第918回 チャンピオンズリーグ、決勝トーナメントへの道(6) 最終戦直接対決で敗れたリヨンは2位に

■グループ首位のチームに与えられるアドバンテージ

 本シリーズの最終回となった今回はリヨンの最終節の模様について紹介しよう。すでに本連載第915回でリヨンは序盤のつまずきから立ち直り、最終節を待たずして決勝トーナメント進出を決めている。
 最終節の見所はただ1つ、リヨンがグループリーグの首位として決勝トーナメントに進出できるかどうかである。グループリーグを首位で通過すれば決勝トーナメント1回戦で2つのアドバンテージが与えられる。まず、1回戦の相手はグループリーグで2位になったチームであり、一般的に言って力がやや劣るチームと対戦することができる。さらに、ホームアンドアウエー方式で行われる2試合のうち、2回戦進出を決定付ける第2戦をホームで開催することができる。第1戦の結果を受けてホームでの第2戦の試合運びを組み立てることができるうえ、第1戦、第2戦とも90分間の戦いが同スコアとなった場合には延長戦、PK戦をホームグラウンドで行うことができる。
 このアドバンテージを得た首位通過8チームのうち、昨季は3チームしか2回戦に進出できなかったが、2季前は6チームが2回戦、3季前は7チームが2回戦に進出している。過去2年連続して決勝トーナメント1回戦で敗退したリヨンは今年はグループリーグを首位で通過して有利な立場で決勝トーナメントを迎えたいところであろう。

■勝利もしくはスコアレスドローが首位突破の条件

 リヨンは最終戦でバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と対戦するが、両チームとも3勝2分であり、勝ち点で並んでいる。したがって最終戦で勝利した方が、首位になる。引き分けた場合は両チームの直接対決の成績で決定されるが、第2節に行われたミュンヘンでの試合結果は1-1のドローである。両チームが2点以上得点をあげて引き分けの場合は、アウエーゴール2倍ルールでバイエルン・ミュンヘンが首位となる。そして1-1の引き分けの場合はグループリーグ全体の得失点差の勝負となり、最終戦を迎える段階でバイエルン・ミュンヘンが+7、リヨンが+5であり、バイエルン・ミュンヘンが優位に立つ。引き分けの場合は、スコアレスドローだけがリヨンに首位をもたらすことになる。したがって、バイエルン・ミュンヘンを迎え撃つリヨンは勝つかスコアレスドローが首位通過の条件となる。

■前半だけで3点を失ったリヨン

 リヨンは大量の負傷者を抱え、アントニー・レベイエール、フランソワ・クレルク、マチュー・ボドメールなどがメンバーから外れている上に、ジュニーニョ、クリスが累積警告で出場停止になっている。厳しく冷え込むリヨンのジェルラン競技場で20時45分にキックオフされた。立ち上がりからリヨンがリズムをつかむ。4分には好位置でFKのチャンスを得るが、名手ジュニーニョは不在、代役はジュニートと同じブラジル人のホノラート・エデルソン、しかしながらゴールネットを揺らすことができず、主役の不在は大きい。
 そして逆に12分、ミロスラフ・クローゼに先制点を許してしまう。この段階でリヨンは逆転勝利が必要となった。そして、次のゴールはフランス代表の選手であったが、バイエルン・ミュンヘンのフランク・リベリーであり、差は2点に開く。さらにその直後の37分、クローゼにこの日2点目のゴールを決められて、リヨンは0-3と絶望的なハーフタイムを迎える。

■後半の猛反撃も実らす、2位にとどまったリヨン

 後半になってリヨンは盛り返し、シドニー・ゴブーが52分に1点返し、68分にカリム・ベンゼマが2点目を入れる。1点差に詰め寄ったリヨンに対し、バイエルン・ミュンヘンは2得点をあげたクローゼを下げて逃げ切り体制に入る。
 それに対してリヨンもベンゼマ、フレッドなどの攻撃陣が同点、そして逆転を狙うが、ゴールネットを揺らすことはできず、リヨンは最終戦を2-3と落としてしまう。リヨンは昨年同様グループ2位にとどまったのである。(この項、終わり)

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