第1172回 決勝トーナメントを目指すフランス勢 (1) 国内リーグで低迷するリヨン、連勝スタート

■11月のサッカーカレンダー

 昨年の11月はワールドカップ予選のプレーオフに注目が集まったが、今年の11月は欧州選手権の予選は予定されておらず、イングランドとの親善試合が17日に行われるだけである。ラグビーのウインドウマンスということで国外との試合はサッカーよりもラグビーに注目が集まる。また、国内タイトルについてはリーグ戦は12節から15節までの4節が行われ、フランスカップではプロの2部のチームが参戦する段階であり、1部チームの登場は年明けからである。またリーグカップは準々決勝が行われる。
 このようなカレンダーの中で、欧州カップについては月初にチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグの第4節、月末にチャンピオンズリーグの第5節が行われ、年明けから行われる決勝トーナメント進出に向けた戦いは佳境を迎える。

■初戦は2勝3敗だったフランス勢

 本連載では第1154回から第1159回にかけて今季のチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグの第1節でのフランス勢の戦いぶりを紹介したので、その後のフランス勢の戦いを紹介しよう。
 チャンピオンズリーグにはフランスからマルセイユ、リヨン、オセールが出場し、マルセイユとオセールは黒星スタートであったが、リヨンはシャルケ04相手に勝利した。また、ヨーロッパリーグについてはパリサンジェルマンとリールが出場し、パリサンジェルマンはセルビア(スペイン)相手に勝利したが、リールはスポルティング・リスボン(ポルトガル)に敗れている。

■国内リーグで不振のリヨン、18位まで順位を下げる

 今季のフランスリーグはブレストとレンヌという開幕前に注目を集めていなかったブルターニュ勢が首位を争い、このブルターニュ勢を追ってパリサンジェルマン、マルセイユ、リールが上位を争っている。そしてチャンピオンズリーグに出場しているリヨンとオセールは予想に反して中位にとどまっている。国内外の戦いを進めるチームは、年末の折り返し地点まではフランスカップや欧州カップの決勝トーナメントという精神的にも負担となるノックアウト試合がないので、国内外のタイトルを狙うチームは確実にリーグ戦ではある程度の順位を確保しておきたいところである。
 昨季のチャンピオンズリーグで準決勝に進出し、今季は唯一白星発進したリヨンであり、期待を集めた。ところが今季はリーグ戦では序盤からもたつき、シャルケ04(ドイツ)と対戦する段階で1勝2分2敗でリーグ16位、シャルケ04戦の勝利がターニングポイントになるかと思われたが、シャルケ04戦後もボルドー(アウエー)に敗れ、サンテエチエンヌをホームに迎えたダービーマッチでは今季絶好調のドミトリ・ペイエに決勝点を奪われ、18位まで順位を落としてしまう。

■ミッシェル・バストス連続ゴール、連勝を飾る

 リーグ戦で苦境に立つリヨンであるが、チャンピオンズリーグでは順調そのものであり、9月29日にイスラエルのテルアビブで行われたハポエル・テルアビブ戦ではアウエーの観衆にひるむことなく、リヨンは攻撃的なサッカーを見せる。開始早々の7分にはジミー・ブリアンが攻め込み、ペナルティエリアの中で倒され、PKを得る。シャルケ04戦で決勝点をあげたブラジル代表のミッシェル・バストスが冷静に決めて先制、その後もリヨンは試合を支配する。バストスは36分にもボレーシュートで追加点、リヨンは2-0とリードして折り返す。
 後半の79分にリヨンは自陣ペナルティエリア内でファウルを犯し、PKを与える。ペナルティスポットに立ったのはなんとナイジェリア代表GKのビンセント・エニェアマ、実は第1節のザルツブルク(オーストリア)戦でもPKを決めており、この日も難なく決め、リヨンは1点差に追い上げられる。しかしリヨンはロスタイムにボスニア代表のミラレム・ピヤニッチが追加点をあげ、3-1というスコアで連勝したのである。(続く)

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