンは得点機であったが、最後はラファエル・バランがクリアした。

■キリアン・ムバッペが放ったチームの初シュートが先制点

 フランスのベンチにも焦りが見られる中で、これを打開したのがムバッペであった。41分に左サイドのグリエズマンからパスを受けたムバッペはゴールライン沿いの狭いスペースをドリブルで突破し、ほとんど角度のないところから左足でシュートし、ニアポストとスウェーデンのGKのロビン・オルセンのほとんど隙間のないコースにゴールを決めた。試合が始まって41分経過して、これがこの試合でフランスの初めてのシュートであった。ムバッペの個人技が先制点になったのである。
 後半に入ると1点リードしているフランスは前半とは見違えるような立ち上がりとなる。しかし、それでもなかなかシュートはできず、ボール保持率もスウェーデンがじわりじわりと上昇させてくる。70分にはこの試合で初めての選手交代をスウェーデンベンチが仕掛け、注目のクルゼルスキがピッチに入る。この時点でスウェーデンもシュート数6、枠内は1と攻撃陣は低調であり、新星に期待したい。一方のフランスも後半に入って3本シュートはあったが枠をとらえることはできなかった。

■アントワン・グリエズマン、またPKを失敗するが、試合は1-0の勝利

 この後は両チームが積極的に選手交代を行い、アディショナルタイムも長くとられた。そして94分、スウェーデンのビクトル・リンデロフがペナルティエリアの中で試合途中でムバッペに代わって入ってきたアントニー・マルシャルを倒してしまい、フランスにPKが与えられたフランスはアントワン・グリエズマンがPKを蹴るが、これを外してしまい、追加点はならなかった。グリエズマンは昨年の9月のワールドカップ予選でもアルバニア戦、アンドラ戦で連続してPKを外している。
 試合はフランスが1-0と勝利し、国際試合でのアウエーでの連勝を4に伸ばしたのである。(続く)

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