第781回 チャンピオンズリーグ・グループリーグ第4節(2) リヨン、ようやく本領発揮

■マルセイユと対照的な今季のリヨン

 マルセイユとともに今季のチャンピオンズリーグの本戦に参加しているリヨンは国内ではこれまでリーグで6連覇を果たしているが、欧州の舞台ではなかなか良い成績を残すことができなかった。
 そして今季のリヨンは国内外でマルセイユとは対照的な成績を残してきた。リヨンもリーグ戦では辛い立ち上がりとなった。開幕前のピースカップ、チャンピオンズトロフィーのいずれも制し、開幕戦もオセールを2-0と一蹴、今季も圧倒的な強さを見せるかと思われたが、第2戦、第3戦とまさかの連敗、順位を二桁に下げると言う波乱のスタートとなった。しかしその後は調子を取り戻し、1引き分けを挟んで9連勝、9月半ばに指定席の首位に立ち、過去10試合の成績は9勝1分である。
 そして今季こそ頂点を狙いたいチャンピオンズリーグであるが、本連載第776回で紹介したとおり、2試合連続完封負けでスタートし、第3節で同じく連敗スタートのシュツットガルト(ドイツ)とアウエーで対戦、2-0とほぼチャンピオンズリーグでは1年ぶりの勝利をあげて後半戦に望みをつないだ。
 このようにマルセイユが国内リーグで2部降格のピンチ、チャンピオンズリーグでは序盤好調、中盤で停滞という状況であるのに対し、リヨンは国内リーグで首位、チャンピオンズリーグでは序盤でつまずき、中盤で挽回と、マルセイユとは対照的な道のりを歩んできた。

■高い得点力で指定席の首位に返り咲き

 そのリヨンの第4節の相手は最下位に沈んだシュツットガルトである。この試合で勝利し、残り2試合の上位陣との対戦に活路を見出したいところである。逆に3連敗のシュツットガルトも前年度のドイツチャンピオンとして意地を見せたいところである。
 リヨンのこのところの強さはその得点力である。過去10試合の中で8試合は2得点以上あげており、1試合あたりの平均得点は2.6得点である。第13節終了時点の得点ランキングのトップもカリム・ベンゼマ(11得点)である。シュツットガルト戦も2トップはこのベンゼマとシドニー・ゴブー、ゴブーも得点ランキング11位である。

■前半から得点を重ね、連勝したリヨン

 この試合もリヨンの得点力がものを言った。リヨンは立ち上がりに先制ゴールを決める。先制点を入れたのはハテム・ベンアルファである。リヨンのチャンピオンズリーグホームゲームでは昨年12月6日のグループリーグ最終戦のステアウア・ブカレスト戦以来という久しぶりのゴールとなった。その後もリヨンは構成の手を緩めず、15分にはゴブーからのクロスをスウェーデン代表のキム・カールストロームがゴールに突き刺す。その直後の16分にシュツットガルトは30メートルのロングシュートのこぼれ球を押し込んで反撃の1点を返すが、前半の終盤の37分にベンアルファが強烈なシュートで3点目、3-1と言うスコアで前半を折り返す。
 後半に入り、負けると4連敗となってしまうシュツットガルトは捨て身の攻勢に出る。56分には自らのミスで先制点を許したアンドレアス・ベックが好クロス、マリオ・ゴメスがあわせて、シュツットガルトは1点差に詰め寄る。ここで試合のリズムはシュツットガルトのものとなる。59分にはファビオ・サントスがペナルティエリア内でファウル、リヨンはPKと言うピンチを迎えるが、代役GKのレミ・ベルクートルが、見事なセーブで1点差を守る。このセーブで気をよくしたベルクートルはその後もシュツットガルトのシュートをブロックし、リードを守る。そしてロスタイムには主将のジュニーニョが4点目、リヨンが4-2と勝利したのである。

■2位グラスゴー・レンジャースと勝ち点1差、最低でもUEFAカップ出場を確定

 また、グループEのもう1つの試合は勝ち点7同士の戦いであり、バルセロナ(スペイン)がグラスゴー・レンジャース(スコットランド)を2-0で下し、勝ち点を10に伸ばす。リヨンは2位のグラスゴー・レンジャースに勝ち点1差に迫るとともに、UEFAカップ出場権のある3位以内も確定した。国内外でようやく本領を発揮したリヨンの次の戦いは11月27日にホームに首位バルセロナを迎えるのである。(この項、終わり)

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