第1158回 2010-11欧州カップ開幕 (5) マルセイユ、オセールは黒星スタート

■スパルターク・モスクワと相性のいいマルセイユ

 前回の本連載ではチャンピオンズリーグで11年連続出場になるリヨンのグループリーグ初戦での勝利について紹介したが、今回はリヨンの翌日にチャンピオンズリーグ初戦を迎えたマルセイユとオセールについて紹介しよう。
 グループFのマルセイユはスパルターク・モスクワ(ロシア)とホームで、グループGのオセールはACミラン(イタリア)とアウエーで、それぞれ20時45分にキックオフの笛が吹かれる。
 マルセイユにとってスパルターク・モスクワとはチャンピオンズカップでは1991年の準決勝で対戦している。この時、マルセイユは第2戦の試合の終盤にGKを負傷で失いながら、代役のジャン・ピエール・パパンが活躍し、決勝へと駒を進めている。また、UEFAカップでは2007-08シーズンに対戦し、マルセイユが勝利している。ロシア勢はこのところフランス国内で勝利から見放されており、ホームでグループリーグの初戦を迎えるマルセイユは組み合わせに恵まれたといえよう。

■好機を逃し、最後にオウンゴールを献上

 スパルターク・モスクワは決して好調とは言えず、ロシアリーグでは現在6位である。ロシアリーグも近年大量のオイルマネーが流入し、大物外国人選手が集まるようになり、シーズンも春秋制から夏春制に移行することになった。このスパルターク・モスクワにとって最大の目玉選手はブラジル代表のウィルソンであろう。 これまでフランス国内のチャンピオンズリーグの試合で勝利したことのないロシア勢、スパルターク・モスクワは守りを固める。この守りに対し、マルセイユは苦戦する。得点機を作り出すことができず、ゴールネットが揺れる気配は感じられない。
 ようやく後半になってマルセイユは攻勢に出る。ファンの声援を受けてシュートを浴びせるがスパルターク・モスクワのGKがスーパーセーブを連発する。攻めながらも得点をあげることができないマルセイユ、そして試合時間も残り10分を切った81分、ベロドロームは沈黙する。スパルターク・モスクワのキリル・コンバロフのあげたセンタリングがマルセイユのセザール・アスピリクエタの足に当たり、そのままスティーブ・マンダンダの守る自らのゴールに入ってしまう。これが決勝点となりマルセイユはホームで0-1と初戦を落とす。マルセイユはこれで2期連続してチャンピオンズリーグの初戦で敗れたのである。

■ミラノで勝てないフランス勢

 そして昨年のチャンピオンズリーグの初戦でマルセイユに勝ったのがイタリアのACミランである。オセールはアウエーでACミランと対戦する。オセールとACミランの間には明らかな差がある。ACミランのクラブの財政規模はオセールのほぼ10倍、したがって選手のサラリー、質にも明白な差があり、ACミランの優位は動かない。
 しかもACミランは本拠地サンシーロでフランス勢に対して相性がよく、これまでにサンシーロで勝利したフランスのチームは2006-07シーズンのリールだけである。ACミラノを倒した1990-91シーズンのマルセイユもサンシーロでは引き分けだった。

■健闘オセール、ズラタン・イブラヒモビッチの2発で沈む

 このような格上のチームに対してオセールは健闘する。前半は再三好機をつかみ、ACミランのゴールを襲う。得点こそならなかったが、前半を終わって0-0とタイスコア、タレント集団のACミランを圧倒する。過去に欧州のビッグクラブを苦しめてきたオセールを思わせる戦いぶりであった。
 しかし、後半に入ってオセールはついに力尽きる。66分にロナウジーニョのカーブのかかったセンタリングをACミランの攻撃陣がつなぎ、最後はズラタン・イブラヒモビッチがゴールに突き刺す。そして69分にもロナウジーニョのパスを受けたイブラヒモビッチが得点を記録し、ACミランは2-0とする。オセールに反撃する力はなく、チャンピオンズリーグのアウエーでの戦いはまた勝ち星をあげることができなかったのである。(続く)

このページのTOPへ