第3029回 思わぬ結果となったUEFAネーションズリーグ(5) オーストリアに引き分け、最下位に陥落

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■オーストリアの新監督ラルフ・ラングニック

 ホームでデンマークに敗れ、クロアチアでは引き分けとなったフランスは勝ち点1でグループA1では3位にとどまっている。第2節のもう1つの試合はウィーンで行われたオーストリア-デンマーク戦、第1節で勝利したチーム同士の戦いは終盤にデンマークが決勝点をあげて勝利した。この結果、第3節を迎える段階の順位は首位デンマーク(2勝)、2位オーストリア(1勝1敗)となっており、勝ち点1でフランスとクロアチアが追う。
 第1節でアウエーでクロアチアに勝利したオーストリアであるが、この試合には主将のダビド・アラバは欠場していた。レアル・マドリッド(スペイン)に所属し、欧州チャンピオンとなったアラバは休息のため、クロアチア戦のメンバーから外れたが、その穴を埋める活躍をしたのがRCランスに所属するケビン・ダンソである。そして今年からオーストリア代表の監督に就任したラルフ・ラングニックを忘れてはならない。ドイツ人のラングニックはドイツ国内のクラブの監督を歴任、行く先々で弟子となったいわゆるラングニック派が一大勢力となっている。そのラングニックが初めて国外に出たのが昨季の秋、イングランドのマンチェスター・ユナイテッドの暫定監督となった。シーズン終了後に初めての代表監督としてオーストリアの地に赴いた。就任後初めての試合がクロアチア戦、3点を取って完勝、地元ファンは期待が膨らんだ。
 しかし、第2戦はデンマークに先制され、追い付いたものの、最後に決勝点を奪われている。なお、この試合の終了後、ピッチに30センチくらいの穴が開き、フランス戦の前も入念に点検が行われた。

■オーストリア戦も4バックで臨むフランス

 ディディエ・デシャン監督は、オーストリア戦も4バックで臨み、GKにウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ウィリアン・サリバ、イブラヒマ・コナテ、テオ・エルナンデス、MFは低い位置に2人、右にブバカル・カマラ、左にオーレリアン・チャウメニ、攻撃的な位置に3人、右からムサ・ディアビ、中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、左にキングスレー・コマン、そしてFWは1トップ、カリム・ベンゼマという布陣である。第2戦の途中で負傷退場したキリアン・ムバッペはベンチスタートとなった。

■ラファエル・バラン離脱後に招集されたイブラヒマ・コナテ

 第1戦のデンマーク戦とも重複しない顔ぶれとなったが、フレッシュなメンバーとしてはストッパーのコナテである。第2戦でラファエル・バランが負傷してチームを離脱し、リバプール(イングランド)に所属する23歳のコナテを急遽招集した。就任11年目となるデシャン監督が起用した100人目の選手は長身ストッパーであり、悪い流れをストップすることも期待された。

■オーストリアに先制され、キリアン・ムバッペのゴールで追いつく

 しかし、その流れは変わらなかった。立ち上がりからフランスは優勢に試合を進めるが、決定的なチャンスを作り出すことができないまま時間が経過する。一方、オーストリアは数少ないチャンスをフランスのゴール前までボールを運ぶ。先制点をあげたのはオーストリアであった。37分に右サイドからパスをつなぎ、最後はFWのアンドレアス・バイマンが右足でシュートを決める。前半終了間際にはベンゼマがシュートを放つがオーストリアのGKパトリック・ペンツが見事にセーブし、オーストリアが1点リードして折り返す。
 後半になっても得点の気配のないフランスは63分にムバッペとマテオ・ゲンドウジをグリエズマンとチュアメニに代わって投入する。ところがこの交代は攻撃に混乱をもたらしてしまい、組織的な攻めができなくなる。このまま得点をあげることなく敗れるのかと思われたが、それを救ったのがムバッペであった。試合終盤に交代出場してきたクリストファー・ヌクンクからのパスを受けたムバッペが左足を振り抜いて放ったシュートは好守を続けてきたペンツの守るゴールを破り、同点に追いつく。
 フランスは負けを免れたが、チームの状態は相当悪い。そして3戦を終えた段階で勝ち点2、グループA1で最下位に陥落したのである。(続く)

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