第1081回 ヨーロッパリーグ2回戦(5) リール、得失点差でリバプールに破れる

■欧州屈指の人気チームと対戦するリール

 20年ぶりの対戦となったマルセイユとベンフィカ(ポルトガル)の戦いだが、マルセイユは地元での第2戦の終盤の失点で、再びベンフィカに敗れた。ヨーロッパリーグのもう1つ残っているフランス勢がリールである。リールは2回戦でリバプール(イングランド)と対戦する。マルセイユ-ベンフィカ戦同様に第1戦が3月11日、第2戦は18日に行われるが、リールの場合は第1戦がホームで第2戦がアウエーである。
 相手は欧州屈指の人気チーム、リール、ランスは欧州カップのホームゲームをパリ近郊のスタッド・ド・フランスで行うこともあるが、今年のリールはリール均衡のビルヌーブダスクにあるリール・メトロポール競技場でホームゲームを行う。リール市内の本拠地が使うことができず、仮の本拠地であり、収容人数も1万7000人であり、スタッド・ド・フランスの4分の1しか収容できない。しかし、仮の本拠地と入ってもすっかり定着したのであろう。

■終盤のエデン・アザールのFKでリールが先勝

 試合は1万7000人の観衆の前で始まった。リバプールはチャンピオンズリーグのグループリーグでも同じフランス勢のリヨンとすでに対戦しているが、1分1敗であり、グループ3位に終わっている。両チームの主将はリールが元フランス代表のリオ・アントニオ・マブーバ、リバプールがスティーブン・ジェラードである。日本の皆様にとってジェラードと言うと豪州代表のマーク・ジェラードを連想される方が多いと思われるが、欧州ではスティーブン・ジェラードの方が有名である。両チームの主将は中盤の中央のポジションであるが、両者のパフォーマンスが試合の明暗を分けた。世界中のタレントを集めたリバプールは試合を優勢に進めるが、ジェラードが本調子ではなく、なかなか得点をあげることができない。また元フランス代表のGKミカエル・ランドローの攻守も光る。
 試合は両チーム無得点のまま、終盤を迎える。第2戦をアウエーで行うリールであるが、楽観的であった。と言うのはリバプールはフランス勢との対戦で地元では相性が悪く、昨年10月にはリヨンに敗れ、2007年にはマルセイユに敗れているからである。このままスコアレスドローであってもリールは十分に勝機有り、という余裕があったのだろうか。84分にベルギー代表のエデン・アザールが放ったFKに対し、リールの選手は誰も触らない、そればかりかリバプールの守備陣も触ることなく、スペイン代表GKのホセ・マヌエル・レイナも触れることなくゴールインしてしまう。この終盤の決勝点でリールは有利な立場でリバプール入りする。

■第1戦で不振のスティーブン・ジェラードのゴールでリバプールが先制

 リールは2月に入ってからフェネルバフチェ(トルコ)のシュクリュ・サラジオウル、サンテエチエンヌのジェフロワ・ギシャールと熱狂的なファンを敵に回して試合を行っている。しかしながら、リバプールの本拠地、アンフィールドは特別であった。リールは赤いファンに圧倒され、9分にはストッパーのフランス代表のアディル・ラミがリバプールのルーカスを倒してしまい、PKを献上する。このPKを蹴るのは第1戦で動きの悪かったジェラードである。リバプールの主将は冷静にPKを蹴り、第1戦のヒーローのランドローは逆に飛び、あわてて足を伸ばしたものの、リバプールが先制、2試合通算スコアはタイとなる。

■フェルナンド・トーレスの2得点でリールは姿を消す

 リールはボールは保持できるものの、シュートにはつながらず、攻撃陣は不発である。後半に入ってリバプールはスペイン代表のフェルナンド・トーレスが勝ち越し点、そして試合終了間際にはトーレスが追加点を上げ、万事休す。11試合連続で得点を続けてきたリールの攻撃陣も沈黙し、ノーゴール。第1戦を1-0と勝利したものの第2戦は0-3と大敗し、リールもマルセイユに続き2回戦で姿を消してしまったのである。(この項、終わり)

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