第1523回 パリサンジェルマン、18年ぶり8強入り(1) 欧州カップのスペシャリスト、バレンシア

 2年前の今日、2011年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランス勢で最初に決勝トーナメントを戦うパリサンジェルマン

 前回まではヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦におけるリヨンとボルドーの戦いについて紹介してきたが、今回はフランスからチャンピオンズリーグでの決勝トーナメントに唯一残ったパリサンジェルマンの1回戦の模様について紹介しよう。
 チャンピオンズリーグの決勝トーナメントは8試合のうち4試合は2月12日ならびに13日に第1戦が行われ、その3週間後の3月5日ならびに6日に第2戦が行われ、残りの4試合はその翌週にあたる2月19日もしくは20日に第1戦が行われ、3月12日もしくは13日に第2戦が行われベスト8が決定する。パリサンジェルマンはバレンシア(スペイン)と対戦し、第1戦は2月12日に敵地で行われ、フランス勢の中で欧州カップの決勝トーナメントに最初に臨むことになる。

■国内では2位に差をつけている欧州5大リーグの首位チーム

 パリサンジェルマンは国内リーグで2位リヨンに勝ち点6の差をつけている。欧州5大リーグを見渡してみると、ドイツのブンデスリーガは首位バイエルン・ミュンヘンと2位ボルシア・ドルトムントの勝ち点差は実に15、イングランドのプレミアリーグの首位マンチェスター・ユナイテッドと2位マンチェスター・シティの勝ち点差は12、そしてスペインのリーガエスパニョーラの首位バルセロナと2位アトレチコ・マドリッドの勝ち点差も同じく12と首位が独走気味である。イタリアのセリエAも首位ユベントスと2位ナポリの勝ち点の差は5であり、欧州5大リーグは首位チームが独走気味であると言えるであろう。

■チャンピオンズリーグのグループリーグを首位で突破した欧州5大リーグの首位チーム

 そしてチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残った16チームを見渡してみると、この欧州5大リーグの首位チームがすべて名を連ね、しかも5チームともグループリーグを首位で通過している。一方、5大リーグの2位チームでチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出しているのはドイツのボルシア・ドルトムントだけである。国内リーグとチャンピオンズリーグの二冠なるかどうか、興味は尽きない。

■欧州での成績が光るバレンシア、ジャイアントキリングを狙う

 対戦相手のバレンシアは昨季スペインリーグで3位、今季は決勝トーナメント1回戦を迎える段階でリーグ5位である。首位のバルセロナとは勝ち点差は実に25、国内リーグでの優勝は厳しいことから、チャンピオンズリーグに照準を絞ってビッグタイトルを獲得したいところである。グループリーグを首位で通過したパリサンジェルマン相手にジャイアントキリングを決めたいところである。バレンシアは1979年にマリオ・ケンペスを擁して訪日し、ちょうど原記念日を迎えたばかりの広島で日本代表と試合を行ったことから、日本のファンの皆様は非常に強い印象をお持ちのことであろう。
 バレンシアは国内の二大勢力であるバルセロナとレアル・マドリッドの陰に隠れながら、リーグの優勝は6回を誇るが、特筆すべきは欧州での強さである。チャンピオンズリーグでは優勝したことはないが、1999-2000シーズンと200-01シーズンに連続して準優勝している。ヨーロッパリーグに関しては前身のインターシティ・フェアーズカップで1961-62シーズンと19620-63シーズンに連続して優勝、UEFAカップとなってからは2003-04シーズンの決勝でマルセイユを破って優勝している。またカップウィナーズカップでも1979-80シーズン、すなわちシーズン前に訪日したシーズンに優勝しており、欧州カップで4回の優勝を誇る。
 スペインのクラブの中で欧州カップの優勝回数はレアル・マドリッド、バルセロナに次いで3番目に多いが、レアル・マドリッドが11回、バルセロナが7回という欧州カップでの優勝回数を考えれば、欧州カップでの強さは際立つものがある。フランスのクラブがこの50年強の歴史の中で1992-93シーズンのチャンピオンズリーグでのマルセイユ、1995-96シーズンのカップウィナーズカップのパリサンジェルマンの2回しか欧州カップで優勝していないことを考えれば、1つのクラブで4回も優勝しているバレンシアは欧州カップのスペシャリストと言えるであろう。そしてグループリーグ2位通過とはいえ、バレンシアはグループFで首位のバイエルン・ミュンヘンと同じ勝ち点13、パリサンジェルマンにとって手ごわい相手なのである。(続く)

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