第319回 欧州4強への道(6) マルセイユ4強、7年ぶりにフランス勢準決勝ダブル進出

■4強目指してアウエーで第2戦

 4強が決定するUEFAカップの準々決勝第2戦は第1戦からちょうど1週間後の4月14日に行われた。前回の本連載で紹介したとおり、マルセイユとボルドーは第1戦で明暗が分かれたが、両チームともアウエーの第2戦、マルセイユはミラノのサンシーロで20時45分キックオフ、ボルドーはバレンシアのメスタージャでそれより1時間遅れの21時45分キックオフとなった。

■イタリア勢と五分の成績を残しているマルセイユ

 前回の本連載ではインテルミラノがこれまでフランス勢に対して相性がいいことを紹介したが、ベロドロームでインテルミラノに先勝したマルセイユもまたイタリア勢に対して相性は悪くはない。これまで6度対戦し、3度イタリア勢を下している。最初の対戦は1972-73の欧州チャンピオンズカップ、1回戦でユベントスと対戦し、ホームの第1戦は1-0と勝ったものの、トリノの第2戦で0-3と敗れ、合計得点でユベントスに2回戦への道を譲っている。2度目の対戦は1990-91のチャンピオンズカップ準々決勝のACミラン戦である。前年度の覇者ACミランとの対戦は事実上の決勝と言われ、第1戦ミラノで1-1と引き分けたマルセイユはベロドロームでの第2戦も1-0とリードし、突然照明の一部が故障し、試合を中断、ACミラン側は試合を放棄してしまう。なんとも後味の悪いマルセイユのイタリア勢との初勝利であったが、それまでの試合展開を見ればマルセイユの勝利は動かなかったであろう。そしてその2年後、マルセイユはチャンピオンズリーグ決勝で再びACミランと対戦する。バジル・ボリの決勝点でマルセイユが欧州の頂点に立ったかに見えたが、その後タイトルを剥奪されたことは本連載で何度も紹介している。
 また、1999年にはUEFAカップ準々決勝でボローニャと対戦している。マルセイユはホームでスコアレスドロー、アウエーで点を取ってドローとセオリー通りの展開で準決勝に駒を進めている。そのマルセイユはモスクワでの決勝でパルマと対戦、0-3と完敗している。マルセイユのイタリア勢との最後の戦いは1999-2000シーズンのチャンピオンズリーグの2次リーグで対戦し、マルセイユで0-2、ローマで1-5とマルセイユは連敗し、最下位に終わっている。

■マルセイユ、イタリア国内で初勝利、5年ぶり4強に

 このようにイタリア勢とはほぼ五分の戦績で、しかもミラノとは相性のいいマルセイユ、第1戦の勝利は1-0という最少得点差ながら、余裕を持ってミラノ入りし、マルセイユから5000人のファンがアルプスを越えて応援に駆けつけた。マルセイユを迎え撃つインテルミラノも5回目の決勝進出を狙い、2点以上とって勝利したいところである。マルセイユはディディエ・ドログバ、インテルミラノはクリスチャン・ビエリと両チームともエースストライカーを欠く布陣であったが、2点が欲しいインテルミラノは地元ファンの前で攻撃的な試合を展開する。しかし、このインテルミラノの青と黒の猛攻に敢然と立ち向かったのがファビアン・バルテスである。バルテスは青と黒のユニフォームが次々に繰り出すシュートをことごとくセーブする。引き分けでもベスト4に進出できるマルセイユは74分にカメル・メリアムが個人技からゴールをあげて、この試合唯一の得点はマルセイユのイタリア国内での初勝利を記録し、マルセイユを5年ぶりに欧州4強へと導いたのである。

■ボルドー敗退もフランス勢7年ぶりの4強ダブル進出

 一方、1時間遅れでキックオフのボルドーはバレンシアに対して奇跡にも近い勝利が必要であったが、故障に加え、出場停止により主力選手を失い、精彩を欠く。前半こそバレンシアの猛攻を防いだものの、後半に入り、52分、60分と失点を許し、勝負はついた。2試合合計で3点をリードしたバレンシアが余裕を持ったため、その後はボルドーが球を持たされた形になったが、エドゥアルド・コスタが71分に1点を返しただけにとどまり、マルセイユに続くことはできなかった。
 しかし、フランスからモナコとマルセイユが欧州カップのベスト4に進出し、欧州カップの準決勝にフランス勢が複数進出したのは1996-97シーズン以来7年ぶりのことである。7年前はパリサンジェルマンがカップウィナーズカップ、モナコがUEFAカップで準決勝に進出し、パリサンジェルマンは準決勝でリバプールを破って決勝に進出している。今年はそれ以上の成績を期待したいものである。(この項、終わり)

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