第1979回 パリサンジェルマン、チェルシーに先勝 (2) 途中出場のエディンソン・カバーニが決勝点

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内リーグ戦では首位のパリサンジェルマン、12位のチェルシー

 3年連続での決勝トーナメントでの対戦となるパリサンジェルマンとチェルシー、過去2年間の対戦はいずれもアウエーゴールの差で決着がつき1勝1敗である。  今季、国内の公式戦では無敗のパリサンジェルマンであり、中でもリーグ戦では22勝4分とここまで負け知らず、2位のモナコに勝ち点24の差をつけているが、直前に行われたリーグ戦のリール戦はスコアレスドローと久しぶりに得点をあげることのできない試合となった。
 一方のチェルシーであるが、また今季もチャンピオンズリーグではグループリーグを首位で突破したが、リーグ戦では12位、ジョゼ・モウリーニョ監督が年末に交代し、フース・ヒディングが指揮を執っている。ヒディング体制になってからは無敗であり、チームは徐々に立ち直ってきたかに見えたが、こちらも直前のリーグ戦のニューカッスル戦は5-1で勝利したもののチームの精神的支柱のジョン・テリーが負傷し、パリサンジェルマン戦のメンバーから外れている。

■先制点はズラタン・イブラヒモビッチのFK

 過去2年間と同様に第1戦はパリサンジェルマンのホームゲームとなり、パルク・デ・プランスは4万6505人という大観衆が集まる。年明け以降、国内のフランスカップ、リーグカップも戦う日程の中で選手をやりくりしてきたパリサンジェルマンのローラン・ブラン監督であるが、エースのズラタン・イブラヒモビッチを1トップとする布陣で臨み、一昨年も昨年もパルク・デ・プランスでのこのカードに先発出場してきたエディンソン・カバーニはベンチスタートである。試合はチームの勢いの差がそのまま出た形となり、パリサンジェルマンがボールを支配する。立ち上がりにパリサンジェルマンはチェルシーのゴールを脅かすが先制点はならず。チェルシーも数少ないチャンスの中でシュートまで持っていくが、今季から加入したケビン・トラップが得点を許さない。
 そして先制点は39分、パリサンジェルマンはゴール前20メートルの地点でFKのチャンスを得る。エースのイブラヒモビッチが蹴ったFKはチェルシーの白い壁に当たり、コースが変わってチェルシーのGKチボー・クルトワは逆を突かれ、パリサンジェルマンが先制点を奪う。ところがチェルシーもその直後にCKのチャンスを得て、パリサンジェルマンの守備陣の集中力が切れたところをジョン・オビ・ミケルがゴールを決めて同点に追いつく。

■決勝点を決めたエディンソン・カバーニ

 後半に入ってもパリサンジェルマンは攻勢が続き、次々とシュートを放つがチェルシーのGKクルトワがファインプレーを連発し、勝ち越し点が奪えない。ブラン監督は74分にカバーニを投入する。カバーニはその4分後、アンヘル・ディマリアからのパスを受け、角度のないところからシュートし、好守を続けてきたクルトワの足元を抜いて見事に勝ち越し点を決める。試合はその後もパリサンジェルマンのチャンスが続いたが、結局2-1というスコアで試合終了のホイッスルが鳴った。

■アウエーが苦手な両チーム、第2戦は3月9日

 チェルシーはこの3年間のパリでの試合は1分2敗となった。チェルシーはフランスでの試合を苦手としており、これまでチャンピオンズリーグでは7試合戦っているが、戦績は1勝2分4敗であり、唯一の勝利は2004年のチャンピオンズリーグのグループリーグでのパリサンジェルマン戦である。逆にチェルシーはフランス勢相手にホームでの試合は強く、ここまで7戦して4勝3分と負けがない。またパリサンジェルマンは過去の欧州カップ(チャンピオンズリーグ)でイングランドでは3分3敗と勝ったことがない。いわば内弁慶同士の戦いであり、残る試合はチェルシーのホームゲームである。
 したがって試合後のヒディング監督の50-50という発言は決して強がりではない。そしてこの1点差のパリサンジェルマンの勝利、もしかするとまたアウエーゴールで雌雄を決する予感がしてならない。第2戦は3月9日、チェルシーの本拠地、スタンフォードブリッジで行われる。(この項、終わり)

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