第1821回 決勝トーナメント1回戦第1戦(1) 昨年の再戦となるパリサンジェルマン-チェルシー戦

 このたびパリ並びにパリ近郊で起こった銃撃事件の犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、サッカー界での人種差別についてしばしば取り上げている本連載に対する読者の皆様からのご支援に感謝いたします。

■フランス勢3チームが挑む決勝トーナメント

 年が明けてからの本連載は前回までお伝えしたハンドボールの世界選手権、その前のアフリカ選手権という国際的なスポーツイベントを紹介してきたが、フランスのサッカーに関しては国内のフランスカップ、リーグカップというタイトルについて紹介してきた。これはクラブも代表チームもこの期間に国際試合がなかったからであるが、いよいよ2月の半ば過ぎからサッカーも国際試合が行われるようになる。
 5月の決勝を目指す、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントがいよいよ始まった。本連載で紹介した通りチャンピオンズリーグにはパリサンジェルマン、モナコという大型補強をしたビッグクラブ、ヨーロッパリーグにはクラブ史上初の決勝トーナメント進出を果たしたギャンガンの3チームが決勝トーナメントに臨む。

■モナコはアーセナル、パリサンジェルマンはチェルシー、ギャンガンはディナモ・キエフと対戦

 決勝トーナメントの組み合わせ抽選チャンピオンズリーグは昨年の12月15日に行われた。グループリーグで首位通過したチームと2位通過したチームがまず2位通過のホームで戦い、第2戦を首位通過のホームで戦う。グループリーグで首位通過を果たしたモナコは優位な立場にあったが、1回戦の相手はイングランドのアーセナル、アルセーヌ・ベンゲルは古巣と対戦することになる。
 また、スペインのバルセロナに次いで2位通過となったパリサンジェルマンは同じイングランド勢のチェルシーとの対戦、タフな組み合わせとなった。
 一方、ヨーロッパリーグのギャンガンも2位通過であり、ウクライナのディナモ・キエフとの対戦となった。
 この3チームのうち、最初に登場したのがパリサンジェルマンである。チャンピオンズリーグ1回戦は8試合あるが、同一の週に行うのではなく、2週に分けて行われる。水曜日に4試合行うのではなく、火曜日と水曜日、あるいは水曜日と木曜日に2試合ずつ行われ、連日楽しむ工夫がされている。さらに同一リーグから2チーム以上出場している場合は、別々の週に行われるように日程が調整され、その国のファンは2週に分けて、すなわち4週間連続でチャンピオンズリーグの1回戦を観戦することができる。フランスの場合はパリサンジェルマンが2月17日と3月11日に試合を行い、モナコが2月25日と3月17日に試合を行う。
 そして、決勝までの試合数が2試合多いヨーロッパリーグは2月19日と26日の木曜日に1回戦が行われる。

■昨年の準々決勝でも対戦したパリサンジェルマンとチェルシー

 パリサンジェルマンとチェルシー、昨年の準々決勝でもこの両チームは対戦している。本連載第1686回と第1687回の連載で第1戦について紹介し、第1690回の本連載で第2戦について紹介している。昨年も第1戦はパリ、第2戦がロンドンで行われ、第1戦はパリサンジェルマンが3-1と勝利したが、ロンドンのスタンフォードブリッジで行われた第2戦ではチェルシーが交代選手の活躍によって2-0と勝利しており、2試合通算成績は並んだが、アウエーゴール2倍ルールが適用され、パリサンジェルマンの準決勝進出の道は閉ざされた。

■チェルシーからパリサンジェルマンに移籍したダビド・ルイス

 それからほぼ1年、昨年のパリでの第1戦でオウンゴールを献上したチェルシーのダビド・ルイスはパリサンジェルマンに移籍する。パリサンジェルマンは過去2年間、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦を突破しており、今回も突破し、準々決勝と言わず、さらに高い目標を目指している。
 一方のチェルシー、近年のチャンピオンズリーグでの活躍はあらためて言うまでもないことであるが、グループリーグでの強さは特筆すべきものがあり、過去12年間で9下位グループリーグを首位で通過し、決勝トーナメントを優位に戦っている。
 昨年の準々決勝の第2戦はパリサンジェルマンが序盤は優位だったものの、チェルシーのエデン・アザールの負傷退場によって前半途中から入ったアンドレ・シュールレ、フランク・ランパードに代わって登場したデンバ・バという交代選手の2ゴールで逆転負けを喫した。逆転負けの悔しさを知るパリサンジェルマンが今年もチェルシーをパルク・デ・プランスに迎えるのである。(続く)

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