第1289回 真夏の欧州カップ(1) リヨン、公式戦5試合連続で先制点を許すが本戦出場

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■36のリーグチャンピオンが予備戦から登場

 8月初めにシーズンは開幕したばかりであり、欧州カップは本戦が秋から行われるが、真夏の7月から8月にかけてこの本戦の出場権争いが行われ、一足早い欧州での戦いにフランス勢も参戦した。
 まずチャンピオンズリーグは、国内のリーグチャンピオンになっていれば欧州チャンピオン、世界チャンピオンへの道が開かれるように設計されている。しかし、実力差に違いがありすぎるために、36か国のリーグチャンピオンは予備戦からの出場となる。予選やプレーオフを経験せず本戦に出場できるチームは22チームあるが、このうちリーグチャンピオンは12チームに過ぎない。欧州において各国のリーグの実力差はいかんともしがたい。このリーグ間格差は今に始まったことではないが、現在のチャンピオンズリーグは実力差の少ないチーム同士の試合の積み重ねで欧州のチャンピオンを決定するように設計されている。

■欧州5大リーグの上位チームが参戦するプレーオフ

 フランスからチャンピオンズリーグへの道が開かれているのは3チーム、リーグ1位のリールと2位のマルセイユは本戦から出場できるが、リーグ3位のリヨンは予備戦を勝ち抜いてきたチームとのプレーオフからの出場となる。このプレーオフから出場するチームは欧州5大リーグの上位チームであり、リヨン以外は、イングランド4位のアーセナル、スペイン4位のビジャレアル、イタリア4位のウディネーゼ、ドイツ3位のバイエルン・ミュンヘンと言う顔ぶれである。 これら欧州のビッグリーグの上位チームが予備戦を勝ち抜いてきた15チームを交えて本戦出場の10のチケットを争うプレーオフは8月16日、17日に第1戦、23日、24日に第2戦が行われた。

■ロシアリーグ2位のルビンと対戦するリヨン

 リヨンの相手はロシアでリーグ3位となったルビンである。ルビンは7月末と8月初めに行われた予備戦の3回戦から参戦、ここでウクライナ2位のディナモ・キエフと対戦する。旧ソ連のダービーマッチとなったこの試合でルビンは連勝し、チャンピオンズリーグ出場を狙う。
 6月末に練習を再開したリヨンであるが、7月上旬は調子が上がらず、練習試合でも精彩を欠いた。しかし7月中旬以降は上昇機運に乗り、8月6日のリーグ開幕戦はアウエーでニースに序盤に先制点を奪われながら3-1と逆転勝利する。ホームに戻った第2節はアジャクシオ相手に先行されながら終盤に追いつき、1-1のドロー、この3日後にジェルラン競技場にルビンを迎える。

■ホームアウエーとも先制点を許したリヨンが競り勝つ

 リーグ戦のホーム初戦は3万2000人の観衆であったが、このルビン戦はそれを上回る3万5000人の観客が集まり、ファンの注目度が高いことがよくわかる。リーグチャンピオンを保ち続けてきたリヨンにとって8月に欧州カップを戦うのは2季ぶりのことである。しかし、開始わずか3分でリヨンは先制点を奪われてしまう。そしてここからの展開は開幕のニース戦と同じになった。10分にバフェタンビ・ゴミスが同点ゴールを決め、同点に追いつく。40分にはブラジル代表から外れてしまったミッシェル・バストスが左サイドからパスをだし、アルゼンチン代表から漏れたリサンドロ・ロペスがシュート、これがルビンの選手がコントロールミスし、オウンゴールとなってリヨンが逆転する。リヨンは南米選手権のメンバーから外れた2人の活躍で前半をリードして折り返す。後半に入って72分にキム・カールストロームのCKをジミー・ブリアンがヘディングを決めて、リヨンはホームの第1戦を3-1と勝利したのである。
 そしてその2週間後、ロシアのカザンに乗り込んだリヨンは開始から堅い守備でルビンの攻撃を止める。77分にルビンに先制点を奪われ、国内のリーグ戦を含めて今季の公式戦は5試合連続で先制点を許した。しかし、リヨンは87分にコネが同点ゴールをあげて、リヨンは1勝1分で本大会出場を決めたのである。(続く)

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