第2304回 最後の期待、ヨーロッパリーグ(2) マルセイユ、パリサンジェルマン戦を前に1回戦突破

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■優勝候補との対戦を回避できたフランス勢

 フランスからマルセイユ、リヨン、ニースの3チームが出場する今季のヨーロッパリーグの決勝トーナメント、決勝までのノックアウトシステムの中でくじ運は大きな意味を持つ。フランス勢は3チームともグループリーグ2位であり、グループリーグを首位で通過した12チームまたはチャンピオンズリーグのグループリーグ3位のうちの上位4チームという格上のチームと対戦する。マルセイユはブラガ(ポルトガル)、リヨンはビジャレアル(スペイン)、ニースはロコモティフ・モスクワ(ロシア)と対戦することになった。いずれもグループリーグ首位のチームであり、チャンピオンズリーグから転戦してきた有力チームとの対戦を回避することができた。

■強豪相手との戦いが続くマルセイユの2月

 決勝トーナメント1回戦の第1戦は2月15日に行われた。この前日にはチャンピオンズリーグでパリサンジェルマンがアウエーでレアル・マドリッドに1-3で敗れている。この敗戦に燃えたのがマルセイユである。マルセイユはライバルのパリサンジェルマンとは2月25日にはリーグ戦、28日にはフランスカップ準々決勝で連戦する。ヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦の第2戦は22日に行われる。この連戦の前に1回戦突破を決めて、レアル・マドリッドとの第2戦を控えて精神的に落ち着かないパリサンジェルマンに連勝したいところである。逆に言えば、マルセイユは2月は通常のリーグ戦4試合以外にフランスカップ1試合、ヨーロッパリーグ2試合の合計7試合を戦うが、パリサンジェルマンと2試合、ブラガと2試合、そしてボルドー、サンテチエンヌと強豪との試合が続く。2月2日に対戦するリーグ最下位のメッスだけが安心して戦える相手であろう。

■ブラガを圧倒し、第1戦は3-0と完勝

 マルセイユは2日のリーグ戦のメッス戦は6-3と大勝、9日のアウエーのサンテチエンヌ戦は2-2の引き分けで、14日のブラガとの第1戦を迎える。この時点でマルセイユはリーグ3位、ブラガはポルトガルリーグで4位であったが、試合はマルセイユの一方的なペースとなる。開始早々の4分にディミトリ・パイエのパスを受けたバレル・ジェルマンが先制ゴールをあげる。その後もマルセイユはパスをつないでブラガを圧倒する。前半は追加点はならなかったものの、後半に入って69分に酒井弘樹のクロスをジェルマンが追加点、74分にもフローリアン・トーバンが3点目をあげる。ブラガは枠内にシュートを放つことができず、沈黙。マルセイユは3-0と大勝し、フランス勢として2018年になって欧州カップで初めての勝利をあげたのである。

■ポルトガルでの初勝利はならずも2回戦に進出

 マルセイユは18日に行われたリーグ戦のボルドー戦にも勝利して昨年12月から続く無敗記録を12試合に伸ばす。マルセイユはこれまでヨーロッパカップではポルトガルでは1分5敗と分が悪い。中でもマルセイユにとって忘れられない敗戦は1989-90シーズンのチャンピオンズカップ準決勝であろう。ポルトガルのベンフィカと対戦し、ホームでの第1戦で2-1と勝利したマルセイユは、アウエーの第2戦、リスボンのルッス競技場に乗り込む。引き分け以上で決勝進出が決まるマルセイユであったが、後半にベンフィカに決勝点を奪われ、2試合通算のスコアは2-2であったがアウエーゴール2倍ルールで決勝進出を逃した。決勝点をあげたのはバタ、手で得点を決めたが、審判団はハンドを認めず、ゴールイン。そのシーズン前にディエゴ・マラドーナの獲得に失敗しており、マルセイユにとっては神の手に泣いたシーズンであった。
 ポルトガルでの試合を苦手としているとはいえ、ホームで3-0で勝利しているとあって、マルセイユは余裕のある戦いを進める。またブラガも第1戦とは見違える試合内容であったが、マルセイユはブラガの攻撃を前半の1点だけにおさえ、0-1というスコアで第2戦を乗り切る。ポルトガル国内での初勝利はならなかったが、2回戦進出を決めてパリサンジェルマンとの連戦に臨むことになったのである。(続く)

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