第2734回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(11) 若手が先発するフランス、GKが次々と去ったウクライナ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■レオ・デュボワが新型コロナウイルスで離脱

 前回の本連載では10月に行われるUEFAネーションズカップのポルトガル戦とクロアチア戦、そしてそれらの前に行われる親善試合のクロアチア戦という3連戦に臨む24人のメンバーを紹介した。フランス代表はウクライナ戦の2日前の10月5日にクレールフォンテーヌで練習を開始したが、新型コロナウイルスの再流行の猛威は止まらず、ウクライナ戦の前日の10月6日にレオ・デュボワが陽性反応を示し、メンバーから外れた。ディディエ・デシャン監督は9月の際はメンバー入りしていたフェルラン・マンディを呼び戻した。

■フランスをワールドカップ予選敗退直前まで追い込んだ7年前の対戦

 ポルトガル戦の前に行われる親善試合で対戦するウクライナであるが、フランスと同じリーグAに入っている。第1回大会ではリーグBであったが、優勝してリーグAに昇格している。グループ4に入り、第1節はスイスにホームで勝利、第2節はアウエーでスペインに敗れており、フランスとの親善試合の直後にはホームでドイツ、スペインを迎え撃つ。
 ウクライナはソ連解体後に生まれた国であり、フランスとの過去の対戦歴は9試合であり、戦績はフランスの5勝3分1敗である。しかし、手ごわい相手であり、1999年に欧州選手権予選が初対決であったが、この時はスタッド・ド・フランスでもキエフでもスコアレスドローであった。そして直近の対戦は2014年ワールドカップブラジル大会予選のプレーオフである。2013年11月に行われた試合、まずキエフではウクライナが2-0と勝利する。これがウクライナのこれまでのフランス戦の唯一の勝利であったが、フランスをワールドカップ予選敗退の瀬戸際に追い込んだ。4日後にスタッド・ド・フランスでの試合、3点差以上の勝利が欲しいフランスは、前半にママドゥ・サーコとカリム・ベンゼマが得点を挙げ、後半の72分にサーコが3点目を奪い、見事に逆転してブラジル行きをつかんだのである。

■貴重な親善試合、9月に初招集された3人がそろって先発

 もともとウクライナとは3月末に親善試合を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染により中止になった。7年ぶりの対戦となるウクライナ戦、7年前と同じスタッド・ド・フランスでの対戦となる。フランスにとって親善試合は昨年6月2日のボリビア戦以来であり、それ以降は欧州選手権予選を8試合、UEFAネーションズリーグを2試合と10試合はタイトルマッチであった。UEFAネーションズリーグ創設の目的の1つは、力の拮抗した相手とのタイトルマッチを増やし、親善試合を少なくすることであるが、貴重な親善試合の機会を有意義に活用したい。
 フランスの先発メンバーはいかにも親善試合という陣容となった。GKはスティーブ・マンダンダ、DFは4バックに戻し、右からバンジャマン・パバール、ダヨ・ウパメカノ、クレマン・ラングレ、ルカ・ディーニュと並ぶ。MFは4人、ダイヤモンド型に配され、中央の低い位置にスティーブン・エンゾンジ、右にエドゥアルド・カマビンガ、左にコランタン・トリッソ、中央の高い位置にホッサム・アウア、FWは2トップで右にオリビエ・ジルー、左にアントニー・マルシャルとなる。9月の新人3人がそろって先発、アウアは満を持しての代表デビューとなる。また、ウーゴ・ロリス、ラファエル・バラン、ポール・ポグバという主将候補者は先発しておらず、主将はジルーが務める。ジルーはこの試合が代表出場100試合目となる。

■GKが次々と新型コロナウイルスで陽性となったウクライナ

 一方のウクライナであるが、こちらも新型コロナウイルスの感染拡大に悩まされた。ウクライナは出発前に正GKのアンドリー・ピアトフなど2人が陽性反応を示して、出国できなかった。さらにパリ入りして、いよいよ明日から試合という10月6日、GKのアンドリー・ルニンとユーリー・パンキフの2人がそろって陽性となり、ホテルに足止めとなった。フランス戦は代表出場経験のないGKのヘオリー・ブスキャンが初代表となり、控えのGKにはGKコーチが名を連ねるという緊急事態となったのである。(続く)

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