第3030回 思わぬ結果となったUEFAネーションズリーグ(6) クロアチアにホームで敗れ、優勝の可能性が消える

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■調子の上がらないフランス

 前回王者として臨んだUEFAネーションズリーグ、ワールドカップへの試金石という位置づけもあったが、ホームでデンマークに敗れ、クロアチア、オーストリアとアウエーで引き分け、3試合を終えた時点で最下位となっている。ここまで勝ち点を積み上げられないのは、12年前の南アフリカワールドカップ以来のことである。グループA1はデンマークが連勝スタートし、第3節でホームでクロアチアに敗れながらも、勝ち点6で首位、続いて1勝1分1敗の勝ち点4でオーストリアとクロアチアが並ぶが、得失点差で上回るオーストリアが2位となる。
 試練に立たされたフランスの第3節はホームでのクロアチア戦である。ワールドカップ決勝から4年、両チームともここまでの成績は不本意である。両チームとも4連戦の最後を有終の美で飾りたい。
 フランスとクロアチアの初対戦は1998年ワールドカップの準決勝である。これまでの対戦成績はフランスの6勝3分、フランスがこれまでに負けたことのない相手である。

■4バックシステム、カリム・ベンゼマとキリアン・ムバッペの2トップ

 フランスの先発メンバーであるが、この日も4バック、2トップである。GKにマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、イブラヒマ・コナテ、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、MFは右からクリストファー・ヌクンク、ブバカル・カマラ、マテオ・ゲンドウジ、アドリアン・ラビオ、FWは2トップで右にカリム・ベンゼマ、左にキリアン・ムバッペという布陣であり、主将はキンペンベが務める。
 注目すべき点がいくつかある。GKに主将のウーゴ・ロリスではなくメニャンを起用したのはロリスのコンディションやパフォーマンスではなく、世代交代を意識したものであろう。リール、ACミラン(イタリア)で好成績を残している26歳のメニャンもまだ代表では3試合しか出場していない。これまでの3試合で左サイドのミスが多く、経験豊富なディーニュをアウエーでのクロアチア戦に続き起用する。攻撃陣ではここまで連続して先発してきたグリエズマンを外した。アウエーのクロアチア戦で負傷し、前の試合のオーストリア戦では無理を押して途中交代出場し、同点ゴールをあげたキリアン・ムバッペはコンディションが十分ではないが、先発した。

■開始早々にPKで先制を許したフランス

 6月13日、20時45分にスタッド・ド・フランスでキックオフされた試合、フランスはこのシリーズで初めて白いユニフォームを着用したが、流れを変えることはできなかった。開始早々にクロアチアはCKのチャンスを得る。右サイドからヨシプ・ブレカノが蹴ったボールのターゲットはアンテ・ブディミール、コナテの足がブディミールのかかとと交錯して倒してしまう。VARの結果、クロアチアにPKが与えられる。キッカーはルカ・モドリッチ、シュートしたボールにメニャンは正しい方向に反応し、触ることはできたが、ボールの勢いを完全に止めることはできず、クロアチアが5分に先制点を奪う。序盤はクロアチアのゲームであったが、ホームのフランス、7万8000人の観衆の声援に押されて次第にリズムをつかむ。一方、クロアチアは中盤の守備を固め、フランスに最前線までボールを供給させまいとし、フランスは得点をあげることなくハーフタイムを迎える。

■無得点に終わり、歴史的な敗戦となる

 ディディエ・デシャン監督は後半開始時に2人の選手交代を行い、バンジャマン・パバール、オーレリアン・チュアメニを投入する。フランスはパスをつなぎ、シュートを積極的に放つものの、ヌクンクからのパスを角度のないところからムバッペが放ったシュートも得点にはならない。終盤にはアントワン・グリエズマンを投入したが、得点をあげることはできず、0-1のまま試合は終了する。クロアチアに対して初めて敗れてしまった。
 もう1つの試合でデンマークが勝利したため、首位との勝ち点差は7となり、フランスがこのグループで優勝する可能性はなくなった。そしてこれまで23試合続けてきた連続得点の記録も途切れ、ワールドカップを前に暗雲が立ち込めたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ