第1793回 ヨーロッパリーグ終盤戦 (1) ヴォルフスブルクとの最終戦で完敗したリール

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスからヨーロッパリーグに参戦している3チーム

 前回までの本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグの終盤戦について紹介し、グループFのパリサンジェルマンは2位通過、グループCのモナコは首位通過したことをご紹介した。  今回からもう1つの欧州カップであるヨーロッパリーグのグループリーグの終盤戦について紹介しよう。ヨーロッパリーグについては本連載第1770回から第1772回にかけて取り上げ、中盤戦の第4節までの模様を紹介した。
 フランスからグループリーグを戦っているのは3チーム、グループHのリールは3分1敗で3位、2位のヴォルフスブルク(ドイツ)とは勝ち点4差で残り2試合に賭ける。グループKのギャンガンは2勝1分1敗で2位、グループFのサンテチエンヌ4引き分けの勝ち点4、勝ち点8の首位インテル・ミラノ(イタリア)を勝ち点4の3チームが追うという混戦の2位争いである。

■ロシアのクラスノダール相手に主力をメンバーから外したリール

 第5節は11月27日に行われた。フランス勢の出場する3試合はキックオフ時間が異なっており、最初にキックオフを迎えたのはアウエーのロシアのクラスノダールで試合を行うリールである。現地時間20時、フランス時間で18時の試合開始となる。UEFAインデックスで6位フランスに迫る7位のロシア勢のチームに勝利することはリール自身だけではなく、フランスサッカー全体にとっても重要な意味を持つ。
 気候を考慮してロシアでは12月にホームゲームが設定されていないため、クラスノダールはグループリーグで最後のホームゲームである。リールの最終戦はホームでのヴォルフスブルク戦、ロシアで勝利し、直接対決に持ち込みたいところである。逆にこの試合で負けるか、引き分けてももう1つの試合でヴォルフスブルクがイングランドのエバートン相手に引き分け以上の場合は敗退が決まってしまう。
 リールはこのヨーロッパリーグでは得点をなかなかあげることができず、4試合でわずか2得点、しかも中盤戦は2試合とも無得点である。リールはチームの柱ともいえるアントワン・リオ・マブーバやディボック・オリジを先発から外すという荒療治に出る。

■先行され、ようやく引き分けたリール、最終節に望み

 しかし、そのリールの意気込みとは逆にクラスノダールが攻勢に出て、リールのGKビンセント・エニェアマの活躍が目立つ試合となる。そして35分には先制点を奪われてしまう。この失点でがけっぷちに立たされたリールは反転攻勢を試みる。後半立ち上がりの48分にはCKからマルコ・バサが同点ゴールを決めたに見えたがファウルの判定で得点は認められず、しかし確実に得点には近づいている手ごたえはあった。63分にはリオ・マブーバを投入し、勝負に出る。ようやく79分に右サイドのフローラン・バルモンからのパスをノーラン・ルーがヘディングで決めて同点となる。その後も勝ち越し点を奪うために積極的に攻撃をつづけたリールであったが、引き分けに終わり、1時間遅れで試合が開始されたヴォルフスブルクとエバートンの試合結果を待つ。
 ホームのヴォルフスブルクはエバートン相手に攻め続けるが得点はならず、逆に前半終了間際に失点、さらに後半に入っても追加点を奪われる。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるはずであったヴォルフスブルクは0-2と敗れ、最終節でアウエーで直接対決となったのである。

■ホームでの直接対決は完敗、リール最下位で敗退

 勝ち点3差で直接対決となった12月11日の第6節のリール-ヴォルフスブルク戦、アウエーでの試合は引き分けであり、リールは勝利すれば、勝ち点で並び、直接対決の成績で上回るため、決勝トーナメント進出である。引き分け以上でよいヴォルフスブルクに対し、リールは攻めるが得点を奪うことができず、前半ロスタイムに痛恨の失点。
 ヴォルフスブルクは後半に入り退場者を出しリールは数的有利に立つが、逆に65分に追加点を奪われ、75分にはオリジがPKを失敗、さらに後半ロスタイムにも失点、0-3と敗れたリールはグループ最下位に終わったのである。(続く)

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