第1522回 ヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦(5) ボルドー、ディナモ・キエフを下し2回戦に

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスカップでも勝ち残っている過密日程のボルドー

 前回までの本連載ではヨーロッパリーグの決勝トーナメントに残ったフランス勢のうち、期待の高かったリヨンがイングランドのトットナム相手に最後の最後の失点で敗れたことを紹介した。もう1つのフランス勢ボルドーの戦いについて消化することにしよう。
 ボルドーはリーグ戦ではパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユの3強に次ぐ順位であったこともあったが、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントが始まる段階のリーグ順位は7位である。しかも直前のリーグ戦ではアジャクシオに敗れている。前回までに紹介したリヨンは国内ではリーグカップ、フランスカップともに初戦で敗れており、トーナメント表から姿を消しているが、ボルドーはリーグカップ初戦でモンペリエに敗れたものの、フランスカップはベスト32決定戦、ベスト16決定戦をきわどい勝ちで乗り切り、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦は2月14日と21日の木曜日に行われるが、その翌週の水曜日の2月27日にフランスカップのベスト8決定戦が行われ、3週連続で週に2回の試合のペースとなる。そして、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントで勝ち抜けば、3月7日と14日に2回戦が行われるため、5週連続で週2試合という過密日程となる。

■守勢のアウエーゲームでディナモ・キエフと引き分けたボルドー

 ボルドーの相手はウクライナのディナモ・キエフ、チャンピオンズリーグのグループリーグではフランス勢のパリサンジェルマンにホーム、アウエーとも敗れているが、このボルドー戦でその雪辱を果たしたいところであり、ファンの期待も大きく、オリンピックスタジアムには7万人が集まった。
 この試合、先手を取ったのはディナモ・キエフであった。20分にタイエ・タイウォからルクマン・ハルナというナイジェリア代表のコンビのホットラインが先制点を奪う。7万観衆が歓喜する。しかし、ボルドーもすぐに追いつく。その3分後、グレゴリー・セルティックのパスからポーランド代表のルドビック・オブリニャックが強烈なシュート、同点に追いつき、試合を振り出しに戻す。しかし、試合はホームのディナモ・キエフが優勢に進め、ボルドーは得点こそ許さなかったものの厳しい戦いでハーフタイムを迎える。後半になっても優位に試合を進めるものの、なかなか勝ち越し点を奪うことができないディナモ・キエフは選手交代を積極的に行う。よく守っていたボルドーであるが、75分、エンリケがディナモ・キエフの途中出場してきたオレグ・グセフに対してペナルティエリア内でファウル、PKを与えてしまう。グセフ自身がPKを蹴るが、昨年までフランス代表の第3GKだったセドリック・カラッソが見事にセーブする。ボルドーは劣勢のアウエーゲームを1-1と乗り切ったのである。

■ホームの第2戦で1-0と勝利し2回戦進出を決める

 第2戦は勝利あるいはスコアレスドローで2回戦進出となるボルドーは1週間後に本拠地シャバン・デルマス競技場にディナモ・キエフを迎える。直前のリヨン戦で0-4と大敗しているボルドーであり、観衆も1万7000人とさびしいものであったが、第1戦のドローでボルドーは精神的に優位に試合を進める。ボルドーの試合内容は1週間前のホームチームほどではなかったものの、この試合で先制点を奪う。41分、ブノワ・トレムリナスの左CKをボルドーはゴール前でつなぎ、最後にゴールネットを揺らしたのはマリ代表のシェイク・ディアバテ、この1点が決勝点となり、ボルドーが2回戦進出を決める。

■ウクライナ勢に6戦無敗となったボルドー

 実はこれまでにボルドーはチャンピオンズリーグ、UEFAカップで当時ソ連で現在はウクライナのドニエプロペトルフスクと2回対戦、ホームアウエーで4回対戦し、1勝3分と負けなし、そしてソ連解体後に初めて対戦したウクライナ勢に対しても負けなかったのである。ボルドーはレバークーゼン(ドイツ)を下したベンフィカ(ポルトガル)と2回戦で対戦することになったのである。(この項、終わり)

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