第3270回 欧州選手権予選を突破(1) 5連勝、無失点でオランダと対戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■かつてのサッカー代表に似て、勝負弱さが目立つラグビー代表

 地元開催での初優勝に期待の高まったラグビーフランス代表であるが、10月15日に行われた準々決勝で南アフリカに28-29と惜敗し、悲願達成はならなかった。前回大会も準々決勝でウェールズに19-20、2011年大会決勝もニュージーランドに7-8とそれぞれ1点差で敗れている。かつてのサッカーのフランス代表に似て大一番での惜敗が続いている。
 そのサッカーフランス代表は、かつての勝負弱さを克服したといえるであろう。2回目の地元開催となる1998年大会で優勝、2000年欧州選手権でも優勝、以後2002年ワールドカップ、2010年ワールドカップではグループリーグで敗退したものの、コンスタントに本大会出場、ワールドカップ、欧州選手権の予選敗退は1994年ワールドカップ米国大会が最後である。現在行われている2024年欧州選手権予選も本連載でも紹介している通り、第2シードでありながら、5戦全勝と好調である。

■アウエーのオランダ戦で勝利すれば、本大会出場決定

 そのフランスは本大会出場をかけて10月13日にアウエーでオランダと対戦する。10月のインターナショナルマッチデーは17日にリールでスコットランドと親善試合を行う。10月を迎えた時点でフランスの所属するグループBは、フランスが勝ち点15、4試合消化しているオランダと5試合消化しているギリシャがともに勝ち点9である。フランスはオランダに勝利すれば2位以内を確定し、本大会出場を決めることができる。また、引き分けの場合でも同日に行われる試合でギリシャがアイルランドに敗れても、本大会への切符が獲得できるが、ここまで5戦全勝で無失点という流れを考えれば、勝利を期待したい。

■9月とほぼ同じメンバーながら負傷離脱の相次ぐ守備陣

 オランダ、スコットランドとの連戦に向けて、10月5日にディディエ・デシャン監督は23人のメンバーを発表した。GKはアルフォンス・アレオラ、マイク・メニャン、ブリス・サンバの3人、DFはジョナタン・クロース、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、イブラヒマ・コナテ、ジュール・クンデ、バンジャマン・パバール、ウィリアム・サリバ、ダヨ・ウパメカノの8人、MFはエドゥアルド・カマビンガ、ユスフ・フォファナ、ブーバカ・カマラ、アドリアン・ラビオ、オーレリアン・チュアメニの5人、FWはキングスレー・コマン、ウスマン・デンベレ、オリビエ・ジルー、キリアン・ムバッペ、ランダル・コロムアニ、マルクス・テュラム、アントワン・グリエズマンの7人である。9月の連戦の当初発表されたメンバーと比べると、変更はわずか1人、アクセル・ディザジに代わってクロースが入っただけであった。
 しかし、シーズン中ということもあり、負傷による守備陣の入れ替えが相次いだ。サリバに代わってトディボ、クンデとウパメカノに代わってマロ・グストとディザジが入った。ところがディザジもメディカルチェックの結果、代表から離脱し、カステロ・ルケバが招集された。

■代表初招集となるリヨン出身のマロ・グストとカステロ・ルケバ

 追加招集されたグストとルケバは初めての招集となる。グストもルケバはともに20歳、さらにリヨン出身である。近年のフランス代表はパリ周辺出身者が多いが、かつてはリヨンやサンテチエンヌのあるローヌ・アルプ地方も多かった。グストはマルティニークにルーツを持ち、ルケバはアンゴラが出自である。パリに次ぐ経済圏であるリヨンもまた多くの国外をルーツとする選手の宝庫である。グストもルケバもリヨンの育成組織で育ち、グストは2020年に、ルケバは2021年にリヨンとプロ契約をしている。今年の初めにグストはイングランドのチェルシーに移籍するが、リヨンにレンタルされている。一方、ルケバは今夏にドイツのRBライプチヒに移籍した。ルケバは来年のパリオリンピックに出場するアンダーエイジのメンバーで同時期に21歳以下のフランス代表に選出されていたが、今夏から監督になったティエリー・アンリとフル代表の監督のデシャンの交渉の結果、フル代表に引き上げられることになったのである。(続く)

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