第1068回 2009-10欧州カップ決勝トーナメント (2) リヨン、ホームでレアル・マドリッドに3連勝

■似た者同士のリヨンとレアル・マドリッド

 いよいよ2月16日がやってきた。フランスのみならず、欧州中のサッカーファンが待っていたチャンピオンズリーグの決勝トーナメント開始の日である。前回の本連載で紹介したとおり、リヨンがホームにレアル・マドリッド(スペイン)を迎える。
 レアル・マドリッドは強豪チームという印象が強いが、国内のリーグ戦では2006-07シーズンと2007-08シーズンは連覇しているが、昨季は2位に終わり、リーグタイトルを逃している。そしてチャンピオンズリーグでは過去5シーズン連続して決勝トーナメント1回戦で敗れている。
 一方のリヨンは国内リーグでは2001-02シーズンから2007-08シーズンまで7連覇を果たしたが、昨季は3位に終わっている。さらにチャンピオンズリーグでも2003-04シーズンから昨季まで6シーズン連続でベスト16と言う成績である。つまり、今季の両チームはリーグタイトルから転落して臨むチャンピオンズリーグであり、過去何年も続いたベスト16の壁を破る機会なのである。
 今季の両チームの成績も似ている。スペインリーグではバルセロナが首位であり、レアル・マドリッドは2位につけている。フランスリーグはボルドーが首位であり、リヨンは4位、そして両チームとも直前の2月13日に行われた国内リーグでは勝利し、よいリズムでチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを迎える。

■過去2度、グループリーグで対戦

 この両チームはこれまでのチャンピオンズリーグで2度(4試合)対戦したことがある。いずれもグループリーグでの対戦であり、最初は2005-06シーズン、グループFでの対戦である。両チームは開幕戦で対戦する。2005年9月13日にリヨンで行われたこの試合、リヨンの攻撃陣が好調で、リヨンが3-0と勝利する。11月23日にマドリッドで行われた試合では1-1のドローになり、リヨンはこのマドリッドでの試合以外は全勝し、5勝1分で首位通過、レアル・マドリッドも2位で決勝トーナメントに進出している。
 翌年も両チームは同じグループリーグで対戦することとなる。奇しくも1年後の2006年9月13日、再び両チームはリヨンで対戦する。そしてこの試合もリヨンは2-0と勝利する。そして11月22日にマドリッドで行われた試合は2-2のドローとなり、最終的なグループリーグの成績はリヨンが首位、レアル・マドリッドが2位となり両チームが決勝トーナメントに進出する。そして両チームとも決勝トーナメント1回戦で敗れ、歴史は繰り返したのである。

■初めて決勝トーナメントで対戦

 そして、今回は決勝トーナメントで対戦することになった。リヨンは過去2回の対戦ではいずれも先にホームゲームを行い、勝利している。そしてアウエーの第2戦でも負けていない。今回も先にホームゲームを行う。過去2回と同様にホームで先勝したいところである。
 エル・ブランコと呼ばれるレアル・マドリッドはその名の通り白いユニフォーム、ホームのリヨンは黒いユニフォームで白い巨人を迎える。試合は立ち上がりからリヨンがチャンスをつかむ。試合開始早々からとく転移は結びつかないが、立て続けに好機をつかむ。試合は次第にレアル・マドリッドがボールを支配するようになるが、リヨンのカウンターアタックは鋭く、得点の気配がするのは地元のリヨン、と言う中で前半が終了する。

■アフリカ選手権帰りのジャン・マクーンの決勝ゴール

 そして後半開始早々にビッグプレーがジェルランの4万人の超満員の観衆を沸かせる。47分、リヨンのジャン・マクーンがロングシュートを放つ。レアル・マドリッドの名手イケル・カシージャスのセービングも届かず、ゴールネットをきれいに揺らす。マクーンはカメルーン代表、1月中旬から行われたアフリカ選手権に出場したが、3試合に出場しながら無得点、チームも決勝トーナメント1回戦で敗れてしまった。もちろん6月のワールドカップが今年最大の目標であるが、所属チームのリヨンでタイトルが欲しいところである。
 リヨンのGKウーゴ・ロリスが今季最高の試合と評するように、リヨンは白い巨人レアル・マドリッドにホームで3連勝、幸先よいスタートで決勝トーナメント1回戦突破に向けて前進した。(続く)

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