第915回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメントへの道(3) 2連敗の後、2連勝したボルドー

■最悪の連敗スタートとなったボルドー

 前々回はリヨン、前回はマルセイユと紹介してきたので今回はボルドーのチャンピオンズリーグでの戦いぶりを紹介したい。グループAのボルドーも他のフランス勢と同様に厳しい立ち上がりとなったが、その中でも最悪のスタートとなった。
 第892回の本連載で紹介したとおり、第1節はアウエーでチェルシー(イングランド)相手に0-4という大敗を喫す。そして10月1日に行われた第2節ではASローマ(イタリア)を本拠地ジャック・シャバン・デルマス競技場に迎えることになった。昨季リーグ2位同士の戦いとなったが、ボルドーの攻撃の中心はヨアン・グルコフ、そしてASローマの守備の中心はフィリップ・メクセスと秋以降にフランス代表の攻守の中心になった2人が対決することになった。試合は18分にジュシエからのチャンスを活かしたグルコフがゴールを上げて先手を取る。しかし、36分、ストッパーのエンリケがレッドカードを突きつけられて退場処分、その直後にジュシエも負傷退場し、流れは大きく変わる。前半は無失点でしのいだが、後半に入って3失点し、ボルドーは1-3と惨敗し、2試合を終えて連敗、1得点、7失点と言う成績でグループ最下位になったのである。

■幸運なオウンゴールで初勝利を上げたボルドー

 しかし、ボルドーはリヨンと同様に中盤で挽回する。第3節と第4節の相手はCFRクルージュ(ルーマニア)、第4シードのチームであるが、第1節ではASローマにアウエーで勝利、第2節はチェルシーにホームで引き分けと2位につけている。ルーマニアのチャンピオンチームをボルドーは10月22日に地元に迎える。地元での試合ながらボルドーはこれまでの2戦同様、元気のない戦いとなる。正GKのウルリッヒ・ラメを欠きながらも無失点に押さえ、後半に試合は突入する。54分、グルコフのクロスボールがCFRクルージュに当たり、コースが変わってオウンゴールとなる。CFRクルージュも反撃を試みるが、退場者が出たこともあり、追いつけず、ボルドーは勝ち点3を獲得したのである。

■グルクフの活躍でアウエーでも勝利を上げる

 そしてその2週間後、ボルドーはクルージュを訪れる。この試合でも活躍が目立ったのはグルクフである。6分に先制点をあげる。一方のCFRクルージュはチェルシー戦では守りを固めていたが、すぐさま反転攻勢、9分にすかさず同点に追いつく。追いつかれたボルドーであるが、38分にジェラルド・ベンデルがペナルティエリアのすぐ外で得たFKを直接ゴールに叩き込む。この1点のリードをボルドーが守りきる。大差での連敗からボルドーは立ち直り、CFRクルージュに連勝したボルドーは2勝2敗と星を五分に戻した。
 ボルドーがCFRクルージュに連勝している間、チェルシーとASローマはそれぞれホームゲームで勝利して星を分け合った。この結果、残り2試合となった段階でチェルシーが勝ち点7、ボルドーとASローマが勝ち点6、CFRクルージュが勝ち点4とグループAはフランス勢が参戦している3グループの中で一番混戦となった。

■チェルシーに追いつく、勝負は最終節に

 第5節はボルドーがチェルシー、CFRクルージュがASローマをそれぞれ迎える。ボルドーはイングランド勢を苦手としており、これまでの欧州カップでのイングランド勢との対戦成績は1分6敗と勝ったことがない。しかし、息を吹き返したボルドーは現在首位のチェルシー相手に直接勝利すれば決勝トーナメント進出に向けて大きく前進することができ、チェルシーは第4節でASローマに敗れている。試合はその両チームの勢いを反映した展開となりボルドーが押し気味に試合を進める。しかしゴールは生まれず、主審の胸ポケットから次々にイエローカードが提示される試合となった。この試合、先手を取ったのは押され気味だったチェルシー、60分にフランク・ランパードのスルーパスを受けてフランス代表ニコラ・アネルカが冷静に決めてリードする。このまま守りきればチェルシーは決勝トーナメント出場が確定する。
 これに対してボルドーは83分にアルー・ディアラが同点ゴールを決める。試合終盤にランパードが退場し、ボルドーは数的優位を得たが、名GKペトル・チェフの守るゴールを破ることができず、試合は1-1の引き分けに終わる。
 もう1つの試合はASローマがCFRクルージュを下し、グループAの首位に躍り出たが、どのチームも決勝トーナメント進出を決めていないのである。(続く)

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