第823回 欧州カップ、8強への道(1) マルセイユは16強へ、ボルドーは敗退

■ロシアで相性のいいマルセイユ

 欧州カップについては2月中旬から決勝トーナメントが始まり、フランス勢はチャンピオンズリーグにはリヨン、UEFAカップにはボルドーとマルセイユが出場し、ホームアンドアウエー方式の第1戦については本連載の第817回でUEFAカップ(ボルドー、マルセイユ)の模様、第818回でチャンピオンズリーグ(リヨン)の模様をそれぞれ紹介してきた。
 2月13日に行われたUEFAカップの決勝トーナメント1回戦でボルドーはアンデルレヒト(ベルギー)にアウエーで1-2と逆転負けを喫し、マルセイユはスパルターク・モスクワ(ロシア)にホームで3-0と完勝している。
 第2戦はリヨンがホームでマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に終了間際に追いつかれた翌日の2月21日に行われた。まず、モスクワ時間で19時30分、フランス時間で17時30分にスパルターク・モスクワ-マルセイユ戦がキックオフされた。マルセイユはホームで3点のアドバンテージがある。またマルセイユはこれまでに欧州カップでロシア(ソ連)のチームと8回対戦し、5勝2分1敗、さらにロシアでは4戦して2勝2分と相性はいい。

■9年前のUEFAカップ決勝でマルセイユが敗れたルジニキ競技場

 1990-91シーズンの欧州チャンピオンズカップの準決勝がマルセイユとスパルターク・モスクワの唯一の両チームの対戦であるが、実はマルセイユにがこのスパルターク・モスクワの本拠地であるルジニキ競技場で試合をするのはそれ以来のことではない。1998-99シーズンのUEFAカップの決勝に進出したマルセイユはこのルジニキ競技場でパルマ(イタリア)と対戦するが、0-3と完敗し、タイトルを獲得することができなかった。

■第1戦の貯金を活かして逃げ切ったマルセイユ

 8万5000人収容とロシア最大の競技場であるルジニキ競技場にはわずか1万5000人しか観衆が集まらなかった。ロシアサッカーの低迷を象徴し、寂しい舞台となった。200人のファンが応援するマルセイユは水色と白の縦縞のアルゼンチンと同じユニフォームでこの一戦に臨んだ。第1戦で3-0と安全圏にいるマルセイユとしては大逆転を許さないこと、そしてすでに警告を受けている選手が多数いることから、累積警告数で出場停止を受けないことが大切である。
 試合は筋書き通りの展開となった。前半終盤の39分、スパルターク・モスクワが先制する。そして前半終了間際にはマルセイユの主将であるアルバニア代表のロリック・カナが警告処分を受け、累積警数により次の試合に出場できなくなる。
 後半に入り、マルセイユはこの試合で警告を受けると次の試合に出場できなくなるサミール・ナスリ、ママドゥ・ニアンをベンチに下げる安全策をとる。85分に2点目を奪われ、マルセイユは一旦は混乱に陥り、ボールキープをしようとするが、勢いに乗るスパルターク・モスクワのプレスがさえる。しかし、ロスタイムも3分となったが、マルセイユは逃げ切り、16強に進出したのである。

■大荒れのゲームでドローに終わったボルドー

 マルセイユの16強進出を受け、ボルドーのシャバン・デルマス競技場ではボルドーがアンデルレヒト(ベルギー)を迎えた。ボルドーのユニフォームは紺が基調であるが、胸のスカプラリオの色をマイナーチェンジする。これもまたマーケティング上の理由であり、第820回の本連載で紹介したフランス代表の赤いユニフォームと同様の動きとなっている。
 試合は大荒れとなった。両チームあわせて11のイエローカード、そしてボルドーにいたっては2枚のレッドカードが出されている。この試合で33分に先手を取ったのはアンデルレヒトである。ボルドーの右サイドDFのマチュー・シャルメがボールを奪われ、これがそのまま失点につながる。アウエーで1-2で敗れているボルドーは少なくとも2点が必要となった。対するボルドーは第1戦でも活躍したフェルナンド・カベナギのゴールで71分にようやく追いつく。ところが、同点になってからがいけなかった。72分にはブノワ・トレムリナスがスパイクの裏を見せる危険なプレーで一発退場となり、10人になる。さらに、先制点を奪われた原因を作ったシャルメが汚名返上とばかりに張り切ったプレーが裏目に出て81分と87分に警告を受け、退場してしまう。2人少ないボルドーに勝ち越し点を奪う力はなかった。1-1のホームでのドローにより、ボルドーは姿を消したのである。(続く)

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