第268回 欧州チャンピオンズリーグ・グループリーグ(2) ミュンヘンで勝利、リヨン首位に

■初戦白星のリヨンは第2戦をグラスゴーで落とす

 9月中旬の第1戦で上々のスタートを切ったフランス勢であるが、グループリーグは6試合、各グループの2位までに入らなければ決勝トーナメントに出場できないことから、6試合で二桁の勝ち点が欲しいところである。さて、9月30日と10月1日に行われた第2節はリヨンはグラスゴーでセルチック戦、モナコはホームでAEKアテネ戦、マルセイユはホームでパルチザン・ベオグラード戦という組み合わせである。マルセイユがパルチザン・ベオグラードに3-0で快勝したことは本連載第244回で紹介しているが、初戦を白星で飾ったリヨンとモナコも連勝して弾みをつけたいところである。
 リーグ戦で調子の出なかったリヨンは9月16日のアンデルレヒト戦の勝利でリーグ戦でも調子が上向きとなる。その勢いをスコットランドまで持っていきたかったところであるが、それはこの試合の前半までであった。前半は押し気味に試合を進めながら、無得点。6万の大観衆を沈黙させるに至らなかった。後半も半ば過ぎまで無得点が続くが、均衡を破ったのはホームのセルチックであった。70分に先制点を奪ったセルチックは78分に追加点を奪い、リヨンは0-2で敗れてしまう。初戦でセルチックを破ったバイエルン・ミュンヘンはアンデルレヒトと引き分け、第2節を終了した時点でグループAはトップがバイエルン・ミュンヘン、2位セルチック、3位リヨンとなったのである。

■グループリーグの分水嶺、第3戦と第4戦

 欧州チャンピオンズリーグのグループリーグにおいて第3戦と第4戦が一つのキーポイントとなる。それは第3戦と第4戦は対戦相手が同じであり、同じ相手と連戦することがグループリーグの分水嶺となるからである。第2戦を終了してグループAで3位のリヨンはバイエルン・ミュンヘン、グループCで1位のモナコはラコルーニャ、グループFで2位のマルセイユはポルトである。この連戦で少なくとも1勝しないことには決勝トーナメント進出は難しくなる。

■メンバーチェンジが功を奏し、終了間際に同点ゴール

 10月21日にリヨンはバイエルンを迎え、25分に先制を許す苦しい展開。しかし、後半に入りメンバーチェンジとシステム変更を行う。フランスリーグ随一の選手層を誇るリヨンであるが、豊富なメンバーを入れ替えることによってシステム変更を行い、相手守備陣を幻惑すると言うポール・ルグアン監督の戦術が見事に当たる。試合終了間際の87分にペギー・リュインデュラが起死回生の同点ゴール、そしてその後もバイエルンのゴールに迫ったがオリバー・カーンのスーパーセーブにより勝ち越しはならなかったが、この終了間際の同点劇の勢いがそのまま2週間後の第2戦に受け継がれていくことになったのである。

■エウベル、古巣相手に決勝点、第4節終了時点でリヨンが首位に

 そして11月5日、リヨンのイレブンはミュンヘンのオリンピックスタジアムに乗り込む。このスタジアムは1993年5月に欧州チャンピオンズリーグの決勝でマルセイユがACミランを1-0で下したフランス・サッカーにとっては栄光のスタジアムである。そしてそのマルセイユのタイトルが剥奪され、フランス勢にとっては因縁のスタジアムである。このスタジアムでフランスのリヨンが素晴らしい戦いを展開した。
 まず、6分にジュニーニョが先制点、15分に追いつかれるが、決勝点をあげたのは今年の8月までバイエルン・ミュンヘンに所属していたブラジル人選手であった。53分にエウベルがセンタリングを世界一のGKが守るゴールにたたきこんで勝ち越し点。ブラジル人選手の2ゴールによってリヨンはグループ内最大のライバルをアウエーで倒すと言う偉業を達成し、バイエルン戦を1勝1分と言う成績で乗り切り、第4節を終了した時点で2勝1分1敗、勝ち点7でグループトップに躍り出たのである。グループAは混戦で勝ち点6にセルチック、勝ち点5にバイエルン・ミュンヘン、勝ち点4にアンデルレヒトと4チームすべてがチャンスを残したまま終盤を迎えることになったのである。(続く)

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