第1609回 チャンピオンズリーグ開幕(3) 対照的な結果となったフランス2強の開幕戦

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■くじ運に恵まれたパリサンジェルマン

 フランス勢ではパリサンジェルマンとマルセイユというライバル同士が本戦から出場するが、その組み合わせの結果は対照的である。パリサンジェルマンの入ったグループCの第1シードのベンフィカ(ポルトガル)は第1シードの中では一番低い8番目、またギリシャのオリンピアコス、ベルギーのアンデルレヒトはいずれも伝統チームでありリーグチャンピオンであり、代表チームの成績もフランスよりはるかに上である。しかしながら国内の有力選手は他国に流出しており、かつてチャンピオンズカップで暴れまわったような力は持っていない。

■下位シードに難敵がそろうグループFのマルセイユ

 一方のマルセイユ、グループFはパリのファンが喜ぶような難しいグループになった。第1シードのイングランドのアーセナルは優勝経験こそないが、近年の上位の常連チームである。
 決勝トーナメントに進出するためには2位までに入らなくてはならないとなると、第3シードのボルシア・ドルトムント(ドイツ)と第4シードのナポリ(イタリア)は手ごわい相手である。ボルシア・ドルトムントは昨季のチャンピオンズリーグの準優勝チームであり、国内リーグでもバイエルン・ミュンヘンに次ぐ2位である。
 ナポリは1980年代のディエゴ・マラドーナ時代の栄光が印象的であるが、2004年にクラブが破産し、その後3部リーグに相当するセリエCまで陥落したが、近年盛り返し、2012年にはイタリアカップで優勝し、24年ぶりのタイトル獲得、そして2013年は久しぶりにリーグ2位になり、チャンピオンズリーグに2年ぶりに出場する。これだけ勢いはあるものの、欧州での戦績がほとんどないことから第4シードに甘んじている。

■パリサンジェルマン、アウエーでゴールラッシュ

 まずグループCのパリサンジェルマンが9月17日に登場する。赤と白の縦じまのユニフォームのオリンピアコスとアウエーで対戦。1997年に国内リーグで10年ぶりの優勝を決めたオリンピアコスはその後は国内では無敵であり、優勝を逃したのは2回だけ、しかしながらチャンピオンズリーグでの戦績は振るわない。オリンピアコスの本拠地のあるピラエウスはアテネの誓い港町でマルセイユの姉妹都市である。カライスカキ競技場は満員の観衆で埋まる。しかし、パリサンジェルマンは前半の19分にエジソン・カバーニが先制点、その直後にオリンピアコスが追い付き、タイスコアで折り返すが、後半に入ってパリサンジェルマンが一気に突き放した。68分と73分にチアゴ・モッタが連続ゴールであっという間に2点差となる。82分にはズラタン・イブラヒモビッチがペナルティエリア内でファウルを受けPKを得るが、イブラヒモビッチの蹴ったPKはGKにセーブされてしまう。しかし、パリサンジェルマンは86分にマルキーニョスがゴールを決め、アウエーでの試合に4-1と大勝したのである。

■マルセイユ、ホームでアーセナルに敗れる

 その翌日の9月18日、マルセイユは本拠地ベロドロームにアーセナルを迎える。第1シードが相手であるがホームゲームでは勝ち点3がほしいマルセイユである。その目論見通りにマルセイユは有利に試合を進める。ゲームの中心はフランス代表の中心的選手となったマチュー・バルブエナ、代表チームの中心選手が自国のクラブで活躍していることはファンにとって頼もしい。しかし、マルセイユはなかなか得点を決めることができない。後半に入って65分、均衡を破ったのはアーセナル、キーラン・ギブスのクロスをイングランド代表のセオ・ウォルコットがボレーでゴールネットを揺らす。さらに劣勢のアーセナルはアーロン・ラムジーのミドルシュートが決まり2-0とリードを広げる。マルセイユは後半のロスタイムにアンドレ・アユーがラムジーに倒されてPKを得る。このPKをジョルダン・アユーが決めたが、焼け石に水。マルセイユはホームでの初戦を1-2と落としたのである。
 フランスから出場したライバル2チームの初戦は対照的な結果となったのである。(この項、終わり)

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