第1290回 真夏の欧州カップ(2) レンヌ、パリサンジェルマンはヨーロッパリーグ本戦出場

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの違い

 前回の本連載では昨季リーグ3位だったリヨンがチャンピオンズリーグのプレーオフに勝利して本戦に出場したことを消化したが、リーグ4位以下のチームが出場するのがヨーロッパリーグである。フランスからはリーグ4位のパリサンジェルマン、5位のソショー、6位のレンヌが出場しているが、本戦にすんなりと出場できるチームはない。最低限プレーオフを勝ち抜かなくてはならない。フランス勢の場合、最下位のレンヌは7月に行われる予備戦を戦い、ソショーとパリサンジェルマンは8月に行われるプレーオフからの参戦となる。シーズン序盤において国外のチームとホームアンドアウエーのノックアウト方式の戦いをしなくてはならないわけである。しかもプレーオフにはチャンピオンズリーグの予備戦の3回戦で敗れたチームも加わってくる。このように考えると、同じ欧州カップとはいえ、チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグでは大きな差がつく。リーグ終盤に優勝争い以外に上位争いが白熱するのはこのあたりに理由がある。

■レンヌ、元欧州王者のレッドスター・ベオグラードに連勝

 レンヌは予備戦3回戦でグルジアのメタルルギ・ルスタビと対戦する。リーグ開幕直前に2試合戦ったレンヌであるが、アウエーの第1戦を5-2と大勝すると、リーグ開幕の3日前に行われた本拠地での試合も終盤に得点をあげて2-0と連勝する。この勢いをかってレンヌはリーグ戦の開幕戦では今季昇格してきたディジョン相手に5-1と1部の洗礼を浴びせる。
 リーグ戦で第2節が終わったところで予備戦の3回戦が行われる。レンヌは第2節で同じヨーロッパリーグに参戦しているパリサンジェルマンとホームで戦ったが1-1のドロー、レンヌの予備戦3回戦の相手はセルビアのレッドスター・ベオグラードである。本連載の読者に皆様ならよくご存じのチーム、ユーゴスラビア時代の1991年、イタリアのバリで行われたチャンピオンズカップの決勝、マルセイユ相手に防戦一方ながら無失点にしのぎ、PK戦の末、欧州チャンピオンに輝いた名門である。東欧から欧州チャンピオンはそれ以降生まれていない。
 昨季のセルビアリーグのチャンピオンをパルチザン・ベオグラードに譲り、2位となったレッドスター・ベオグラードの本拠地での第1戦は5万4000人の大観衆が集まった。レンヌはPKで先制を許すが、ブルキナファソ代表のジョナタン・ピトロイパが同点ゴール、コロンビア代表経験があるビクトル・モンターニョが逆転ゴールをあげ、第1戦に勝利する。第2戦のホームゲームもモンターニョの先制ゴールを皮切りに大量4得点をあげたレンヌは本戦出場となった。

■注目のパリサンジェルマン、国際試合で目を覚ます

 今季のリーグで大きな注目を集めたのがケビン・ガメイロ、ジェレミー・メネスなど大型補強を挙行したパリサンジェルマンである。しかし、リーグの開幕戦は本拠地パルク・デ・プランスで4万人以上のファンの前でガメイロの古巣ロリアン相手に0-1と黒星スタート、第2節もレンヌとドロー、国内未勝利のまま欧州の舞台に出る。
 相手はルクセンブルクカップの勝者であるディフェルダンジュ03、ガメイロが先制点をあげ、メネスも試合終了直前に得点をあげるなど新加入の選手が活躍し4-0とアウエーで先勝、これでエンジンのかかったパリサンジェルマンはリーグ戦第3節でバランシエンヌ相手に勝利し、ディフェルダンジュ03を迎えた第2戦でも2-0と勝利し、やすやすと本戦出場を決定する。リーグ戦でもトゥールーズに勝利して順位を3位まで上げた。

■ソショーはフランス勢唯一、本戦出場を逃す

 フランス勢で唯一苦汁をなめたのがソショーである。リーグ開幕戦でマルセイユ相手にアウエーで引き分けに持ち込み、期待されたが、ホームに戻ってきてカーンに敗れる。パリサンジェルマン同様国内未勝利での欧州カップ初戦となったが、ウクライナリーグ3位のメタリスト・ハルキウと対戦、アウエーの第1戦はスコアレスドローに持ち込み、リーグ戦第3節では初勝利をあげ、ホームでの第2戦はファンの期待を集めたが、序盤に連続失点、結局0-4という大敗を喫し、欧州の舞台に立つことができなかったのである。(この項、終わり)

 
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