第269回 欧州チャンピオンズリーグ・グループリーグ(3) モナコ記録的勝利、マルセイユ苦戦

■フェルナンド・モリエンテスの活躍でモナコ連勝

 グループリーグをアウエーの白星でスタートしたモナコは9月30日の第2戦ではホームのルイ2世スタジアムに異例とも言える1万4000人のファンを集めた。アウエーの初戦の勝利がファンの関心を呼び起こしたのであろう。モナコが迎え撃つAEKアテネは第1戦をホームで戦い、ラコルーニャと引き分けている。モナコの中盤のキーマンは一昨年までAEKアテネに所属していたギリシャ人のバシリス・ジーコスである。試合開始早々から敵ゴールを脅かしたのはAEKアテネであった。序盤にチャンスをつかむものの、モナコの守備陣が得点を防ぐ。序盤のピンチをしのいだモナコは試合の主導権を握り、ゴールラッシュとなる。ルドビック・ジウイが先制点、フェルナンド・モリエンテスが2点、そしてダボ・プルソが1点、合計4-0と言うスコアでモナコは連勝する。この結果、勝ち点8でグループのトップを守ると共に、通算3得点をあげたモリエンテスは得点ランキングでも全グループを通じてトップに躍り出たのである。

■アウエーゲームのラコルーニャ戦で初黒星、首位陥落

 前回の連載でグループリーグでは同じ相手と対戦する第3節と第4節が重要と書いたが、モナコにとってこれらの節の相手はラコルーニャである。1勝1分と2位につけるラコルーニャのホームゲームで始まる。3連勝を狙うモナコは試合開始早々から敵ゴールに襲い掛かるが、先制点を奪うことができず、試合の流れはラコルーニャに傾いていく。そして数多くの得点チャンスを逃したモナコとしては、アウエーゲームであり、それまでの2戦の勝ち点でラコルーニャを上回ることもあり、スコアレスドローと言う選択肢もある。しかしその考えが頭をよぎった83分に勝ち点を消えていった。ラコルーニャのディエゴ・トリスタンのシュートはモナコのGKフラビオ・ローマの足に当たってゴールの中に転がっていったのである。

■記録づくめの勝利でモナコ首位奪回

 第3節で首位から脱落したモナコであるが、2週間後のホームゲームで勝てば再び逆転できる。11月5日のモナコでの試合は記録的な試合になった。モナコの攻撃を支えてきたモリエンテスが試合開始直前に欠場すると言うアクシデントがあったが、2分にジェローム・ロタンが先制点。これがモナコの攻撃に火をつけた。11分にはルドビック・ジウイが追加点、26分と30分にはダボ・プルソが連続ゴールで4-0。ラコルーニャも39分にトリスタン、45分にリオネル・スカローニがゴールを決めて2点差に詰め寄るが、前半ロスタイムにプルソがハットトリック達成となるゴールを決めて前半だけで5-2と言うゴールラッシュ。後半開始早々の47分にはヤロスラフ・プラシル、49分にプルソが連続ゴールで5点差となる。その後両チーム1点ずつゴールを決め、結局8-3というラグビーのようなスコアでモナコが3勝目をあげ、首位に返り咲いたのである。ちなみにモナコの1試合8得点、両チーム合計11得点は大会史上最多となる新記録であり、プルソの1試合4得点はマルコ・ファン・バステン、シモーネ・インザーギと言う偉大なストライカーと並ぶタイ記録である。

■因縁のポルトガル勢のポルトに連敗したマルセイユ

 さて、マルセイユの第3戦と第4戦の相手はポルトである。マルセイユとポルトガル勢の試合というと本連載第266回で紹介した1989-90シーズンのベンフィカ戦は苦い思い出であるが、それ以来のポルトガル勢との戦いとなる。その時と同様に今回もマルセイユのホームゲームで始まった。ベロドロームの観衆は13年前の屈辱を忘れていない。大歓声に後押しされたマルセイユは24分に第2戦のパルチザン・ベオグラード戦でハットトリックを決めたディディエ・ドログバが先制。しかしその喜びも長く続かなかった。31分にポルトが同点に追いつき、35分には逆転を許す。後半に入り同点そして逆転を狙うマルセイユは攻撃を厚くするがそれが裏目になり、81分には3点目を許す。マルセイユも85分にスティーブ・マルレのゴールで1点差に詰め寄るがここまで、舞台は地中海岸から大西洋岸へと移されたのである。
 後半戦からグループE以降の試合が火曜日に行われるようになり、後半戦最初にフランス勢の登場となったマルセイユ。11月4日に行われた試合では地元のポルトが試合を支配する。そして21分にマルセイユでも得点をあげたドミトリー・アレニチェフが先制点をあげる。勝利を狙うマルセイユも果敢に攻め、何度か同点のチャンスもあったが、ゴールネットを揺らすことができず、結局ポルトとの戦いで連敗する。
 グループFは第4節を終了した時点でレアル・マドリッドが3勝1分で早々と決勝トーナメント進出を決める。勝ち点7のポルトがリードし、勝ち点3のマルセイユ、勝ち点2のパルチザン・ベオグラードが追う展開となっている。(続く)

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