第497回 決勝トーナメント目指すUEFAカップ(2) 第3節でストラスブール、マルセイユが突破

■ワールドカップ予選のライバル、スイスのバーゼルに勝利

 フランス勢から5チームがグループリーグに進出したUEFAカップ、年明けから始まる決勝トーナメントに向けた各チームの戦いを紹介しよう。
  まず、最終節を待たずに決勝トーナメント進出を決めたチームが2チームある。それはストラスブールとマルセイユである。
  グループEのストラスブールは1回戦でも好調であったが、グループリーグでもその好調さを保っている。まずグループリーグ第1節の相手はスイスのバーゼルである。ワールドカップ予選のライバルとなったフランスとスイス、大混戦となったが、フランスは混戦から頭ひとつ抜け出して本大会出場を決め、スイスはプレーオフに回っている。ワールドカップ予選の余韻も収まらない10月20日に両チームの戦いはバーゼルで行われた。昨季のスイスリーグのチャンピオンチームとしてバーゼルは隣国、しかもワールドカップ出場嵐で敗れたフランスのチームに敗れるわけにはいかない。しかもストラスブールはリーグでも低迷中の状態である。ワールドカップ予選の復讐に燃えるバーゼル優位という声も少なくなかったが、ストラスブールは14分に先制点をアマラ・ディアヌが決め、24分にもアルツール・ボカが追加点を上げる。実はこの2人ともワールドカップ出場を決めたコートジボワールの選手であり、ワールドカップ本大会出場を決めた勢いが残っていたのである。逆にバーゼルは退場者を出してしまい、いかにホームとはいえ、2点ビハインドをひっくり返す力はなく、ストラスブールはアウエーでの初戦をものにしたのである。

■ASローマと引き分け、決勝トーナメントへ

 続く第2節はホームにノルウェーのトロムセを迎えるが、ここでもストラスブールの動きは止まらない。前後半に1点ずつゴールを揺らし、2-0で連勝、首位をキープする。
  第3節はアウエーでイタリアのASローマと対戦する。UEFAカップで最多優勝回数を誇るイタリア勢との戦いは苦戦が予想された。しかし、ストラスブールは51分にアビブ・ベイヤードが先制点を奪う。その後もASローマに対して果敢に攻撃を続ける。ASローマの攻撃の主軸はかつてモナコに所属したシャビニ・ノンダ、このASローマが同点に追いついたのは73分のことであり、ノンダが作ったチャンスをアントニオ・カッサーノが得点する。ストラスブールは1回戦からの無失点試合記録、連勝記録が4でストップしたが、勝ち点1を積み上げて残り2節(残り1試合)の段階で決勝トーナメント出場を確定したのである。

■5年前のモスクワでの敗戦に雪辱を果たす

 そして日本の中田浩二を擁する名門マルセイユもグループFで快進撃をした。1回戦では2戦ともスコアレスドローで延長戦になっても決着がつかず、1回戦40試合で唯一のPK戦にもつれ込んだ末のグループリーグ進出となった。国内リーグでも調子が上がらず、苦戦するかと思われたが、マルセイユは5年前の悔しさを忘れていなかった。マルセイユは1999-2000シーズンのUEFAカップの決勝に進出しながらイタリアのパルマに完敗している。その決勝戦の場所がモスクワであった。マルセイユの第1節の相手は前年の覇者CSKAモスクワ、しかもモスクワでの戦いである。マルセイユはリーグ戦では不調であるが、直前のパリサジェルマンとの対戦で久しぶりの勝利を挙げており、モスクワに乗り込んだ。23分にサブリ・ラムシが先制点、そして38分にはママドゥ・ニアンが追加点を上げる。前半は2-0とマルセイユがリードをして終えるが、後半開始早々、CSKAモスクワはPKのチャンスを得る。マルセイユのゴールを守るのはファビアン・バルテスである。代表チームの正GKの座を奪われてしまったバルテスであるが、来年の本大会に向けてその力を見せたいところである。そしてバルテスは見事にPKをストップし、マルセイユは開幕戦で勝利する。

■2試合を残して楽々と決勝トーナメントへ

 第2節はマルセイユは試合がなく、第3節は11月24日にベロドロームにオランダのヘーレンフェーンを迎える。これまで2試合スコアレスドローのヘーレンフェーン相手にマルセイユが一方的に試合を支配する。ところが、マルセイユは肝心のゴールがなかなか生まれない。このあたりが今季マルセイユがリーグ戦で苦戦している原因であろう。そして待望終了間際の88分、マルセイユにPKが与えられ、これをワールドカップ出場を逃したナイジェリア代表のイスマエル・タイウォが決め、マルセイユは2試合を残して決勝トーナメントに進出することになったのである。(続く)

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