第615回 2006-07チャンピオンズリーグ開幕(4) リヨン、2年連続でレアル・マドリッドに開幕戦勝利

■グループリーグ第1戦で対戦した昨年はリヨンが勝利

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグの第1節でボルドーとリールがアウエーで引き分けに持ち込んだことを紹介したが、フランスのサッカーファンにとって最も期待がかかるのがリーグでは無敵の5連覇を誇るリヨンである。
 このリヨン、国内では無敵の強さを誇るが、欧州の舞台ではその強さを十分に見せることなく、今回も第2シード扱いであり、国内のファンをやきもきさせてきたが、そのリヨンがブレイクの兆しを見せたのが昨季である。最終的には準々決勝でACミラン(イタリア)に敗れて3季連続のベスト8どまりであったが、グループリーグの初戦でこれまでに優勝9回を誇るレアル・マドリッド(スペイン)を3-0と下し、グループリーグは5勝1分という成績で首位で突破、そして決勝トーナメントでも1回戦でPSVアイントホーヘンに連勝しており、これまでのリヨンには見られない勢いを見せたのである。

■守備陣中心に戦力を補強したレアル・マドリッドとリヨン

 第2シードとなったリヨンが今年のチャンピオンズリーグのドローではなんと昨年と同様、レアル・マドリッドと初戦でホームで対戦することとなった。先述の通り昨年はリヨンが3-0と勝利しているが、レアル・マドリッドはリヨンに2年続けて負けるわけにはいかない。レアル・マドリッドはジネディーヌ・ジダンを失ったとはいえ、新監督にイタリア人のファビオ・カペッロを復帰させた。新戦力としてイタリア代表としてチームを優勝に導いたファビオ・カンナバロをユベントスから獲得している。そして中盤のキーマンとしてリヨンを支えてきたマリ代表のママドゥ・ディアラを獲得している。
 昨年のリヨンでの戦いは前半に立て続けに3得点を奪われ、全く反撃ができずに敗退した。この開幕戦での敗戦が尾を引き、ホームでの第2戦も引き分け、グループリーグでは2位にとどまり、決勝トーナメント1回戦ではアーセナル(イングランド)に敗れている。昨年の反省を踏まえ、中央の守備の人材を獲得したチームの方針がよくわかる戦力の補強である。
 一方、リヨンの新戦力も守備的な選手が中心となった。センターバックにはモナコのセバスチャン・スキラッチ、守備的MFにはナントのジェレミー・トゥーラランを獲得しており、レベルの高い欧州の強豪相手に勝てるチーム作りをジェラール・ウリエ監督は考えている。

■リヨンから移籍したディアラに大きな拍手

 試合はレアル・マドリッドがエル・ブランコのニックネームどおりの白いユニフォーム、そしてホームのリヨンはセカンドの黒いユニフォームでキックオフされた。試合前の選手紹介でもっとも拍手が大きかったのがレアル・マドリッドのディアラと言うことからもリヨンのファンは伝説のチーム相手にコンプレックスを感じていないことがわかる。また、リヨンはスキラッチを起用せず、スイス代表のパトリック・ミューラーをストッパーに据えた。

■昨年同様、リヨンが一方的な試合で完封勝ち

 しかし、リヨンは守備の心配をしなくてもよい試合展開となった。オープニングシュートはブラジル代表としてドイツでも活躍したジュニーニョ、7分のシュートはイケル・カシージャスに阻まれたが、その4分後、同じブラジル代表としてワールドカップに出場したフレッドがゴールネットを揺らす。ジュニーニョのパスを受けてレアル・マドリッドの守備の要のカンナバロをかわし、ループシュートで先制点、ブラジル代表コンビが活躍した。そしてリヨンは昨年と同じような理想的な試合運びをした。中盤を支配されたレアル・マドリッドは確率の低いロングシュートで得点チャンスをつぶす。リヨンは試合を組み立ててシュートに結びつける。31分にはシドニー・ゴブーのスルーパスをポルトガル代表のティアゴが見事に得点に結びつける。リヨンはその後も得点のチャンスはあったものの、カシージャスの美技に追加点をあげることはできなかったが、一方のレアル・マドリッドは完全に沈黙してしまう。フランス代表の新GKとなったグレゴリー・クーペは仕事らしい仕事をすることもなく、90分を終える。昨年同様、リヨンはレアル・マドリッドを完封し、欧州での第1戦を飾ったのである。(この項、終わり)

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