第1822回 決勝トーナメント1回戦第1戦 (2) パリサンジェルマン、残念なドローと人種差別事件

 このたびパリ並びにパリ近郊で起こった銃撃事件の犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、サッカー界での人種差別についてしばしば取り上げている本連載に対する読者の皆様からのご支援に感謝いたします。

■ダビド・ルイスを中盤の底で起用するパリサンジェルマン

 昨年はホームのパルク・デ・プランスでの第1戦で3-1と勝利しながら、ロンドンのスタンフォードブリッジで0-2と敗れ、チェルシー(イングランド)に準決勝進出を阻まれたパリサンジェルマン、昨年の轍を踏まないためにも、今年は第1戦でさらに差をつけた勝利が欲しいところである。
 2月17日のパルク・デ・プランスでの第1戦、パリサンジェルマンはチアゴ・モッタ、ヨアン・カバイエを負傷で欠くため、チェルシーから今季加入したダビド・ルイスが今季初めて最終ラインではなく中盤を守る。パリサンジェルマンの布陣は守備陣はGKにサルバトーレ・シリグ、最終ラインは右からグレゴリー・ファンデルビール、マルキーニョス、チアゴ・シウバ、マクスウェル、中盤はダビド・ルイスが底になり、右にマルコ・ベラッティ、左にブレーズ・マツイディ、攻撃陣は右にエセキエル・ラベッシ、左にエディンソン・カバーニ、中央はズラタン・イブラヒモビッチである。元祖多国籍軍のチェルシーに対し、パリサンジェルマンもフランス人選手はマツイディ1人だけである。
 一方のチェルシーもGKはペトル・チェフではなくベルギー代表のチボー・クルトワを起用してきた。また注目のストッパー陣には主将のジョン・テリーとギャリー・ケーヒルのコンビであり、フランス人選手のクルト・ズマは先発から外れた。

■圧倒的に試合を支配されたチェルシーが先制点

 この試合、立ち上がりこそチェルシーが試合を支配したが、パリサンジェルマンがペースをつかみ、攻めに攻める。2006年の秋以来欧州カップのホームでの試合では負けがないというパリサンジェルマンは自信を持って試合に臨み、チェルシーのゴールに向かって次々とシュートを放つが、得点には至らない。最初のおしいチャンスは10分、マツイディのヘディングシュートはクルトワに阻まれる。また34分にはCKからカバーニがヘディングでナイスシュート、しかしこれもゴールならず。そして先制点を奪ったのは黄色いセカンドユニフォームのチェルシーだった。36分、パリサンジェルマンの守備陣のクリアボールを拾ったテリーが左サイドからクロスをあげる。このクロスをゴール前にいたケーヒルが最後はブラスニラフ・イバノビッチにつなぎ、チェルシーは最初のシュートがゴールとなる。

■エディンソン・カバーニのゴールで追いつくが同点どまり

 後半に入ってもパリサンジェルマンは一方的に攻め、ようやく追いついたのは54分のことであった。左サイドからのマクスウェルのクロスを、チェルシーの守備陣がマークしていなかったカバーニがヘディングで決める。その後もパリサンジェルマンはビッグチャンスが続くものの、勝ち越し点をあげることはできず、結局ドロー、本拠地での不敗神話は守ったものの、第2戦に向けて不安がよぎる内容となった。

■試合前にパリ市内の地下鉄で起きた人種差別事件

 さて、この試合、パリサンジェルマンにとっては不本意なドローとなったが、それ以上に残念な事件が起こった。試合前のパリ市内の地下鉄の駅で、地下鉄に乗っていたチェルシーのサポーターがこれから乗車しようとする黒人のフランス人に対して「俺たちは人種差別主義者だ」と言いながら、黒人男性の乗車を拒否する事件があった。この模様を撮影した動画がソーシャルネットワーク上に広がった。
 チェルシーは、3年前にも主将のテリーがQPR戦で人種差別的な問題を起こし、前年の2011年にもサポーターが人種差別的なチャントを歌ったという歴史がある。事件が起こったことは残念であるが、この事件を受けてチェルシー側は人種差別的な行為を取ったサポーターの身元を割り出し、サッカー場への立ち入りを禁止するとともに、地下鉄の駅で人種差別的な行為を受けた黒人男性をスタンフォードブリッジでの試合に招待すると発表した。この事件はサッカー界の問題にとどまらず、パリ市、ロンドン市の警察も乗り出すなど、関係者の事件後の動きが早かったことにわずかな救いを感じる。(続く)

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