第531回 リヨン、3年連続で準々決勝進出

■5月までクラブ一色となる欧州の国際試合

 前回までご紹介したとおり、3月1日にフランス-スロバキア戦が行われたが、この日には世界各地で国際親善試合が行われた。フランスだけではなく、多くの出場国にとってこれが選手エントリー決定前の最期の親善試合となる。逆に、この試合を最後に5月まで欧州の国際試合はクラブの試合すなわち欧州カップ一色になる。
 3月第2週にはチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の第2戦と、UEFAカップ決勝トーナメント2回戦の第1戦が行われる。さらにその翌週にはUEFAカップ決勝トーナメント2回戦の第2戦が行われ、欧州カップのベスト8が出揃うことになる。

■アイントホーヘンでの戦いでライバルに差をつける

 3月8日のチャンピオンズリーグの試合にはアウエーで先勝したリヨンがPSVアイントホーヘンを地元ジェルラン競技場に迎えた。第526回の本連載でも紹介している通り、昨年の4月以来、両チームの対戦はこの試合が5試合目となる。昨年春のチャンピオンズリーグ準々決勝2試合、昨年夏のピースカップと1-1のドローが3試合続いていたが、2月23日のアイントホーヘンでの試合はリヨンが1-0と勝利し、宿敵に対してようやく差をつけた。

■リヨンで注目を集める2人の代表選手

 アウエーでの試合で勝利したことからリヨンは精神的に優位に立って第2戦を迎えることになるが、リヨンで注目を集めた選手が2人いる。まず、右DFのフランソワ・クレルクである。リヨンでも出場機会の少ないクレルクは、本連載第528回で紹介したとおりスロバキア戦のメンバーに選出され、一躍スポットライトを浴びた選手である。そのクレルクはチャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦から試合に出場しており、アイントホーヘンでの試合に引き続き、リヨンの試合でも先発メンバーとなる。
 そしてもう1人の注目メンバーはリヨンのGKのグレゴリー・クーペである。ファンからだけではなくフランスリーグの選手のアンケートでも代表チームの正GKとしてアンケートでトップになっているにもかかわらず、スロバキア戦はベンチで90分を過ごし、フランスは2失点をして敗れてしまう。クーペ待望論が高まる中で、PSVアイントホーヘンの攻撃をシャットアウトして次のメキシコ戦での出場機会をうかがう。
 ワールドカップ出場メンバーの決定までフランス代表の試合も合宿も予定されていないため、彼らはクラブでの活躍、しかも国際試合で力をアピールしたいところである。彼らにとってはポジションこそ違うものの、同日の試合終盤でローラン・ルノーに替わって出場したクリストフ・スイアーレ・ブイセのことも気にかからないはずがない。

■地元リヨンで大勝、敵を無失点に抑える

 そのような選手としてのワールドカップ出場も重要であるが、ジェルラン競技場のピッチに立てばフランス勢初のビッグイヤー獲得しか頭の中にはなくなるはずである。しかも相手は昨年苦汁をなめたPSVアイントホーヘンである。
 リヨンは今季のチャンピオンズリーグでこれまで6勝1分、ホームでは3連勝である。対するPSVアイントホーヘンは今季のチャンピオンズリーグはよう焼く決勝トーナメント進出を決め、しかもアウエーでの試合では無得点である。敵地で勝利を収めることが必須のPSVアイントホーヘンは背水の陣、右手を負傷しているミハエル・ライジハーを起用する。また両チームとも守備陣に多くの負傷者を抱え、一抹の不安を両監督は持っている。
 そして試合は両チームの勢いの差が出た。立ち上がりからリヨンの攻撃陣が躍動する。26分にポルトガル代表のディアゴが先制点、PSVアイントホーヘンは不用意な反則が多くなる。前半終了間際に主将のコクーがこの日2回目の警告で、大黒柱を失う。前半ロスタイムには、敵DFのクリアボールをディエゴが2点目。試合は決した。後半に入ってこの日は累積警告で出場停止となったシドニー・ゴブーに代わって出場しているシルバン・ビルトールが3点目、そしてフレッドが後半ロスタイムに4点目を入れ大勝する。クーペは無失点に押さえ、クレルクも無難な守備をこなす。
 リヨンはこれで3季連続で準々決勝に進出、準々決勝ではACミランと対戦するのである。(この項、終わり)

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