第1621回 チャンピオンズリーグ グループリーグ中盤戦(1) 連敗スタートとなったマルセイユ

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップ予選の終盤と重なるチャンピオンズリーグの中盤戦

 11月15日と19日に行われるワールドカップ予選のプレーオフ、フランスは前大会に続き、このプレーオフにワールドカップ出場をかけることになった。UEFAに所属する53か国のうち、9か国はすでにワールドカップ出場を決定し、37か国はすでにワールドカップ出場の夢が断たれ、8か国だけが最後の4つの椅子を争うことになる。現在の欧州のサッカー界はそのような3つの立場に分かれるが、それとへこうして毎年行われているのがチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグである。ワールドカップ予選の最終戦からプレーオフが行われる時期にチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグはグループリーグの中盤戦を迎える。本連載では第1607回から第1609回にかけてチャンピオンズリーグのグループリーグの第1節を紹介したが、今回からはその後のフランス勢の戦いを紹介しよう。

■マルセイユ-パリサンジェルマン戦直前に行われる第2節

 チャンピオンズリーグの第2節は10月1日と2日にかけて行われた。第1節と逆に、火曜日の1日にグループFのマルセイユがアウエーで戦い、水曜日の2日にグループCのパリサンジェルマンがホームで戦う。第1戦で明暗が分かれたライバル同士であるが、国内リーグではこの時点で首位モナコ、2位パリサンジェルマン、3位マルセイユとなっている。マルセイユとパリサンジェルマンは第2節が行われた直後の10月6日に行われるリーグ戦第9節で対戦することになっており、チャンピオンズリーグで勝利したその勢いでライバルと対戦したいところである。

■ボルシア・ドルトムントのカウンターに屈したマルセイユ

 マルセイユの相手はドイツのボルシア・ドルトムントである。ボルシア・ドルトムントは昨季のチャンピオンズリーグの準優勝チームであり、今季も国内リーグでは首位をキープしているが、チャンピオンズリーグのグループリーグ第1戦はイタリアのナポリと戦い、落としており、初戦黒星通しの戦いとなった。マルセイユは第1節でイングランドのアーセナルに敗れて以来、国内リーグでは2勝1分と勝ち星を重ね、順位も3位であり、チーム状態は悪くない。ボール支配率ではマルセイユがボルシア・ドルトムントを上回ったものの、なかなかシュートチャンスを作れない。逆にボルシア・ドルトムントはカウンターからの攻撃がさえ、マルセイユのゴールを次々と襲う。先制点は黒と黄色のボルシア・ドルトムント、19分にロベルト・レバンドフスキが先制点をあげる。後半に入っても52分にマルコ・ロイスのFKがスティーブ・マンダンダが守るゴールネットを揺らし、2点差となる。試合終盤はマルセイユは戦意を失い、79分にはペナルティエリア内でロイスを倒してPK、このPKをレバンドフスキが決めて3-0と大差がつく。連敗したマルセイユは単独最下位となったのである。

■ベンフィカを迎え撃つパリサンジェルマン

 マルセイユが不振にあえぐ一方、その翌日にパリサンジェルマンはポルトガルのベンフィカをパルク・デ・プランスに迎える。ベンフィカは日本サッカー協会が創立50周年を迎えた際に訪日し、日本代表と日本各地で記念試合を行ったことから日本の皆様はよくご存じのクラブであろう。そしてパリサンジェルマンにとっても特別なクラブである。まず、本連載でもしばしば紹介しているが、パリがリスボン、ポルトについで世界で2番目に多くのポルトガル人の住んでいる都市であるということ、したがって決してホームアドバンテージがあるわけではない。そして今から23年前の1990年春、ベンフィカはチャンピオンズカップ準決勝でマルセイユと対戦し、疑惑のハンドでマルセイユを下している。パリサンジェルマンのファンにとっては、ライバルの決勝進出を阻止した果報者である。ベンフィカもパリサンジェルマン同様、第1節は勝利、グループCの首位争いという点でも興味深い一戦となったのである。(続く)

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