第318回 欧州4強への道(5) ボルドー逆転負け、マルセイユ先勝

■ボルドーにとって鬼門のバレンシア戦

 チャンピオンズリーグでは、火曜日にモナコがレアル・マドリッドを下し、水曜日にリヨンがポルトに力及ばず、ベスト4が出揃ったが、その翌日の木曜日にはUEFAカップの準々決勝第1戦4試合が行われた。フランス勢はチャンピオンズリーグ同様2チームが準々決勝に進出し、チャンピオンズリーグとは逆にホームで第1戦を行う。フランス勢で先陣を切るのはボルドー、19時15分にスペインのバレンシアをシャバン・デルマス競技場に迎える。国内リーグでは中位をさまよい、国内カップ戦は2つとも敗退してしまったボルドーにとってUEFAカップだけが今季唯一可能性が残されたタイトルである。
 しかし、バレンシアはこのところスペインリーグでも好調であり、首位レアル・マドリッドと勝ち点1差の2位をキープしている。さらに、1999-2000シーズンのチャンピオンズリーグではバレンシアが準優勝しているが、2次リーグでボルドーとバレンシアは対戦している。この時はバレンシアで3-0、ボルドーで4-1といずれもバレンシアが大勝しており、ボルドーにとっては鬼門である。フランス人でさえ、バレンシアに勝つのは難しいと予想されていたが、ボルドーは思わぬ援軍を得た。マルセイユ出身のジャン・シャルル・クルーアンがボルドーのプロモーションを担当することになった。いかに大物政治家のアラン・ジュッペの存在があるにせよ、クルーアンの行動はボルドー、そしてマルセイユの市民に大きな衝撃を与えた。

■1人足りないボルドー、後半力尽き逆転負け

 ボルドーはベスト8決定戦で活躍したスペイン人コンビが母国のクラブチームを相手に活躍する。18分にアルベルト・リエラが先制点を決める。しかし、その10分後、リオ・マブバが乱暴なプレーにより一発退場、ボルドーは残り1時間、1人少ない戦いを余儀なくされる。前半こそ守りきったボルドーであったが、後半も中盤を過ぎると疲労が見え始め、75分にバラハのゴールによってついに追いつかれる。そして試合終了直前の88分にはルフェテに逆転ゴールを許し、1-2で敗れ、クルーアンの補強は裏目に出てしまう。バレンシアでの第2戦には少なくとも2点以上ゴールをあげて勝利が必要になった。

■フランス勢に相性のいいインテルミラノ

 クルーアンを失い、士気の低下が心配されたマルセイユはボルドーの足が止まった21時にベロドロームにインターミラノを迎えてキックオフ。インテルミラノはベスト16決定戦でのソショーとの対戦も記憶に新しいが、これまで欧州カップでフランスのチームと10回対戦し、そのうち9回がノックアウト方式での対戦となっているが、9回ともフランスのチームを下している。唯一のリーグ戦形式での対戦となった昨季のチャンピオンズリーグでのリヨンとの対戦は1勝1敗、インテルミラノが得失点差で下回りながら、リーグ戦トータルでの成績はリヨンを上回り、準決勝進出を果たしている。フランス勢と多数対戦したことがあるインテルミラノであるが、不思議なことにマルセイユと対戦したことはない。

■ディディエ・ドグロバ、値千金の決勝ゴール

 ジョゼ・アニーゴ監督は直前の週末にミラノを訪問して、インテルミラノのユベントス戦を観戦し、ボルドーに去ったクルーアンとは対照的に入念な準備を行う。マルセイユは攻撃陣を中心に負傷者が重なり、試合出場が期待できる唯一のFWはディディエ・ドグロバのみという厳しい戦いとなる。しかしこの厳しい状況がマルセイユを奮い立たせた。ドグロバは試合開始早々からオーバーヘッドキックを試みるなど6万大観衆の期待にこたえるプレーを見せる。そして後半開始早々の46分、ドグロバは均衡を破るゴールをGKの至近距離から蹴りこみ、先制点。このゴールで勢いづいたマルセイユ、意気消沈したインテルミラノ、試合はこのまま終了する。マルセイユにとって惜しむべき点は次の2つであろう。まず、後半は圧倒的に試合を支配していたにもかかわらず、追加点が奪えなかったということ、そしてゴールをあげた直後に過度の喜びを表してしまったためにドグロバが警告を受け、ミラノでの第2戦に出場できなくなったことであろう。しかし、マルセイユは今まで他のフランスのチームがなし得なかったインテルミラノを下すという新たな歴史に一歩近づいたのである。(続く)

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