第1678回 リヨンもヨーロッパリーグで8強入り

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チェコのリーグチャンピオン、ビクトリア・プルゼニ

 前回の本連載では、フランスからチャンピオンズリーグに出場したパリサンジェルマンとヨーロッパリーグに出場したリヨンのいずれもが、決勝トーナメント1回戦を突破したことを紹介した。決勝トーナメント出場チーム数が32チームとチャンピオンズリーグより多いヨーロッパリーグは3月13日と20日にベスト8決定戦が行われた。
 リヨンの対戦相手はチェコのビクトリア・プルゼニである。近年力をつけてきたチームであり、2010-11シーズンにチェコリーグで初優勝し、チャンピオンズリーグでは予備戦2回戦から参戦し、グループリーグに出場する。グループリーグではスペインのバルセロナ、イタリアのACミランという強豪チームと戦い、この両チームには1分3敗であったが、ベラルーシのBATEボリコフには1勝1分という成績を残し、グループリーグ3位となってヨーロッパリーグに転戦する。ヨーロッパリーグでは決勝トーナメント1回戦でドイツのシャルケ04に敗れているが、チーム史上最高の成績を残した。

■3年連続で欧州カップの決勝トーナメントに進出

 そして翌シーズンはリーグ3位で、2012-13シーズンにはヨーロッパリーグに出場、予備戦から出場し、グループリーグを勝ち抜き、決勝トーナメントでは1回戦でイタリアのナポリを下し、2回戦でトルコのフェネルバフチェに敗れている。この2シーズンの欧州での活躍は見事である。そして2012-13シーズンもリーグ優勝を果たし、今季のチャンピオンズカップも予備戦2回戦から出場、グループリーグではバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、マンチェスター・シティ(イングランド)、CSKAモスクワ(ロシア)というビッグクラブの中にあって3位に食い込み、ヨーロッパリーグに転戦、3年連続のヨーロッパリーグでは1回戦でウクライナのシャフタール・ドネツクと対戦、ホームの第1戦ではドローであったが、アウエーの第2戦で2-1と勝利し、昨年に続き2回戦に進出した。この3年間の欧州での実績を見ると、かなりの強敵とみていいだろう。

■先制点を奪われてもあわてずゴールラッシュで大勝

 国内リーグでは優勝は厳しくなり、フランスカップではすでに敗退、残っているタイトルはリーグカップとこのヨーロッパリーグというリヨン。リーグカップ決勝での相手のパリサンジェルマンもチャンピオンズリーグで残っており、両チームが欧州のタイトルで残っている中での決勝をフランスのファンは願っている。  リヨンはこのチェコの難敵をまずホームゲームで迎え撃つ。2万人以上の観客が見守る中、ビクトリア・プルゼニは3分に左サイドのクロスから先制点をあげる。リヨンのGKアントニー・ロペスのセーブも及ばず、失点してしまう。ビクトリア・プルゼニにとってクラブ史上最高の成績である欧州での8強入りを予感させる先制点であった。
 しかし、リヨンはこの失点で浮足立つことなく、アレクサンドル・ラカゼットをはじめとする攻撃陣が果敢に攻める。12分にはCKのチャンスからゲイダ・フォファナがシュート、同点に追いつく。これで平常心に戻ったリヨンはビクトリア・プルゼニのゴールを攻め続ける。
 1-1で折り返したが、後半に入り、53分にラカゼットが逆転ゴール、さらに61分にはアーノルド・ムブエンバ、70分にフォファナと立て続けにゴールを決め、4-1と大差で第1戦の勝利を獲得したのである。

■ハードスケジュールの中で生きた大差の貯金

 第2戦はその翌週の3月20日に行われた。3月のリヨンはリーグ戦5試合、ヨーロッパリーグ2試合の合計7試合というタフなスケジュール。この点で3点のリードを得たリヨンは余裕の布陣で第2戦を迎える。第1戦やリーグ戦とはメンバーを変え、前半ロスタイムにバフェタンビ・ゴミスが先制点、後半に入って逆転され、1-2と敗れたが、ハードスケジュールの中での貯金がものを言い、2試合通算得点は5-3でリヨンは8強入りする。リヨンの欧州カップでの準々決勝は準決勝に進出した2009-10シーズン以来のことである。(この項、終わり)

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