第789回 最終節に希望を託すフランス勢(2) 4チーム全てにチャンスのあるグループA

■前節でリバプールに大敗したベシクタシュ

 チャンピオンズリーグの第5節でリヨンはバルセロナと引き分け、最終節で敵地でのグラスゴーレンジャース(スコットランド)戦にチャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出を託すことになった。その翌日にはマルセイユが登場である。本連載でも紹介してきたとおり、連勝スタートを切ったマルセイユは中盤でポルト(ポルト)と対戦し、決勝トーナメント進出を決めることができずに終盤を迎えた。
 その第5節の相手はアウエーでのベシクタシュ(トルコ)戦である。ベシクタシュとはマルセイユは開幕戦で対戦、ホームで2-0と快勝している。第2節もポルトに敗れてマルセイユとは対照的に連敗スタートとなったが、第3節ではイスタンブールでリバプールと対戦し、ここで勝利して、リバプールに代わって最下位を脱出する。しかしながら、第4節ではリバプールの本拠地アンフィールドで0-8と思わぬ大敗を喫してしまい再び最下位に転落する。マルセイユはベシクタシュにアウエーの戦いで勝利し、3位のリバプールが首位ポルトに引き分け以下ならばチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出できる。また、マルセイユが引き分けても、ポルトがリバプールに勝利すれば、決勝トーナメント進出となる。ベシクタシュは前節で大敗していることからマルセイユとしては一気にここで勝利したいところである。

■ベシクタシュをチャンピオンズリーグに導いたジャン・ティガナ

 ベシクタシュは昨季トルコリーグで2位となってチャンピオンズリーグに参戦しているが、このチームを2位に導いたのがジャン・ティガナである。ティガナはこのチームを2位に持ち上げ、トルコカップで優勝したのを花道に勇退したが、選手生活の最後はマルセイユに所属しており、何かしらの縁を感じる。

■ベシクタシュが先制点、後半中盤に追いついたマルセイユ

 イスタンブールのイノニュ競技場には2万人しか観衆が集まらなかったが、その熱さでは負けていない。キックオフ前から両チームのファンはヒートアップした。そしてその大歓声がさらに大きく響いたのは26分のことであった。ベシクタシュのスーパーゴールが生まれ、マルセイユは先行を許してしまう。0-1と言うスコアでハーフタイムを迎えるが、最下位から脱出し、一気に上位を狙う勢いのリバプールと首位のポルトの試合はこのハーフタイムの時点で1-1のタイスコアである。第5節のアウエーゲームでテレビ観戦ともなると目の前の試合だけではなく、もう1つの試合も気になる。
 後半に入ってマルセイユは攻勢に出る。CKから得たチャンスで一旦は後退したが、後半から出場したタイエ・タイウォが30メートルのシュートを放ち、同点に追いつく。これでイスタンブールもリバプールもスコアは同点、マルセイユは勝ち越し点を奪えば、欧州への頂点への切符を手にする。ところが、チームカラーが水色であるマルセイユにとって赤い悪魔がその道を阻む。リバプールは76分、84分、87分と立て続けにゴールを奪い、マルセイユの決勝トーナメント進出に待ったをかけた。

■終了間際に失点、最終節は上り調子のリバプールと対戦

 さらにマルセイユにとっては悪夢が待っていた。試合終了直前の88分にベシクタシュに決勝点を奪われてしまう。結局2位のマルセイユにとってこの日の結果は最悪となった。マルセイユ自身が敗れるとともに、3位で追うリバプールが勝利してしまう。この結果、グループAは、順位こそ変動はなかったが、大混戦となる。1位ポルトの勝ち点8で得失点差は-1、2位マルセイユは勝ち点7で得失点差は+1、3位リバプールは勝ち点7で得失点差は+9、4位ベシクタシュは勝ち点6で得失点差は-9となり、首位と最下位の勝ち点差はわずかに2である。さらに勝ち点で並んだ場合は直接対決の結果と言うことで、リバプールで勝利しているマルセイユがリバプールよりも上位にあるが、最終節のマルセイユの相手はそのリバプールである。
 グループAの最終節はサスペンスとなった。12月11日にはベシクタシュ-ポルト戦、マルセイユ-リバプール戦が行われるが、4チーム全てにチャンピオンズリーグ決勝トーナメント進出、UEFAカップ決勝トーナメント進出、グループリーグ敗退の可能性が残っている。この大混戦を抜け出すのはどのチームなのであろうか。(この項、終わり)

このページのTOPへ