第3287回 欧州選手権予選フィナーレ(5) ギリシャとドロー、全勝を逃す

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■前半終了前にランダル・コロムアニが先制点

 ギリシャのアテネ、アギア・ソフィア競技場のピッチに立ったフランス代表は純白のユニフォームである。このアギア・ソフィア競技場はヨーロッパリーグのグループリーグで11月9日にマルセイユがAEKアテネを2-0と下したばかりである。この試合に出場していたジョナタン・クロースはベンチスタート、一方のAEKアテネ所属のロタ・ラザロスはリベンジを誓う。
 試合は両チームともペースをつかめない立ち上がりであったが、ようやく12分、フランスはウスマン・デンベレがこの試合初めてのシュートを放つ。試合は次第にフランスのペースとなる。
 33分にフランスはユスフ・フォファナがヘディングでうまくつないでキャプテンマークを巻いたアントワン・グリエズマンが左足でシュート、ギリシャのGKオディッセアス・ブラホディモスは完全に破られたが、ボールがポストに当たって救われた。優位に試合を進めたフランスの攻撃を抑え込んできたギリシャであるが、前半の終盤にフランスは均衡を破った。フォファナがペナルティエリア内のオリビエ・ジルーにパス、ジルーのパスをランダル・コロムアニが右足でシュート、これがギリシャのゴールに入る。グランドスラムにつながるコロムアニの得点で前半は1-0とフランスがリードして折り返した。

■後半に入りギリシャに逆転を許す

 予選での全勝まで残り45分、後半最初の得点はギリシャであった。アナスタシオス・バカセタスがフランスのクリアボールを奪ってシュート、フランスのGKブリス・サンバも及ばず、フランスはギリシャに追いつかれる。予選8試合目にして2つ目の失点である。追いつかれたフランスは60分にコロムアニがゴールを狙い、枠には収まるものの、GKのブラホディモスに防がれた。
 そして61分、ギリシャは左サイドからクロス、これをゴール前で受けたフォティス・ヨアニディスがシュート、ギリシャが逆転する。そしてギリシャにとってはフランスとの対戦10試合目にして初めて複数得点をあげた。

■ユスフ・フォファナが同点ゴール、ドローで試合終了

 全勝に赤信号がともったフランスは64分にコロムアニに代えてキリアン・ムバッペを投入する。そしてキャプテンマークをグリエズマンに代わって着用、同点、逆転に向けたチームの執念を感じる。さらにキングスレー・コマン、マルクス・テュラムもピッチに送る。この立て続けの選手交代がカンフル剤となったのか、MFのフォファナが自らの前にあるスペースを活かし、25メートルの距離からのシュート、これがネットを揺らし、フランスは同点に追いついた。フランスは89分に逆転機を迎えたが、これは得点ならず、後半の96分にはムバッペが20メートルの位置からシュートをするが、バーに当たり、ノーゴール、結局試合は2-2のドローで終了した。
 フランスは圧倒的に攻めたものの、ギリシャは枠内に放ったシュート2本両方が得点となった。

■24か国がドイツで戦う本大会

 最終戦で勝利を逃したフランスは7勝1分で予選を終了、2位は6勝2敗のオランダとなる。3位のギリシャは予選経由での本大会出場にはならなかったがUEFAネーションズリーグでの成績により、来年3月に行われるプレーオフ進出を確保、再び欧州選手権出場を目指す。
 開催国ドイツとウクライナ侵攻により排除されたロシアを除く53チームが出場し、10のグループに分かれて予選を戦ったが、予選で全勝したのは6チームから形成されるグループJのポルトガルだけであった。グループJは2位のスロバキアが予選突破となったが、3位のルクセンブルク、4位のアイスランド、5位のボスニア・ヘルツェゴビナの3チームもUEFAネーションズリーグの成績でプレーオフ進出というハイレベルなグループであった。
 予選突破したのはスペイン、スコットランド、フランス、オランダ、イングランド、イタリア、トルコ、クロアチア、アルバニア、チェコ、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、セルビア、デンマーク・スロベニア、ルーマニア、スイス、ポルトガル、スロバキアの20チームであり、これに開催国ドイツとプレーオフの勝者3チームを加えて本大会での戦いを繰り広げるのである。(この項、終わり)

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