第3286回 欧州選手権予選フィナーレ(4) 全勝をかけた予選最終戦のギリシャ戦

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■1位フランス、2位オランダが予選突破を決めたグループB

 ジブラルタル相手に14-0と大差で勝利したフランスは予選で7連勝、グランドスラムの全勝優勝に向けて残るは11月21日に行われるアウエーでのギリシャ戦だけとなった。
 さて、ここで最終節を前にしたグループBの状況を確認しよう。フランスがニースでジブラルタルに大勝したのと同時に行われたのがオランダ-アイルランド戦であり、オランダは前半にボウト・ヘグホルストが得点をあげ、1-0で勝利している。この結果、グループBの首位は勝ち点21のフランス、2位は5勝2敗で勝ち点15のオランダとなった。オランダはフランスに連敗した以外の5試合は勝利している。3位は4勝3敗(勝ち点12)のギリシャ、4位は全日程を終了した2勝6敗(勝ち点6)のアイルランド、最下位は7敗のジブラルタルである。
 最終節はギリシャ-フランス戦とジブラルタル-オランダ戦が行われる。2位のオランダを勝ち点3差で追うギリシャは最終戦で勝ち点でオランダに追いつく可能性はあるが、勝ち点で並んだ場合は当該チームの対戦成績で決まるため、直接対決で2勝しているオランダは最終戦を前に2位を確定、本大会出場を決めた。以下ギリシャ、アイルランド、ジブラルタルの順位も確定した。

■予選で10戦全勝、世界ランキング1位を狙うフランス

 このように書くとこの試合に関するモチベーションは両チームにないように思われるが、そうではない。フランスにとってはこの試合で勝利すれば、2023年に行われたタイトルマッチで8戦全勝となる。フランスがタイトルマッチで年間全勝するのは、2003年の10戦全勝以来のことである。また、フランスが勝利し、同日に行われるワールドカップ南米予選でアルゼンチンがブラジルに敗れれば、フランスが世界ランキングで1位になることができる。
 ギリシャにとっては来年の欧州選手権には予選リーグ経由での出場の道は断たれたが、UEFAネーションズリーグの成績により、プレーオフ経由で本大会に出場することができる。そのプレーオフの準備のためにもフランスのような力のある相手と戦うことは意味がある。

■ジブラルタル戦とは大きくメンバーを変えたフランス

 ディディエ・デシャン監督はジブラルタル戦とは大きくメンバーを変えたが、4-2-3-1システムを堅持した。ギリシャのアテネ、アギア・ソフィア競技場にデシャン監督が送り出した先発メンバーは次のとおりである。GKはブリス・サンバ、DFは右からジュール・クンデ、ウィリアム・サリバ、ルカ・エルナンデス、テオ・エルナンデス、MFは低い位置にアドリアン・ラビオとユスフ・フォファナ、攻撃的な位置は右にウスマン・デンベレ、左にランダル・コロムアニ、FWはワントップでオリビエ・ジルーが位置する。

■84試合連続出場のアントワン・グリエズマン、3試合目の主将

 前の試合まで主将を務めていたキリアン・ムバッペがベンチスタートのため、グリエズマンが主将となる。グリエズマンはこれが代表で127試合目の出場、そして2017年8月31日のオランダ戦以来84試合連続出場であるが、主将としてプレーするのはこれが3試合目となる。
 また、GKのサンバは所属チームのRCランスでも21年ぶりのチャンピオンズリーグを戦っているが、フランス代表の試合に出場するのは6月16日のアウエー(ポルトガルのファロ)でのジブラルタル戦に次いで2試合目となる。ジブラルタル戦ではほとんど守備機会もなかったが、ギリシャ相手にどれだけの力を発揮できるか、問われている。
 ギリシャとのこれまでの対戦成績はフランスの7勝1分1敗であり、最新の対戦は6月19日に行われた予選のホームゲーム、スタッド・ド・フランスで行われた試合でフランスはムバッペのPKの1点だけで、終盤にギリシャが退場者を出して1人少なくなったものの追加点を奪えず1-0という最少得点の勝利にとどまっている。6月のホームゲームでは出場していなかった最年長のジルーがトップで先発、ジブラルタル戦に続いてゴールをどこまで積み上げることができるか、注目したい。(続く)

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