第788回 最終節に希望を託すフランス勢(1) リヨン、最終節でグラスゴーレンジャースと直接対決

■初冬になり、ようやくクラブシーンにスポットライト

 この秋はラグビーのワールドカップ、そしてサッカーの欧州選手権予選と代表チームの戦いに注目が集まった時期であった。しかし、欧州選手権予選も終わり、初冬となり、ファンの関心の的はクラブの戦いとなった。
 チャンピオンズリーグに出場しているリヨンとマルセイユの戦いについて本連載で紹介してきたが、グループリーグはいよいよ残り2試合となった。リヨンはスタートで連敗したが、中盤戦でシュツットガルト(ドイツ)に連勝、勝ち点を6まで伸ばし、3位に浮上し、盛り返してきた。一方のマルセイユは連勝でスタートしながら中盤でもたつき、ポルト(ポルトガル)に1分1敗という成績で、2位に転落している。
 第5節はまず27日にマルセイユの所属するグループEなどの試合が行われ、その翌日の28日にリヨンの所属するグループAなどの試合が行われた。

■首位バルセロナをホームに迎える上り調子のリヨン

 第5節を迎える段階で、グループEはバルセロナ(スペイン)が首位で勝ち点10、2位がグラスゴーレンジャース(スコットランド)は勝ち点7、3位のリヨンは勝ち点6、4位のシュツットガルトはいまだ勝ち点0である。第5節ではリヨンがバルセロナを、シュツットガルトがグラスゴーレンジャースをそれぞれホームに迎え、上位チームが下位チームの本拠地に乗り込む形になった。バルセロナは引き分け以上であれば決勝トーナメントに進出できる。上り調子のリヨンはホームでは勝ち点3をあげて、最終戦のグラスゴーレンジャース戦に望みをかけたいところである。

■先制を許したが、すかさず追いついたリヨン

 リヨンのジェルラン競技場は満員の観客で膨れ上がる。勝利をあげたいリヨンであるが、カリム・ベンゼマが負傷のため出場できず、2トップはフレッドとシドニー・ゴブーという組み合わせになった。一方のバルセロナもフランス代表のティエリー・アンリ、かつてリヨンに所属していたブラジル代表のエジミウソンを負傷で欠いているが、リヨンから今季移籍したばかりのエリック・アビダルは左サイドDFとして先発出場を果たしている
 試合は常にバルセロナが先手を取る展開となった。開始3分でアンドレス・イニエスタが先制点、それに対して9分にリヨンはジュニーニョがゴールから40メートル離れた地点でFKを得る。名手とはいえ、直接ゴールを狙う距離ではなく、長身選手のセバスチャン・スキラッチの頭がターゲットである。しかし、ジュニーニョの蹴ったボールに最初に触ったのはゴールネットであった。リヨンはジュニーニョのゴールで同点に追いつく。

■ドローで勝ち点1を獲得、勝ち点7同士は最終節に直接対決

 後半に入って、58分にスクラッチがペナルティエリア内で反則を犯し、PKを与えてしまう。このチャンスをバルセロナのリオネル・メッシが決めて再びリヨンはリードを許す。リヨンのファンにとって気になるのは目の前の試合だけではない。リヨンがバルセロナに敗れて、グラスゴーレンジャースがここまで4戦全敗のシュツットガルトを下せば、リヨンのチャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出は絶たれてしまうのである。この段階でシュツットガルトの試合は1-1の同点であったが、グラスゴーレンジャースが勝ち越せばリヨンは窮地に陥る。
 ドイツチャンピオンであるシュツットガルトはすでに最下位が確定しており、3位のチームに与えられるUEFAカップの決勝トーナメント出場権も与えられない。しかしそのシュツットガルトが意地を見せ、62分に勝ち越し、そして70分にはグラスゴーレンジャースが追いつくというスリリングな展開となった。
 リヨンは79分にペナルティを得て、ジュニーニョが決めて同点に追いつく。結局試合は2-2のドローとなり、バルセロナが決勝トーナメント進出を決める。そしてライバルのグラスゴーレンジャースであるが、85分に痛恨の決勝点をシュツットガルトに許してしまう。グラスゴーレンジャースは2-3と敗れてしまい、リヨンはついに勝ち点でグラスゴーレンジャースに追いついたのである。勝ち点7同士のリヨンとグラスゴーレンジャースは最終節で直接対決となったのである。(続く)

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