第390回 チャンピオンズリーグ秋の戦い (3) 三者三様の第4節

■ようやく光明の差したフランス勢

 第2節、第3節と連勝して首位に立ったリヨンとモナコ、第3節でディフェンディングチャンピオンのポルトを倒したパリサンジェルマン、フランス勢にようやく光明が差したチャンピオンズリーグの中盤となった。11月の諸聖人祭の休暇中に行われる第4節の相手は第3節と同じである。第3節の勢いを持ち込んで一気にグループリーグ突破あるいは上位進出を狙いたいところである。

■パリサンジェルマン、値千金のポルトでの引き分け

 第4節はグループHのパリサンジェルマンが11月2日にポルトで試合を行った。グループHはチェルシーが開幕3連勝の勝ち点9で独走、2位のCSKAモスクワは勝ち点4、3位パリサンジェルマンは勝ち点3、4位ポルトは勝ち点1であり、その他の3チームは2位を狙うのが現実的である。パリサンジェルマンは10月20日のパルク・デ・プランスとの試合の後は国内リーグでもアジャクシオに勝利し、アウエーでオセールと引き分け、ポルト戦の勝利が低迷にピリオドを打つ契機となった。しかし、パリサンジェルマンは昨季のチャンピオンズリーグのファイナリストにもなり、ポルトの前で涙を飲んだジェローム・ロテンがパリでのポルト戦で足首を骨折し、戦線離脱というハンディを負うことになった。フランス代表でも攻撃の起点として活躍しているロテンの不在は大きい。一方のポルトはこの試合で勝たなければグループリーグでの敗退が決まることから、攻撃陣を厚くした陣容でパリサンジェルマンを迎える。
 予想通り、試合はポルトが一方的に攻め込み、パリサンジェルマンは守勢一方となった。この試合パリサンジェルマンはよく耐え忍び、ポルトの攻撃を0点に押さえ込む。そして終盤にはカウンターからあわや得点、というシーンまで演出し、敵地で値千金のスコアレスドロー。昨年の優勝チームのポルトはこの引き分けでチャンピオンズリーグから姿を消すことになった。そして、パリサンジェルマンはこの日ホームでチェルシーに敗れたCSKAモスクワと勝ち点で並び、最終節のパリでの直接対決が楽しみになった。

■タイスコアで試合終盤を迎えたモナコとリヨン

 翌日3日にはリヨンはホームで、モナコはアテネで第4節を戦った。一気に勝利を狙いたいところであるが、同時刻にキックオフされた試合で両チームとも苦戦を余儀なくされた。点の取り合いとなったのはリヨンでの試合である。遠来のフェネルバフチェが14分に先制点をあげるが、22分にリヨンはミカエル・エシアンが同点ゴール。前半はこのままスコアが動かず、後半に入って53分にフローラン・マルーダが勝ち越し点をあげる。これでリヨンはグループリーグ突破かとジェルラン競技場は沸いたが、その歓声も20分間しか続かなかった。72分に守護神グレゴリー・クーペが負傷により退場する。73分に代わったばかりのニコラ・ピュイドボワはフェネルバフチェのCKからのシュートを防ぐことができず、試合は振り出しに戻ってしまった。
 一方、昨年の準優勝チームであり、グループリーグを首位で折り返したモナコもアテネで苦戦していた。ブラジル代表のリバウドを擁するオリンピアコスとはまさに一進一退と言う試合展開で両チームともゴールを奪うことができず、試合時間は残り10分を切った。そして残り10分でリヨンとアテネでは対照的な結末を迎えたのである。

■モナコ3位に陥落、リヨンはロスタイムの2点で決勝トーナメントへ

 まず、アテネの試合ではモナコが得点こそあげられないものの安定した試合運びでスコアレスドローかと思われた84分にオリンピアコスはFKからチャンスをつかみ、至近距離でのシュートを決め、これが決勝点となる。この結果、モナコは一気に3位に陥落してしまった。
 フランス中が落胆したその5分後、2-2のタイスコアのリヨンではロスタイム6分と表示され、劇的な展開となる。攻撃陣の核であるシルバン・ビルトールを欠くリヨンは、試合終盤にシドニー・ゴブーに代えて20歳のブラジル人ニウマールを投入する。リーグ戦でもほとんど交代出場のニウマールが94分、そして96分に連続ゴールを上げて、ジェルラン競技場を歓喜させる。リヨンは勝ち点を10に伸ばし、早々と決勝トーナメント進出を手中にしたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ