第1794回 ヨーロッパリーグ終盤戦 (2) ギャンガンは初の決勝トーナメント、サンテチエンヌは敗退

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3チームが2位争いをするサンテチエンヌのグループF

 前回の本連載ではヨーロッパリーグのグループリーグに参戦しているフランス勢のうち、グループHのリールが最終戦でドイツのヴォルフスブルクとの直接対決で敗れて敗退したことを紹介した。
 今回はグループFのサンテチエンヌとグループKのギャンガンについて紹介しよう。
 サンテチエンヌの所属するグループFはイタリアのインテル・ミラノが独走し、残る3チームが勝ち点4で並んでいる。サンテチエンヌ第1シードのインテル・ミラノとは第3節と第4節の中盤戦で対戦しており、ウクライナのドニプロ、アゼルバイジャンのカラバフに比べて有利な終盤戦となる。サンテチエンヌの第5節はホームでのカラバフ戦であり、ドニプロはインテル・ミラノとのアウエーゲームであり、サンテチエンヌとインテル・ミラノがそれぞれホームゲームで勝利すれば決勝トーナメントは接近する。逆にもしサンテチエンヌが敗れてしまうと、グループリーグ敗退となってしまう。

■ホームの第5節で痛恨の引き分け、最終節はアウエーで敗れたサンテチエンヌ

 本拠地のジェフロワ・ギシャールには3万人近いファンが集まり、緑一色になる。サンテチエンヌは優位に試合を進めるが、得点を奪うことができない。ここまでお4試合でわずか1得点というサンテチエンヌの得点力不足はかわらない。一方、ここまで1失点と鉄壁の守備を誇っていたサンテチエンヌは15分に先制点を許す。このままではグループリーグ敗退となるサンテチエンヌは21分にオランダ人のリッキー・ファン・ヴォルフスヴィンケルが同点ゴール、なおも勝ち越しを狙ったが痛恨の引き分けとなった。ミラノでの試合はインテル・ミラノが順当勝ち、グループFは相変わらず残り3チームの争いは続く。
 最終節は12月11日に行われ、サンテチエンヌはアウエーでドニプロと対戦する。試合前の段階でサンテチエンヌとカラバフは勝ち点5で並んでいるが、直接対決の結果はアウエーゴールの差によりカラバフが優位である。したがって、サンテチエンヌは勝利しても、カラバフが勝利すれば3位にとどまってしまい、カラバフよりもいい結果を残さなくてはならない。ドニプロはキエフのオリンピックスタジアムでホームゲームを行ったが、観衆はわずか2500人、しかし、66分にこの試合唯一のゴールを奪ったのはドニプロのアルテム・フェデツキであり、サンテチエンヌは終盤2試合で勝ち点1しかあげることができず敗退となった。

■第5節のホームでのフィオレンチナ戦で敗れたギャンガン

 唯一、フランス勢で決勝トーナメントに進んだのがギャンガンである。第5節でギャンガンはホームでイタリアのフィオレンチナと対戦する。フィオレンチナは首位であり、この試合でギャンガンが勝利すると勝ち点で並ぶ。また、同時に行われるディナモ・ミンスク(ベラルーシ)-PAOK(ギリシャ)戦でディナモ・ミンスクが引き分け以上であれば、ギャンガンは決勝トーナメント進出となる。サンテチエンヌと似た状況の第5節であったが、ギャンガンはフィオレンチナに序盤に2点を先行され、ようやく前半ロスタイムにPKで1点返したが、後半終了間際のムスタファ・ディアロのゴールはオフサイドの判定、1-2で敗れる。PAOKが勝利したため勝ち点7で並び、最終節で直接対決、引き分け以上で決勝トーナメントとなったのである。

■アウエーで見事勝利し、決勝トーナメント進出を決めたギャンガン

 しかし、試合はアウエーのテッサロニキで行われる。過激な応援で有名なPAOK、オールドファンの方であれば1992年10月のUEFAカップでパリサンジェルマンに敗れたサポーターが暴動を起こしたことを覚えていらっしゃるであろう。
 1万人の熱狂的なサポーターの応援に対し、ギャンガンはひるむことなく、7分位クラウディオ・ボービュが先制点、22分にいったん追いつかれたが、その後はタイスコアをキープする。そして終盤の83分、ボービュが勝ち越しゴールをあげる。2-1と勝利したギャンガンはクラブ史上初めて欧州カップの決勝トーナメントに進出したのである。(この項、終わり)


 今年の入稿はこれが最後です。本年もご愛読ありがとうございました。読者の皆様よい年をお迎えください。

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