第148回 UEFAカップも惨敗(4) 不本意な成績の3回戦第1戦

■5チームが3回戦に出場

 UEFAカップ3回戦にはフランス勢5チームが出場した。欧州チャンピオンズリーグからのリタイア組のリヨン、ランス、オセール、1回戦からの勝ち上がり組のボルドー、パリサンジェルマンのそれまでの戦いについてはこれまで紹介してきた。4回戦は来年2月下旬に行われるため、年が明けてもファンが欧州の夢を見続けることができるかどうかという観点では重要な戦いである。ここで敗れたチームは早々に国内のタイトルに専念することになる。

■ホームで1点差勝利のパリサンジェルマン

 フランス勢の先陣を切ってパリサンジェルマンが11月26日にパルク・デ・プランスにポルトガルのボアビスタを迎えて第1戦を行った。本連載第135回から第139回で紹介したデビスカップの決勝が、その週末にパリで予定されていたことから、パリジャンの注目はテニスに集まり、ほとんど空席のスタジアムでひっそりと試合はキックオフされた。ボアビスタは1回戦でイスラエルのマカビ・テルアビブ、2回戦でキプロスのアルノトシスとくじ運に恵まれたこともあって欧州のビッグクラブと対戦する機会に恵まれたが、パリサンジェルマンとの力量の差は明白である。これほど力の差があるチームと試合をするのは久しぶり、ということもファンの足を遠ざけたのであろう。
 そしてスタジアムに駆けつけた熱心なサポーターの期待に応えたのがアレックス・ニャルコである。16分にアンドレ・ルイスのFKから見事な先制点。ところがフレデリック・デウが29分と32分に立て続けに警告を受け、残り時間ほぼ1時間という段階でパリサンジェルマンは1人少ない戦いを余儀なくされる。ところが力量の差は人数の差を感じさせず、その後もパリサンジェルマンが試合を支配、前半終了間際にはニャルコがアシストしファブリス・フィオレスが追加点。これで勝負あったかに見えたが、パリサンジェルマンのモチベーションが維持せず、その後何度もあったゴールチャンスを逃す。一方ボアビスタは75分にルイス・クラウディオが1点を返す。結局2-1でパリサンジェルマンがホームで戦勝したが、わずか1点差でアウエーゲームを迎えることに不満の残る内容であった。

■ホームで完敗のボルドー

 その他にホームで第1戦を戦ったチームがボルドーである。ボルドーはベルギーの名門アンデルレヒトとの対戦。ボルドーのサポーターで有名なのが、ローラン・ルノー、一方のアンデルレヒトはピエール・イブ・カルパンティエが著名である。日本でも有名なこの2人が応援する両チームの対戦であるが、リーグ戦では満員になるボルドーのシャバン・デルマスも約3分の1の入りの観衆1万2000人。やはり欧州カップで観客を動員することはどのクラブでも苦労しているのであろう。スタンドが寒いだけではなく、ピッチの上もところどころ凍結している状態で試合が行われた。試合内容もボルドーにとってはこの上なく寒く、9分にはネナド・ジェストロビッチの先制点を許す。パウレタ、クリストフ・デュガリー、パスカル・フェインデューノ、ジャン・クロード・ダルシュビユなど本連載でもおなじみの攻撃陣を誇るボルドーはゴールを奪えず、逆にロスタイムにはアルバニア代表のベスニク・ハシに追加点を許す。ホームの第1戦で0-2と絶望的なスコアで師走の第2戦を迎えることになったのである。

■アウエーでリヨンは引き分け、オセール、ランスは負ける

 一方、残りの3チームはアウエーで第1戦を迎えた。フランス時間での3試合のキックオフ時間は試合会場の緯度に応じて異なり、トルコのデニズリでのデニズリシュポール-リヨンが18時キックオフ、スペインのセビリアでのベティス-オセール戦が21時30分、ポルトガルのポルトでのFCポルト-ランス戦が22時30分となっている。東西に広がる欧州ならではの楽しみである。(ちなみにボルドー-アンデルレヒト戦は20時)
 しかし、楽しみは時間とともに絶望に変わる。まず、1回戦でロリアンを破ったデニズリシュポール相手にリヨンが仇を討ってくれるのではないかと期待したが、スコアレスドロー。敵地での引き分けは悪くはない結果であるが、昨年のリーグチャンピオンには勝ち星を期待するのが普通であろう。
 ボルドーが同点に追いつけず、終盤を迎えている段階でオセールのセビリアでの試合がキックオフ。ボルドー同様、オセールも9分に失点。熱狂的なファンの応援にたじろぐことなく、オセールは追加点こそ許さなかったものの、ゴールを奪えず、0-1の最少得点差で敗れる。
 そして大西洋に臨むポルトでは涙雨の試合となった。ランスの主将であるGKギヨーム・ワルミューズがミスを連発。35分にキャッチングミスで先制点、前半ロスタイムにはなんでもないロングシュートをはじいてオウンゴール。終了間際にも3点目を許し、0-3と完敗。
 結局、フランス勢の第1戦はホームで1勝1敗、アウエーで1分2敗という成績にとどまり、12月12日の第2戦を迎えることになったのである。(続く)

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