第501回 欧州カップのグループリーグ最終節(1) リール、UEFAカップ決勝トーナメントへ

■最終節にかけるリール、モナコ、ランス

 今季の欧州カップのグループリーグにフランスからはチャンピオンズリーグに2チーム(リヨン、リール)、UEFAカップに5チーム(モナコ、ストラスブール、レンヌ、ランス、マルセイユ)の合計7チームが出場している。これまでの本連載で紹介しておるとおり、チャンピオンズリーグのリヨン、UEFAカップのストラスブールとマルセイユはグループリーグの最終節を待たずして決勝トーナメント進出を確定している。一方、レンヌは早々とグループリーグ敗退となっており、12月に行われる最終節でリール、モナコ、ランスはワールドカップイヤーを笑顔で迎えられるかどうかをかけて戦うことになった。

■積極的に攻めるが痛恨の先制点を許す

 まず、12月の第1週にチャンピオンズリーグのグループリーグ最終節が行われた。リールの第5節までの戦いについては本連載の第493回から第485回で紹介したとおりであるが、最終節を迎える段階でグループD はビジャレアルが勝ち点7でトップ、リールとマンチェスター・ユナイテッドが勝ち点6でともに得失点差0で追い、ベンフィカは勝ち点5であり、ビジャレアル-リール、ベンフィカ-マンチェスター・ユナイテッド戦が行われ、すべてのチームに望みがある。リールはビジャレアルに勝てば文句なく決勝トーナメント進出、引き分けた場合はベンフィカ-マンチェスター・ユナイテッド戦が引き分けの場合に限り、決勝トーナメント進出となる。
 12月7日にスペインで行われたビジャレアル戦にクラブとして最高の成績となるチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出をかけたリールの士気は十分である。折しも前日にはすでに決勝トーナメント進出を決めているリヨンが最終節を戦い、ローゼンボリを2-1と下している。リールのモチベーションは高く、赤と黒のユニフォームがビジャレアルの本拠地であるエル・マドリガルを走り回り、次々とシュートを放つ。しかしながら引き分け以上ならば決勝トーナメント進出となるビジャレアルの堅守に阻まれる。そして67分にビジャレアルは前半途中に負傷のため退いたファン・パブロ・ソランに代わって出場したフォントが同じく途中出場のホセ・アントニオ・グアイレに絶妙のパスを送り、GKを交わしてこのゴールを決め、リールはリードを許してしまったのである。試合時間は残り23分、気になるのはグループDのもう一試合のベンフィカ-マンチェスター・ユナイテッド戦である。

■苦戦する常連マンチェスター・ユナイテッド

 残り23分で逆転することは難しい。引き分けに持ち込むのが精一杯であるが、その場合、ベンフィカ-マンチェスター・ユナイテッド戦も引き分けに終わることがリールの決勝トーナメント進出の条件である。6万5000人とこの夜欧州で最も多くの観衆を集めたリスボンのルス競技場、マンチェスター・ユナイテッドはベンフィカ戦で勝てば決勝トーナメント進出である。常連マンチェスター・ユナイテッドは6分にポール・スコールズのゴールで先制する。ところが勝てば地元で決勝トーナメント進出の瞬間を迎えるベンフィカも意地を見せる。16分に追いつき34分に逆転する。
 すなわち、リールがリードを許した段階で、ベンフィカもリードをしており、イベリア半島での2試合がこのまま終わると1位ビジャレアル、2位ベンフィカとなってしまう。さらにマンチェスター・ユナイテッドは勝ち点でリールと並ぶが、直接対決ではリールが1勝1分とリードしているため、最下位になってしまう。チャンピオンズリーグでグループリーグ3位のチームにはUEFAカップの決勝トーナメント出場権が与えられるため、マンチェスター・ユナイテッドにとってなんとしてもベンフィカのゴールをこじ開けなくてはならない。ところが、リールもマンチェスター・ユナイテッドもホームチームの壁は高く、厚かった。両チームとも追いつくことができず、試合終了。

■マンチェスター・ユナイテッドとの対戦成績によりUEFAカップへ

 チャンピオンズリーグ決勝トーナメントに出場する16強にはフランス勢からはリヨンだけとなったが、リールは涙だけではなかった。グループDの1位ビジャレアル、2位ベンフィカが決勝トーナメントに進出した。そしてリールとマンチェスター・ユナイテッドが勝ち点6で並んだが、両チームの対戦成績はリールが1勝1分と勝っているため、リールにUEFAカップ決勝トーナメント進出の権利が与えられた。マンチェスター・ユナイテッド戦での勝利がリールの夢をつないだのである。(続く)

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